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【続編①】テンプレ展開なんて期待してないから!!

作者: 佐倉 圭

 



 ラノベ...あれはダメだ。そもそも異世界とか勇者と魔王とか羨ましすぎて感情のメーター振り切っちゃうから。ハーレムとか爆発しろ。

 何で何の取り柄もなかったような一般男子高校生Bが美女に囲まれたハーレムを築けんのぉぉぉぉ?!


 というかこんなことはどうでもいい。昨日のことを話すとしよう。

 俺は舞衣と感動的な(笑)再会を果たした後、泣いている舞衣を見た教官にチョークスリーパーで意識どころか命すら刈り取られかけた。

 まぁこれは日常茶飯事なのでこれまたどうでもいいことだ。

 舞衣は結局いつのまにか帰ってたし、俺はその辺の道端に転がされてたし割と散々な扱いだった。

 この場合は俺がどうでもいいものなんだな、うん......

 それはさておき、重要なのはあの泣き虫マイマイこと浅倉 舞衣が転校してきてしまうこと。

 舞衣は俺の幼馴染...といっても良いものだろうか。小学校に入学する以前、近所の公園で何回か遊んでやったことを覚えているが、それだけだ。ラノベ主人公みたいに彼女を不審者から救ったりしてないし結婚の約束もしてない。ただ遊んだだけだ。

 それがあそこまで泣かれることになるとは...いや、そもそもあいつは泣き虫だった。

 いっつも泣きベソかいて公園に来るから泣き虫マイマイってあだ名を付けたんだっけ。

 しかしあんな美少女が転校してきたらこのクラスの男子達は歓声を上げて、生まれてきた喜びを噛み締めながら校庭を走り出すだろう。

 俺も何も知らなければ一緒に校庭を走っているところだが...


「けーいっ!帰んないのー?」

 おっとアホ毛に話しかけられてしまった。このアホ毛は水瀬美晴、中学からの同級生でトレードマークはもちろん頭頂部から飛び出たアホ毛。ちなみにアホ。

「帰んないの?」

「ねぇ、なんで校庭見てんの?もう陸上部の女子は帰ったよ?」

 放課後の教室で物思いにふけるふりをしてるとこのように寄ってくる。

 非常にめんどくさいアホ毛だ。

 あと校庭を見てたのは陸上部の女子生徒の脚が見たかったとかそういう、そういうエッチな理由じゃないんだからね!!

「あのですね美晴さん?わたくしとても今、忙しいのです。ですからお一人で帰っておくんなまし!」

「だってもう5時だよ?圭の好きなプリなんとか始まっちゃうよ?」

「何してる美晴!早く帰るぞ!」

「えっちょっ圭、今瞬間移動しなかった?」

 くっ、俺としたことがまさかブリキュアの再放送を忘れるとは......!!

 間に合え!俺のコスモ!!



 〜〜〜〜〜〜

「チェストォォォ!!」

 時刻は5時29分、とっくにニュースエ◯リーが始まっている時間だ。

「あ、お兄ちゃんおかえりー」

 家に入ると我が愚妹がワイシャツにパンツ一枚でテレビの前に転がっていた。

「ブリキュアは?!無事なのか?!」

「いや、テレビ番組に無事も何もないでしょ...」

「フ...ブリキュア、キミの全てが愛おしい..」

「お兄ちゃんキモいからやめて!」

「グハゥ!!」

 妹がよくやっている乙女ゲーの真似をしたのだが、どうやらお気に召さなかったらしく思い切りドロップキックをかまされた。

「我が妹よ...また強く...いや重くなったな......」

「は?」

「うそうそうそ!ほーんとに俺の妹は天使の羽みたいに軽いなぁ!!風邪で飛ばされやしないか心配だよHA HA HA!!」

「え〜ほんとにぃ〜?やだお兄ちゃ〜ん」

「やはりうちの妹は世界一だな!」

「じゃ、風呂洗って洗濯してご飯もさっさと作ってね」

「あ、はい」

 これも佐倉家の日常風景だ。

 あれ、なんか俺、虐げられすぎじゃね?

 俺は立ち上がって夕飯の準備のために台所へ。妹は再びテレビの前へ。

 これが社会の縮図なのよ...!

「あっ、ていうかさ、こないだマイちゃんを学校近くのスーパーで見かけたんだけど、おにい何か知ってるー?」

 随分タイムリーな話題持ってますね我が妹よ。

「知ってるも何も、アイツうちの学校に転校してくるんだと」

「えぇ?こんな時期に転校って...なんかあったの?」

「俺に聞くなよ...」

 舞衣とは昨日会ったばっかだしな...詳しい事情は教官のせいで何も分かっていない。締められた時に顔に教官おっぱいが当たってたのは役得だったがなッ!!

「キモ」

「えっ?!何が?!」

「いや、おにい顔に出過ぎだしマジキモなんですけど」

 そ、そんなに出てますかねぇ顔に...いや何が出てるのか知りませんけども!!

 キモいのは下衆な考えであって俺の顔ではないよね?ね?妹さんね?

「ま、おにいの顔面がキモいのは前からだし仕方ないか...」

 いや顔面キモいって言われてるわこれ。一縷の望みを一刀の元に切り捨てられたわ俺。

 そんな俺の様子はつゆ知らず、妹は話を続ける。

「マイちゃんに会ったらよろしくって言っといてね」

「お前舞衣に会ったんじゃないのか?」

「いやまぁ正確には...見た?みたいな?」

 なんだそりゃ......

 こいつ時々嘘っていうか、小さい間違いを作るクセが昔からあるんだよなぁ。

 結局それが治り悪くて自分から本当のこと言い出すんだけど。

「分かったよ。よろしく伝えときゃいいんだろ」

「む、何よその『しょうがないなぁ俺の妹は全くやれやれだぜ』みたいな顔は〜!!言っとくけど、私がマイちゃんに声かけられなかったのはあの子の隣に...」

「隣に?」

「......」

 少し考えた後、我が妹は口の端を少し上げてニヤリと笑った。

「やっぱ言わなーい」

「はぁ?そこまで言われたら気になるだろ!」

「それがいいんじゃん。ヌフフ〜マイちゃんの転校が楽しみですなぁ〜」


 ...こりゃ言う気ねえな..….ま、恐らく舞衣が転校してきたらわかることなんだろう。

 あまりしつこくすると不機嫌になるからな、深入りはやめとくか...

 やっぱり俺ってオ・ト・n「さっさとご飯作ってよー」

「あ、はい」

 やはり俺の日常は変わらない。





今回はテンション抑えめです。

ちなみに次の話はその分テンションが爆発しています。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しい作品ですね。テンション控えめでこれならテンション爆発だと?
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