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姉の旦那は人外でした  作者: 夜之 四兎
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番外編

短めの11月11日のイベント番外編。


これはまだ、姉の紫乃が異世界にいなくなる前の日常です。

11月11日、普通ならば、バカップルの様にいちゃついたり(2人きりの場でやれ)友達同士でふざけあってやったりと、ちょっとしたイベントなのだが、我が家では違う。

空は紫色、もう夜になりかけるのが窓から伺える。そんな静かなリビングの机を中心に俺や兄と両親が集まり、真剣に有名お菓子メーカーのあのスティック菓子の空箱を確認。


「ほかに誰も隠し持ってないだろうな?」

「買ってきてもないわ」

「納戸のも全部消費したったわ…しばらくチョコ見たくねぇ…」


喉の奥からせり上がってくる甘い味に胸焼けが連続ボディーブローを嗾けている。(やめろ、もう俺のHPは限りなく0だ。)ぐったり、2人がけソファーの背もたれに寄りかかると、隣に座る兄は口を押さえて蹲っている。


「塩っ気あるのはもう勘弁…」

「よし、2人ともよくやった…!」

「これで、我が家に某お菓子メーカーのあの菓子はない‼︎」

「姉ちゃんも、今日は買ってくるなんて気力は無いはずだ…」


あの体力化け物の変人看護師は、本日まで海外での家畜の生育とエコロジーの関連性のどうたらとかってのを聞きに行っていたんだからな!おまけに、飛行機トラブルが重なり、やっと先ほど日本に帰ってきたんだからな!(…そのトラブル解決したのが姉と、聞いたが、何をやったのかは聞きたくもないのでスルーしておこう)ぐったりしている兄貴はスマホを確認して息を吐いた。


「流石に、空港からタクシーで帰ってくるって行ってたし買う気力はないでしょ…」

「ただいまー」

「噂をすれば、ね…じゃ、母さん逃げ…夕飯作ってくるから」

「あ、ずるっ⁉︎」

「父も手伝ってくる」


姉ちゃんの変な持論、食事を提供する人には一切危害は加えない。食べる事は、生きることに不可欠な事だから、と…もっともな事だけど、危害って言ってる時点で悪質だわ‼︎


「ほら、買ってこれない?なら大丈夫だろ?」

「なら、俺らの横座ってろや」


疑問形で言うな。そして、こちらを振り向きながら足だけはきっちりキッチンに、進むなよ。


「母さーん、鍋にお湯沸かしていいかー?」

「おいコラ」


完全にキッチンの中に両親の姿が消えた瞬間、悪魔はリビングの扉を開けた。


「ただいま」

「お、おかえり……」


薄い笑みを浮かべた姉の左手に一本、右手に一本。某メーカーの物よりも随分極太で長いその菓子……口が引き攣る。菓子を指差す手が思わず震える。(兄貴は口を開けたまま顔が真っ青に変わった。)


「なんで持ってるーー⁉︎」

「やだなぁ、私が何しに海外に行ってた?」


やめて、ふるふると振らないで、その菓子(凶器)(凶器)。


「か、家畜とエコロジーのサミット?」

「…微妙に違うけど、今はいいや。じゃあ問題、私がいた国は?」

「国って…」

「生ハム、ピッツァ」

「あぁ、イタリ…」


珍しい満面の笑みの姉。その両手に握られているシナモン香るスティック……あ、やばい躱せない。斯くなる上は‼︎


「ア…ニキ、すまん!」

「正ー解」

「あぎゃぁぁあぁ⁉︎⁉︎」


咄嗟に隣に座っていた兄貴を俺の前にスライドし、姉ちゃんが突き出した凶器は兄貴の額に突き刺さった。


「ちっ、ズレた。」

「失明させる気かぁぁ‼︎」

「寸止めするけど?」

「額に刺さった時点で寸止めじゃねぇよ、言葉の意味を調べ直せ悪魔」

「…俺を盾にした時点でお前も悪魔だチンピラお巡りさんよぉ」

「ぐぁっ⁉︎あ、兄貴、ごめ、ごめんっ、申し訳っのぉぉぉ‼︎」


握力化け物兄貴のアイアンクローが炸裂して、俺の頭が、リンゴの様に潰れそう…額から微かに血が滲む兄貴の眉間には深いシワの谷が出来ている。(なんで姉ちゃんに仕返ししないって?したら倍どころじゃなくなるからだよ)

2人揃ってソファーに撃沈する中、ご機嫌な姉はタブレットに向かって手を振っている…え、スカイプしてんの?


「チャオ、アンナ。プレッツェル威力は中々だったわ」

『シノ、アンタの国ってサイッコーなイベントが多くてゾクゾクしちゃう‼︎』

「断じてっ、断じてこんなサディスティックなイベントじゃねぇよ‼︎」

ブロンドのイタリア美女の言葉に、渾身の俺の突っ込みが入った。

『やだ、シノ。アンタの弟アタシすっごいタイプ‼︎』

「へっ⁉︎」

「独身、彼女なしだよ」


な、なんか夢見たいな台詞が聞こえた⁉︎え、しかもあの姉ちゃんが俺をプッシュしてる⁉︎今日一番のドキドキ…


『いい声で泣きそう!』

「俺のドキドキ返せ‼︎」

『私、今度の移転ジャポンで申請するわ‼︎』

「ガンバレ、ジュン」

『楽しみね、ジュン?』


消えた画面がドキドキを増長させて、手足は冷たくなっていく。兄貴の気の毒そうな視線が痛い。


「うん、○ッキーの日にドキドキを提供できて満足」


満足そうな姉貴に、俺はいつか心臓を止められるかもしれない。


一言:忘れられないドッキドキだわ‼︎


11分に指定できないのを忘れてました…そして、失態…orz

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