3、フルヒール~始まりと帰宅。
「…あれ、ボルケーノがいない?逃げられたのか。ん?何だこれ。」
月夢が拾ったのは赤いきれいな石だった。とりあえずもらっておくか。そんなことより…
「…はっ!カノちゃん!?大丈夫?」
「んっ…んぁ…あ、マス…ター…さん…」
「よかったぁ。どうなることかと思ったよ。そういえば、ボルケーノが逃げた跡にこんなものが落ちてたんだけど…」
僕はその石をカノちゃんにみせたがカノちゃんもよくわからないらしい。とりあえずすごいケガなので宿まで運んだ。宿まではカノちゃんがテレポートをつかってくれた。とりあえずベットに横になってもらい、できるところまで応急処置した。
「僕にできること…」
カノちゃんに言われた言葉…僕だったらなんでもできる?いや、できなかった。カノちゃんをあの場で救うことはできなかった。部屋を見渡すと気になったものがあったので、本棚にあった本を読んでみる。日本語のタイトルで原始医療と書いてあり、その内容もなぜか日本語で書いてあったので何とか読めた。どうやら魔法の辞典みたいで、読んでいくと古代の医療魔法について書いてあり、その回復魔法という欄に「『フルヒール』の魔法について」とあった。内容は呪文と効果が書いてあり、これなら…と思い〈鍵〉をとって早速カノちゃんに向かい詠唱を始める。
「光が安らぎを呼ぶ。彼のものを癒せ。『フルヒール』…」
すると手から光の粒子のようなものがカノちゃんの傷を元に戻していった。成功だ。
「あれ?痛みが…引いていく…?あ、マスターさん。」
「…はぁ。よかったぁ」
カノちゃんの元気そうな姿をみて思わずため息が出た。
「…これは…」
カノちゃんが「原始医療」の本を手に取り、さらに言葉をつなげる。
「マスターさん、これは?」
「ここの本棚にあったんだけど、古代の医療魔法が書いてあったんだ。それでもしかしたらと思って。」
「なるほど。これは古代魔法の本だったわけですね。」
「古代魔法って一体何なの?」
「そうですね…、簡単に説明すると通常の魔法より出力が上がる代わりに詠唱…ようするに発動までに時間がかかる魔法です。実際のところ一部の魔法しかわかっていないんですけどね。」
「ほんとに大丈夫なの?」
「はい。そんなことより、私の看病のせいで時間がかなりたちましたけどマスターさんこそ大丈夫ですか?」
「え?」
時計の針は夜9時を指していた。
「こっちの世界と向こうの世界は時間が12時間ほど早く進んでるそうですよ」
「ってことは…朝9時?まあ今日は確か休みだし…」
「ちなみにこちらの世界で一日過ごすということは向こうの世界で一日寝るということですが…」
え?ナニソレ?ちょ、ちょっと一日中寝ていたら、確かに健康にはいい……?かもしれないけど。って、せめて朝食くらいとらせてぇぇ!
「ちょ、ちょっと!どうやって帰るの!?」
「寝れば帰れますよ。こちらへ戻ってくるときは寝れば戻ってこれまs…」
「わかったありがとうおやすみ!!」
「…………え、えぇ…あ…あはは…マスターさんらしいですね」
カノは笑顔で世界の救世主を家に送った。
読んでいただきありがとうございます。ここで1章が終わります。ちょっと早すぎましたかね…2章へいく前に間章をはさもうかなとか思ってますのでこれからも読んでいただけるとありがたいです。




