プロローグ 『悪と正義』
日本のとある都心部、『甘魅町』は人間同士の多少の小競り合いは時々こそあるものの、それなりには平和であったし治安も良かった方であった。しかし、其れは一年前までの話であり、今は人類全てに絶滅の警鐘が鳴り響くのである。
時は現在、二〇一五年。人々は謎の怪奇現象によって脅威に包まれた。謎の組織『ペッパーズ』が人の脳に何か刺激を加えられ、本来三割程度しか機能していなかった脳の隠された力によって人は異常なまでの闘争心と残忍さを植え付けられ、人に非ざるクリーチャーに変身出来てしまう。
凶暴で見るも無残な姿に変わり果てたクリーチャーは人を襲い、餌として命を奪う。命を奪った中には、同じクリーチャーに変えてしまう事もある。これによって被害者は万単位を超してしまった。厄介な事に、クリーチャーは意外にも狡猾で、元の人間だった姿に擬態する事で、人混みの中に姿を消す。仮に正体を暴いたとしても、軍力をも凌ぐ戦闘能力によって対策手段も潰える事となった。
人々は為す術も無く、ただ絶滅される日を待つしかないのか。そんな絶望の中、二つの光明が射す。唯一対抗できる戦闘能力を持つ、空想上の存在だと思われた英雄が二人の登場により事態は良い方向に傾かれた。
「変身! 『カスタイド・プリンセス』!!」
「変身! 『マスクド・シャイニング』!!」
一人は、未知なる能力の魔法を操り変身する『魔法少女』
もう一人は、戦闘用スーツを身に纏い変身する『仮面ヒーロー』
「私がこの町を、世界を守ってみせる!」
「俺がこの町を、世界を守ってみせる!」
この人類の最後の希望の二人。果たして、二人の活躍は如何程に!?
「って、台詞丸々被せないでよ!」
「って、台詞丸々被せるなって!」
……二人の活躍は如何程に? 一片たりとも目を離すな。今こそ、正義と悪との死闘が切って落とされるのであるから。