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朝まで脳討論

田原「え~、視聴者の皆様こんばんは。田原正一郎です。今日のテーマはズバリ『脳』です。そうですね、今日は最近何かと話題になっている人間の脳について朝までノンストップで議論をしたいと思います・・・・。

では、本日のゲストをお呼びしましょう!右脳と左脳です!」


いつもの音楽が鳴り、スタジオに右脳と左脳が現れる。

客席から拍手がわき起こり、右脳と左脳が丸テーブルに着席する。


田原「今日のゲストの右脳さんと左脳さんです。え~、一見するとお二人の違いがよく分からないのですが、自己紹介をお願いします」


右脳「僕が右脳です」


左脳「私が左脳です」


田原「あ、成る程成る程。『僕』と言っているのが右脳で『私』と言っているのが左脳なんですね。・・・・しかしですね、どうも私達素人からすると貴方達の違いがよく分からないのですが・・・・」


右脳「簡単に言うと、僕は直感で生きています」


左脳「そして私はとても理性的です」


田原「成る程成る程。それではスバリと聞きましょう。貴方達はいったいどっちが偉いのですか?」


右脳「決まっています。僕です。僕は感情に生きており、とても人間的です。

しかし左脳はとても心が冷たい」


左脳「なんだとっ!こいつの言う事を信用しちゃいけません!私こそ真のリーダーなのです!右脳に人生を任せてしまうと、世の中メチャクチャになってしまう!」


右脳「失礼な!世の中の美しい事を理解しているのは僕だ!お前はいつも人や

世の中の事を批判ばかりしているじゃないか!!」


左脳「何を言う。人間には批判精神が必要なのだよ。第一お前はちっとも勉強

しないじゃないか!音楽ばっかり聴いて!」


右脳「音楽を理解しないのは僕から言わせると、は虫類以下だね」


左脳「なに~っ!!!!!」


田原「まあまあまあまあ。二人と落ち着いて。では左脳さんの言い分を聞いて

みましょう。・・・・左脳さん、あなたは右脳にはぜったいに政権を任せられない、とこのように言いたいのですね?」


左脳「当たり前です!!右脳はあまりに感情的すぎます。感情では政治は動きません!」


右脳「なんで政治なんかが必要なんですか?!そんな物、要りません!」


左脳「ほら見なさい、ほら見なさい!右脳はただのアナーキストです!!そんなヤツには人生を任せられないでしょう?」


右脳「☆&#!!=*$&%!!!%%%!!!!!」


左脳「!!☆●!~¥&&&’&&@##?!!!!!!!」


田原「ストップ!ストップ!二人ともうるさすぎて何を言っているのか分かりません!!二人とも大人なんだから、冷静になってください。

・・・・・では総括してみましょう。つまり左脳の言い分は、右脳は感情的すぎて、信用ができない。そして、右脳の言い分は、左脳はあまりに心が冷たいから信用できない、とこういう訳ですね。

・・・・しかし私の見る所、20世紀は左脳が優勢だったような気がするのですが、違いますか?」


右脳「さすが田原さん。そのとおりです。20世紀は左脳が世の中を支配してました。しかし、その結果世の中には戦争が多発したのです」


左脳「人を戦争犯罪人みたいに言うな!!失敬な!」


右脳「いや、君はとても攻撃的だよ。それが暴力を生み出している。

君は政権から退き、我々右脳に主導権を譲り渡さなければいけないのだ」

   

左脳「ハハハハッ!!なんだと?!お前が世の中の主導権を握るだと?そりゃ

ムリだな」


田原「ほほう。右脳は主導権を取れない、と?それは何故ですか?」


左脳「右脳はとても迷信深いのですよ」


田原「と言いますと?」


左脳「右脳はすぐに神にすがってしまうのですよ。つまり宗教に頼ってしまうのですな。・・・・我々は何百年もかけて政治と宗教を分離してきたと言うのに、右脳はまだ過去の遺物に戻ろうとするのです!

はっきり言いましょう、宗教はアヘンです!!」


右脳「僕から言わせると君達左脳が作り上げた科学主義こそアヘンだね」


左脳「科学が我々の生活を向上させたんじゃないか!!」


右脳「それは確かにその通りだろう。しかし君は人間の魂の存在を否定し、その結果世の中はとても息苦しくなってしまった」


左脳「ほれ、ほれ!聞きましたか?『魂』ときたもんだ!いったいそんな物が

どこにあると言うんです?田原さん、分かりましたか?

こんな化石頭には政治はムリなんです!!」


田原「つまりあなたは『魂』の存在は信じていないと?」


左脳「当たり前です。聞くのもおぞましい言葉ですな」


右脳「左脳くん、君は最近自分を鏡で見た事があるかね?」


左脳「何が言いたい?」


右脳「20世紀まで君はとても若々しかったが、21世紀に入り、君はとても老け込んでしまった。・・・・恐らくとても疲れているのだろう」


田原「そういえば右脳さんはとても若く見えますね」


右脳「我々右脳は歳を取らないのですよ。今世の中が停滞してしまっているのは、左脳が疲れてしまっているからなんです」


左脳「何を根拠に、そんなデマカセを言う?!」


右脳「直感ですよ。左脳を酷使しすぎた社会はいつかは停滞してしまいます」


左脳「またその言葉か!何のデータも提示せずに『直感』などと言う!!

・・・・君はその直感とやらを使って芸術をやっていればよかったのだ!

君のような人種が政治に介入すると後悔する事になるぞ!」


右脳「ところが、そういう訳にはいかないのですよ。普段は我々右脳はとても

だらしないのですが、時には戦わなきゃいけない」


田原「戦う?どうしてですか?」


右脳「我々右脳と左脳は本来ひとつなんです。左脳さん、そうですよね?」


左脳「・・・・・そう、本来我々はひとつの脳だな」


右脳「つまり、左脳が疲れ果て滅びてしまうと、同時に右脳も滅びてしまうのです。・・・・・それはほっとけません。普段は音楽ばかり聴いたりしている、だらしない人種なのですが、この時ばかりは戦うのです。

我々は命の大切さをあらゆる手段を使って訴えます。

・・・・その間は左脳にはゆっくりと休んでもらいます。

そして左脳が元気になったら、また活躍してもらうのです。

いつかは、また左脳が活躍できる時代が来るでしょう。

しかし今の時代は左脳はとても疲れているのです。

だから元気になるまで、我々右脳に政権を委ねゆっくりと休んでいてください」


田原「成る程成る程。・・・・話も尽きませんが、そろそろ番組が終了する時間です。番組をご覧の皆様、是非皆様のご意見を下記の『コメントを書く』にご投稿ください。それでは皆様、司会の田原正一郎でした!」

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