勝手な我儘
@天内涼也
「そう…ですか…」
生死が不明だった俺の実の両親の話を受け止めきれる理由もなく、ただポツリとそう言うしかなかった。
記憶の中の両親は無邪気で、勇敢で、そして
とても、暖かかった。
「父と、母…は、俺によく話をしてくれました。
おそらく、ココのことだと。」
「そ…っか、
君の記憶の中の天内御夫婦が元気そうで、私も安心したよ。」
悲しげに笑う長官は、どこか虚しさを感じさせられた。
「あの…!
勝手なわがままだとは、重々承知してますが、お願いしたいんです。」
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「涼也は絶対パパに似て、強くてかっこいい男の子になるね。」
「いやいやママに似て、優しくて強い男の子になるよ。」
「りょーやはね!
パパとママをまもるかっこいいおとなになるんだ!!
しんちょうだっていつかパパよりおっきくなるもん!」
「そぉかそっか〜笑」
「それはママ楽しみにしてるね笑」
「だからね、パパもママもながいきしてね!」
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「両親を殺した怪異を、突き止めたいんです。」
「それは…ウチに入隊する意向があるってことか?」
「本来なら怪異の被害者は入隊できない決まり何だけど…」
「俺は今狙われているんですよね。
両親の唯一の血縁者として。
それなら、守られるより自分で守ったほうが、貴方がたにも俺にも利得があるはずです。」
「…わかった。
ただし一つ条件がある。」
「両親の敵を打てるなら、何でも聞き入れます。」