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救世主
「ハァッハァッハァッ…ッハァッ」
どうして、どうしてこんな事になった…?!
誰も居ない真っ暗な道路を必死に走る。
後ろからは数人の人間の足を持った背の高い血まみれの女が追いかけてきている。
誰も居ない街にはズルズルと奇妙な音が響いていた。
「ハァッハァッ…ッぅわっ?!」
ズシャッ
泥濘んだ地面に足を取られ、転んでしまう。
女は直ぐ目の前まで着ていた。
あぁ…もう、だめだ。
そう思い振りかざされた拳を受けるようにそっと目を閉じた。
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が、痛みは来なかった。
その代わり、女の声だろう規制が耳を劈いた。
恐る恐る目を開いてみる。
「こちら壱番隊永田、目標参拾陸討伐完了。」
眼の前には薙刀のようなものを持った男が立っていた。
なぜだかその背中に父のような安心感を覚え、段々と意識がフェードアウトしていった。