朝焼け
目が覚める。一時間、もしかしたらもっと長い時間眠っていた。
アタマが痛い。喉が渇く。酩酊感。僕は今どこにいるのか。
車が揺れる。あぁ今僕は車のトランクに入れられているのだ。真っ暗。何も見えない。薄明りも差さない暗闇。きっと今はサークルの友人に連れられて山梨県の温泉に向かっているのだろう。
どうせ彼らに声は届かない。尿意。つるっとしたものが足に当たる。きっと酒瓶。放棄意識は大丈夫だろうか。さすがに飲酒運転ではないと思う。
これに放尿してしまおうか。酔いの冷めない頭で考えてもろくなことにはならない。もう一度寝よう。
体が痛い。揺れる。気持ち悪い。何も見えない。ぼくは本当に生きているのか。
「ガタン」
トランクの扉が開く。瞼が暖かい。声。やはり同期だ。
乾いた喉に痰が絡まった口で応える。おはよう。
差し出された手を引っ張って体を車の外に出す。地面に横たわる。腰が痛い。
どこにきているのか確認する。
風呂。温泉。山梨。随分遠い。出席には間に合わない。
僕は風呂を楽しんだ。景色、空気、談話。
風呂から上がる。
一日お疲れ様。
明日から授業頑張ろう?