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それなり僕のダンジョンマイライフ  作者: 巌本ムン
Season4

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307/312

フルムーンバザー④

『ケルベロスターン』が食べ歩きしていたクレープ。

ツナや肉や野菜などが主で甘いモノは無かった。がっくり。


「わぁーっ、ミネハだ」

「久しぶり。プランシー」


ハイタッチしてからキャッキャッするふたり。知り合いだったのか。


「もぐもぐっ、ミネハとは何回か組んだことがあるんだよ。もぐもぐっ」

「かなり助かりました」


コランさんとナベルさんが言う。

コランさん。食べ終わってから話そう。


「そうだったんですか」

「ところで、ウォフさん。なんか良いモノ見つかったか」

「いやーそれがあまり」

「ボクたちはまるでさっぱりで……難しいですね」

「【鑑定】持ち必須だよなぁ。沢山ありすぎて何が良いか分からねえや」

「ですよね」


なるほど。


「ナベルのレリックもこういうのには役に立たないからなぁ」

「コランさんっ」

「悪い悪い」

「……コランさんが欲しいのは、槍でしたっけ?」

「あ、ああ、俺のレリック【風】に対応して、レリックが所持できるのがいいな」

「ナベルさんは剣でしたよね」

「このウルフェンの剣と比肩するような剣があれば……です」


ふむふむ。


「プランシーさんは?」

「ローブかな。出来れば【火】と【水】に関連するみたいな?」


なんだかんだ手伝ってくれたり協力してくれたり、それと教えてくれたり。

彼等は悪いひとたちじゃないし、お世話になったところもある。

よし。


「良かったら僕に手伝わせてくれませんか」

「探すのですか?」

「まあ別に構わねえけど」

「助かるところだけど」

「いいですか。ミネハさん」

「ふーん。まっ、いいんじゃない?」


さて、まずは、そうだな。

ちょっと試したいことがある。


「コランさん。今扱っている槍について教えてくれますか」

「これか? オーパーツでそんな大したもんじゃない。俺のレリック【風】の威力を少しだけ上げることができる。『疾風丸』ってんだ」


見てみたら緑の光だ。


「ご注文は、【風】に関連するレリックが所持できる槍ですね」

「ああ、そう都合よくあればいいけどな」

「これだけ広いからありそうだけど」

「だからって片っ端から槍を持つわけにもいかねえだろ」

「そうね。数千を超えているわよ」

「あはは、確かに……」


レリック【フォーチューンの円環】を使用。


実はミネハさんのスピアー探しのとき思ったことがある。

ネット検索みたいに詳細にしてみたら見つかるかどうか。

選別やグレードの選択も出来る。それならもっと細かく出来るかも知れない。


そこまで出来ないならそれはそれでいい。

出来たら儲けものみたいな感覚でやってみる。


『槍』・『風に関連するレリック』・『黄色か青い光』。


どうだ。

あ、あった。しかも……黄色の光が三つ。青の光がひとつだ。


「行きましょう」

「え?」

「こっちです」

「ちょっと、ウォフさん」

「あったみたいね。行くわよ」

「どういうことです?」


僕はとりあえず近場の黄色い光へと向かった。

下層の武器がずらりと並ぶテントの露店。

その奥に雑多に筒へ入れられている槍のひとつが黄色い光を放つ。


「これとかどうですか」


僕はその槍をコランさんに渡す。

無造作に彼は受け取って驚く。


「レリックが入った……?」

「本当ですかっ?」

「あ、ああ、【スラッシュブロー】……すげえ」

「それにします? 他にも」

「これにする」


まだ他にもあるけど、まあいいならいいか。

籠には『大特価600オーロ』とあった。安い。


店主曰くワケありで安いとのこと。まあ、そういうところだよなあ。

コランさんは大満足な顔だ。

槍の銘は『ブローファング』という。緑色の柄で穂先が牙みたいなカタチだ。


「ねえ、ねえ、ウォフさん」

「分かっていますよ。プランシーさん。詳しく言ってくれたらそれに合わせたモノが探せると思います」

「ローブが欲しいの。【火】と【水】のレリックに関連したのがいいわ」

「わかりました」


検索。

『ローブ』・『火と水に関連するレリックがある』・『黄色か青い光』。


出た。黄色はゼロ。青い光がふたつだ。

近くの青い光は中層か。でも遠いところは……外縁部の……あそこか。


あのインチキ中国人っぽいところの怪しいゴミ山の店か。

でもまあ1000オーロで手に入ると考えると、かなりお得だよな。


案内するとミネハさんは嫌そうな顔をする。

3人はエセ中国人みたいな怪しい店主に引きつつもゴミ山でローブをゲットする。

それは堅い箱の中に入っていた。


「【フレイムランス】と【水分身】っっっっ!!」


ローブを着てプランシーさんは興奮する。

それは表が赤で裏が青の不思議なローブだった。

フード付きパーカーみたいな感じで、真ん中に小さなクリスタルが表と裏にあった。

名称は『火と水の絡まったパーカー』という。パーカーじゃん。


「すげえな。それが1000オーロかよ」

「えへへっ、ありがとう。ウォフさん!」

「ひょっとしてレリックですか」

「まあ、そうですね。次はナベルさんの番です」


最後は『剣』だ。

えーと、まずナベルさんが持っている剣は、うわあっ、青い光だ。


「あの、ナベルさん。その剣ってどういうオーパーツなんですか」

「うちの家に代々伝わる『ウルフェンの剣』です。専用レリックを授けます」

「どういうレリックかは聞いてもいいですか。ダメならそれで大丈夫です」

「———【ウルフェンラッシュ】といって剣のラッシュを4回、行えるんですよ」

「ああ、あのときの凄まじい剣技!」


噂を食べる魔物との戦いで見たことがある。

あれはレリックだったのか。


「なるほど……ありがとうございます」

「それとこの剣は魔鋼製。魔銀や魔銅も混じっていると聞いてますよ」

「それはいい情報ですね」


検索。

『剣』・『魔鋼や魔銀や魔銅の合金製』・『ウルフェンの剣に比肩』・『青い光』。


さあ、どうだ。ん? んん? えっ……なんか頭の中に映像が……剣が見える。

ナベルさんが持っている剣に似ている。検索できた……すげえ。

それとこの場所、僕は知っているような……おい。オイオイ。まさか嘘だろ。


「魔女の店だあっ!!」

「おわあっ!? ビックリした」

「ま、魔女の店?」

「なに、どうしたの」

「ありましたっ行きましょうっ!」

「ちょっとウォフ!?」

「え、あったって」


僕は駆ける。正直、疲れているけど走る。走る。

中層の『ポンポコ亭』の裏口から転移室へ。なんか後ろで声がするが気にしない。

上層・VIPエリアの移動宮殿に着く。


そのまま中庭を横目に廊下を渡って2階へ。

魔女の店のドアをノックする。


「どうぞーデス」

「あー僕です」


ガチャっとドアが開いた。店内にお客は居ない。


「おかえりなさい。副店長」

「「「副店長!?」」」


ナベルさんたちが驚く。

それはいいとして、えーと、あった。あの剣だ。


店の片隅、壁際に置かれている。

売り物かそうじゃないかよく分からない立ち位置の剣。


「ナベルさん。あの剣です!」

「え? あの剣って、あ、ああっ! まさかそんな!?」


ナベルさんは驚いて慌てたように剣へ近付く。

その剣は長く、意匠はナベルさんが持っている剣にとても良く似ていた。


ただしナベルさんの持つ『ウルフェンの剣』が両刃なのに対してこの剣は片刃だ。

刃部分がややギザキザしていて鍔はなく一体形成されていた。


「なんか、おまえの剣に似ているな」

「『ウルフェグの刀』です。『ウルフェンの剣』と比肩する……ずっと失われていた一族の秘宝……数十年前にウルフェグの当時の当主が持っていました」

「そうでしたか」


その当主。ハイゼン大森林で亡くなったんだな。

ナベルさんは僕を真剣な顔で見る。分かるこの後のセリフ。


「あのこれ、ウォフさん。譲ってもらえますか」

「もちろん」

「どんなに高くても借金してでも払います!」

「俺も手伝う」

「わ、わっちも!」

「え、ええーと……」


どうしよう。

ゴミ場から持ってきたからタダでいいなんて言えない空気だ。


「それなら10万オーロでどう?」

「ミネハさんっ?」

「10万……それなら払えます」

「良かったな。ナベル。俺も出すぜ」

「わっちも出すから」


ワイワイと『ケルベロスターン』がお金を出し合う。


「魔女に内緒で勝手に決めていいのかな」

「いいのよ別に」

「そうですか」

「だって出所言えるわけないから」

「それはそうか」


10万オーロでナベルさんに剣を売った。

これでナベルさんが大幅に強くなったらしい。良かった。


「ウォフさん。ありがとうございます」

「ありがとうございます。ウォフさん」

「ウォフさん。ありがとうございます」


異口同音にお礼を言う『ケルベロスターン』。

僕は少し照れた。

大満足で3人は店を後にする。


「魔女はどうしたの?」

「店長。まだ戻らないデス」

「なにしてんだか」


ミネハさんは大きくなって空いている椅子に座る。

僕も疲れたので椅子に腰を下ろす。


アンナクロイツェンさんがお茶を持ってきてくれた。

僕達はお茶飲んでくつろぐ。


「お客さん。どうです?」

「全然デス」

「売ろうって感じしないからじゃないの。店長居ないし」

「……ですよね」


そんなことを言っていたらドアが開いた。


「いやはや、いやはや、すまないすまないねえ」


魔女だ。


「お帰りなさいデス。店長」

「どこ行ってたのよ。店長」

「それ……なんです?」


魔女は紐を持っていた。その先に黒い棺がある。

まさかそれ引きながらここまで来たのか。


「これはこれは、棺だねえ」

「見れば分かるわよ。もしかしてそれも商品?」

「まあまあ、そうだねえ」


どんな商品なんだと思ったら、またドアが開いた。


「いらっしゃいませデス」

「……っ!」

「おやおや、いらっしゃいだねえ」

「いらっしゃい」

「いらっしゃいませー」

「……はじめまして」


入ってきたのは、フードを目深に被った女性だ。それも紫の瞳をしている。

エッダだ。魔女がにこやかに言う。


「どうぞどうぞ。ゆっくり見ていってねえ」

「はい。珍しいモノが沢山ありますねえ」


女性は微笑んだ。






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