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それなり僕のダンジョンマイライフ  作者: 巌本ムン
Season4

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298/312

貿易都市ハイゼン⑬・青い光。

帰るとホッスさんが居たから、ルマさんの言葉を伝えた。

ホッスさんは小さく「わかっただ」と言って夕飯の準備をする。


夕飯の後、ホッスさんはちょっと用があると言って家を出た。

そしてそのまま深夜になっても帰って来なかった。


次の日。

ホッスさんは帰ってきていなかった。

アンナクロイツェンさんとミネハさんが朝食をつくる。


ホッスさん。心配だけど、ホッスさんだから大丈夫だろう。

出て行ったままなのは、たぶんルマさんの事があると思う。


事情は分からない。

どう踏み込んでいいのかも分からない。


だから、もしホッスさんがどうしても困って助けを求めたら。

僕は全力で助けることは決めている。


「ごちそうさまでした」

「ナ!」

「それではまたダガア嬢をお借りしますぞ」

「ナ!」


何故か居るギムネマさんの肩にダガアが乗る。

なにをしているのやら、ただ安全面では心配してない。


ただ別の意味で心配にはなる。

だって組み合わせからいい感じまったくしないし。


「ウチもついていっていいっスか?」


ビッドさんがギムネマさんたちに言う。

ギムネマさんたちは断らず了承した。


ビッドさんも何をしているのか気になったみたいだ。

何か分かったら教えてもらおう。


アンナクロイツェンさんとミネハさんは片付け。

シャルディナは掃除。まだまだ掃除しないといけないところは沢山あるデス。

そう彼女は張り切っていた。


僕と魔女、片付けが終わったミネハさんは地下のゴミ場へ。


「はいはい。新しく調整した薬だねえ」


魔女から薬瓶を貰って、1錠だけ飲む。

錠剤なので水筒・三日月の器のお茶で流し込む。


「ミネハさん。何かお題をください」

「アタシ? そうね…………指輪ってどう?」

「ほうほう」

「指輪ですね」


【フォーチューンの輪】を使用して指輪を思い浮かべる。


ゴミ場の所々に緑色の光が現れる。黄色の光もまばらにある。


「さてさて、どうかねえ」

「けっこうありますね」


僕はすぐ傍の緑の光を出す指輪を拾った。

小さな青い宝石が付いた赤色の指輪だ。


「ねえ、思ったんだけど。これってさ。アリファみたいな【鑑定】持ちがいないと価値がよく分からない気がするんだけど」


ミネハさんがそれに気付いてしまった。

魔女と僕は視線を交わす。


「まぁまぁ、それがなんなのか分からないのは確かに不便だけどねえ。今はウォフ少年が価値を分かればそれでいいんだねえ。それでどうかねえ」

「区別はついていると思います。ミネハさん。指示しますから、いくつか拾ってくれますか?」

「いいけど」


緑色の光を4つと黄色の光ひとつの指輪を拾ってきてもらった。


「ふむふむ。これは骨の指輪だねえ」


不気味な指輪を楽しそうに持っている魔女。

ミネハさんは黄色い光の指輪を興味深そうに眺めている。


「これ絶対、結婚指輪。だって裏に名前とメッセージが彫ってある。エリックからエリーンに愛を込めて。だって」


ああ、フラグ立ててしまったか。

合掌。


「うんうん。全部、指輪だったねえ」

「そうね。言われたのは全て指輪だったわ」

「成功……でいいんでしょうか?」

「うむうむ。コンにはそう思えるねえ」

「何か不満なの?」


ミネハさんに言われて僕はうーんと悩む。

いや不満……なのか。


だけど、何に不満なんだ?

なんだ。なにか、そうだ。僕はゴミ場を眺めた。凝視する。


最初からこのゴミ場は……変だ。

そう変なんだ。最初から何がかオカシイ。


だけどでも何がおかしいのか分からない。

ゴールドイーターが潜んでいたからか。


確かに今までのゴミ場にはいなかった。でもそうじゃない。

ひょっとしたら何もないかも知れない。


いいや。何も無いわけじゃない。なにかある。

分からないのは、《《今の僕では解らないからだ》》。


僕は魔女から渡された小瓶を見る。

薬が7錠、入っている。


「魔女。この薬はレリックの感度をあげるんですよね。レリックの効果を増幅させるんですよね」

「おやおや、どうしたんだい。確かにレリックに作用する。特に効果を発揮するように調整しているねえ」

「……ウォフ?」


僕は薬瓶をジッとみつめる。

後で絶対に叱られるだろうな。

自嘲して7つの錠剤を一気に飲み、水筒・三日月の器を口にする。


「えっえっ、ウォフ少年!?」

「ウォフ!?」

「……——————っ!?」


なんだ。なにか割れる。透明の触れない壁が盛大に砕け散る。

頭の中が軽くなった気がした。


いいや心だ。分厚い何かで覆われていたのが全て無くなった。

覆われていたことに無くなってから気付いた。


覚醒しても知らなかった。

自分は今までずっと狭い世界で生きてきたんだ。


だけどそれでも生きていけることも知る。

でも知らなくていいなんて言わない。

知ったほうがいい。そうか。これが成長なんだ。


覚醒とは違う。成長なんだ。


【フォーチューンの輪】が【フォーチューンの円環】に進化する。


【フォーチューンの円環】:真に価値があり隠されている全てを表わす。

             緑の光はレア。黄色はスーパーレア。

             青は滅多に無いスーパーウルトラレア。

             紫はありえないアルティメットレア。

             更に所有者にとって価値があるモノへと導く。

             また自由に選択して表すことができる。


「………………………」


呆然とする。

いや、その、なんだ。なにが、どうなって、どうなんだ。


いったい。なんなんだ。なにが起きているんだ。

僕はレリックと―――目の前の光景がとても信じられなかった。


だが事実としてそうなっている。

信じたくないが幻想じゃない。


僕の眼前に———青い光が無数に瞬いていた。

ひとつじゃない。

無数にだ。

これが、このハイゼンのゴミ場の真の姿か。


「なんだ?」


あの青い光……似ている。

似ている……似ているんだ。僕は無意識に走り出した。


「ウォフっ!?」

「こらこら、いったいどうしたんだねえ?」


似ているんだ。あの青い光。とてもよく似ている。似ていて似ている。

ゴミ山の中腹。この奥か。【バニッシュ】で削っていく。


分かる。分かるぞ。青い光の位置。それがどのくらいか。

【フォーチューンの円環】が感覚的に教えてくれる。


「これだっ! 見つけたっっ!」


埋まっていた青い光を放つ箱を掘り出す。赤い木箱だ。

木箱……表面に雄々しく翼を広げる鳥の絵が描かれている。

なんとなく燃えあがる炎みたいな描かれ方だ。


燃えあがる炎の鳥?


「立派な箱ね」

「ふむふむ。木箱に見えてそうじゃないねえ。これは金属だねえ。それでこの箱がどうしたのかねえ」

「光が似ていたんです」

「似ていたってなにが?」


僕は答えと箱を開ける。

全員の視線が釘付けになり、息を呑む。


箱の中には大事に卵が入っていた。

いいやこれは完璧な卵型のケースだ。


「エリクサーの神聖卵にです」


表面に金色で古代文字が彫られている。

それにはこう刻まれていた。


フェニックスの蘇生卵。


ハイヤーンの三つのたまごのひとつだ。






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