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それなり僕のダンジョンマイライフ  作者: 巌本ムン
Season1

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26/284

探しモノ⓪


朝。

新しく替えた藁のベッドから出て着替えて顔を洗う。


ベッドは木枠に藁を敷いて古い布団を更に敷いたものだ。

ベッドから起きた真正面は台所になっている。


前世のシステムキッチンみたいな上等なモノじゃない。

とりあえず竈とまな板を置く台。

水切り場と水を溜めた樽ぐらいはある。


竈に藁と発火石を入れた。

発火石を砕くと発火する。


竈にはフライパンが置いてある。

鉄でも銅でもなく岩石製で分厚くゴツゴツして底が深い。


握り手には布が何重も巻いてある。

前世で似たようなフライパンを使っていた覚えがあった。


だから道具屋で見つけたとき迷わず買った。

食料壺からベーコンの塊と卵とパン豆をふたつずつ出す。


ベーコンをそれなり分厚く切って、フライパンに入れた。

はみ出るがじっくりと焼く。


「……いい匂いだ」


肉の焼ける音もいい。

焦げ目がついたらひっくり返す。


脂がいっぱいだ。

よし。出来上がり。


少しカリカリな分厚いベーコンを深皿に入れる。

火を【バニッシュ】で消し、脂は多いので油壺へ。


廃油に近いが再利用し、3日ぐらいで消している。

ちなみに生ゴミや粗大ゴミ。それにトイレの尿や糞便なども消している。


レリック【バニッシュ】。便利だ。

僕の棲家はスラム地区の住宅街のちょっと変な立地にある。


宿でもアパートでもなく借り家でもない。

持ち家だ。


正確にいうと叔父の持ち家。

この街に来たのもこの家があったからだ。


棲家は煉瓦造りの建物と石造りの白い石造りの建物の間にある。

一見すると木製の狭く小さな物置きの入り口にみえる。


建物の後ろには古い塔がある。

実はこの物置きの入り口。


両隣の煉瓦造りと白い石造りの建物の入り口だ。

外見はまるで別々の建物のように見える。


だが内部は繋がっている。

部屋は全部で5つだ。


地上で3つ。地下でひとつ。塔でひとつ。

そう後ろの古い塔も棲家の一部だ。


僕は主に2つの部屋を使っている。

左側奥の寝室。左手前の洗い場。それと右のトイレだ。


右側の部屋は物置としている。

寝室と洗い場をふたつ合わせた部屋で樽と木箱でいっぱいだ。


洗い場の地下は貯蔵庫。塔の部屋は小部屋。

最上階にあって見晴らしがいい。


ふたつも建物を使っている。

なのに棲家は見た目と違って広さはあまりない。


周囲の壁が厚いからだ。

棲家は叔父曰く冬場はいいが夏場は蒸し暑い。


暑さ対策として塔から風通しが良いようにはしてある。

それでも暑かったら地下を上手く使えと言われた。


去年言われたとおりにしたら夏場は快適に過ごせた。

地下は冷たい。


だから貯蔵庫として使うのにぴったりだ。


「……」


卵をふたつ割ってフライパンへ。

水筒の中身・冷えた牛乳を入れて塩コショウして掻き混ぜる。


ほどよく混ざったら火を付けてバターを投入。


木ヘラで混ぜ混ぜして焼く。

半熟になったらベーコンのある深皿に入れる。

後はパン豆を添えれば出来上がりだ。


「うん。いい出来だ」


ベーコンとスクランブルエッグ。


前世の朝食でよく作っていた。

この世界でも、たまにつくっている。


「それにしてもホント便利だな」


レジェンダリー・三日月の器。

特に浄水機能と冷温機能が使い勝手が良すぎた。


貰ってまだ5日だが、これがないと生活できない。

調合機能は様子見だ。


これを本格的に使うには僕に足りないものが色々ある。

まず知識。


ベーコンを食べてスクランブルエッグを口にする。


「……スクランブルエッグに塩はいらなかった……」


ベーコンの塩辛さと相まってしまった。

歯応えはいい。カリカリとした肉の食感も悪くない。


ただ塩辛く濃い。

おかげでパン豆が捗るが、ちょっと間違えたな。


食べる合間に水筒を口にする。

冷たい牛乳。おいしい。


「ふうぅ」


なんとか食べ終わる。

塩加減が課題だとしみじみ思う。


深皿とフライパンを洗って歯磨きする。

炭を口に含んでミガという木の枝で歯を磨く。


歯磨きは終わった。


次は、毎日の訓練。

レリック【バニッシュ】の訓練だ。


【バニッシュ】は使い勝手がとてもいい。

だが危険が無いわけじゃない。


なんでも消せる【バニッシュ】は一歩間違えたら大怪我じゃすまない。

だからこそ毎日の訓練としてルーティンに組み込んでいる。


「…………」


利き手に【バニッシュ】を出現させる。

最大化から徐々に小さくして指先のビー玉ぐらいの大きさにする。

これを3回繰り返す。


「……少し早くなったかな……」


ビー玉くらいにした【バニッシュ】であそぶ。

指先を伝わるように面白く転がる。


だが決して指から手から離れることはない。

それとナイフ捌きと日課の訓練を終える。

水筒の冷たい牛乳を飲み干す。


「ふう」


これで僕のいつもの朝は終わりだ。

今日は何をしようか。


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