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それなり僕のダンジョンマイライフ  作者: 巌本ムン
Season3

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239/284

心からのブレスレット④・シャルディナとミノスドールズ。


シャルディナはミノスドールでも他と違う。

青い角で金髪だけど肌の色が白い。

レリックを所持している。カトラスを持っている。


話をすることが出来る。ムニエカさんにとって混乱期・暗黒期の年齢がモデル。

そして僕を押し倒そうとしている。


「ヒデー、デス!」

「えっなにが」

「マスター。アンナクロイツェンが、好きなのデス?」

「えっとなにが」


アンナクロイツェン? 

あっ、ひょっとしてブレスレットあげたミノスドールの名前かな。


「ブレスレット、デス!」

「あれは感謝のしるしで皆の分もありますよ」


そう言うとミノスドールのメイドたちがワァッッと騒いだ。

シャルディナが静粛に静粛にっとパンパン手を叩くと静かになる。


「ホントウに、全員分、あるのデス?」

「ありますよ」


またミノスドールのメイドたちが沸く。

そして一部のミノスドールたちがゲートをくぐったり、昇降機で下へ行った。

なんだろうと怪訝にするとハイヤーンが答える。


「他の面子を呼びに行ったんだろう」

「居たんデスか。ハイヤーン」

「最初から居たぞ! それで、ウォフ。これは何の騒ぎだ? アンナクロイツェンがキスするとは、う゛ら゛や゛ま゛じ゛い゛っ!! いつか刺されるぞ貴様ぁっ」


なんで血涙流しそうな迫力で言うんだ。

シャルディナが尋ねる。


「マスター、刺されるの、デス?」

「刺されません」


なんで刺されるんだよ。

ミノスドールのメイドさんたち。分かる、みたいにウンウンと頷かないでください。

なんか本当に刺されそうに思ってしまう。

アンナクロイツェンさんが前に出た。ブレスレットを指差す。


「はい。今、渡しますね」


するとアンナクロイツェンさんはポーチから出そうとする僕の手を止めた。

ちょっと待ってという仕草だ。

やがて下からふたり。ゲートを通ってふたりが入ってくる。


ミノスドールのメイド8体。全員が揃う。なんだか華やかで壮観だ。

アンナクロイツェンさんが揃ったミノスドールのメイドたちに何か指示する。

その直後、シャルディナを除いた全員が横に並び一斉に腕を差し出した。


その一糸乱れぬ動作はミュージカルの一場面みたいだった。

僕は手前からひとりずつブレスレットをつけて頬や額にキスを代わりに貰った。


とても造り物と思えないほど彼女たちの唇は柔らかかった。

そして流れ作業みたいになっているところはあるけど、キスの仕方に個性があった。


恥ずかしそうに眼を閉じてそっとするウブなミノスドール。

僕の顔を両手で支え、両頬にキスする大胆なミノスドール。

僕の頬に片手を添えて反対側に深くキスする情熱的なミノスドール。

何故か二回キスする積極的なミノスドール。

キスマークをつけようとする油断ならないミノスドール。

僕の唇をジッと見てから頬にキスする危ないミノスドール。


キスした後、どのミノスドールもブレスレットを熱心に熱っぽくみつめている。

嬉しいんだろう。よかった。


「マスターっ!」


最後はシャルディナだ。

基本的にブレスレットは身体の特色に合わせている。


だからミノスドールは青の輪と黒い宝石だ。ところがシャルディナだけ白い。

金の輪で白い宝石が填め込まれたブレスレットをシャルディナの腕に通す。


「……どうですか」

「マスター……」


シャルディナの銀色の瞳が揺れて僕をみつめる。あれなんだ。

シャルディナはスッと目を閉じた。

えっと、あれ、シャルディナが……なんか待っている? 待ち姿勢だ。


迷うとアンナクロイツェンさんが、シャルディナへキスするように勧める。

つまりそういうことか。さすがシャルディナ。どこまでも独特。


フッと笑って僕はシャルディナの頬に接吻する。

シャルディナも勢いみたいな感じで僕の頬にキスした。

離れると嬉し恥ずかしみたいな態度をとる。


これで全員に渡し終えた。彼女たちは僕に頭を下げる。僕も下げた。

そして解散し、作業を再開する。

シャルディナはブレスレットを通した腕を掲げて見ていたが、仕事に戻っていった。


「おい。ウォフ」

「居たんですか。ハイヤーン」

「居たぞ。それはいい。おまえ。彼女達を普通に扱うんだな」

「……どういう意味です?」

「いくら自我があってもミノスドールは人間ではない。それを忘れているのか」

「忘れてはいませんけど、彼女たちは彼女たちです。人間かどうかなんて僕は気にしません」


それに前世の記憶に『ゴーレムっ娘萌え』というのがある。業が深い。

ハイヤーンはどうなんだろう。


「ハイヤーンは気にしますか」

「一応はな」

「ウサギなのに」

「それは関係ない。まあ、ウォフのスタンスにどうこう言わない。だがこれだけは言っておく。いつか刺されるぞ貴様ぁっ」


だからなんで血涙流しそうな勢いなんだ。


「というか刺されろ貴様ぁっ!」

「単なる願望っ? というか一応気にしているって言いながら、ミノスドールをちゃんと女の子として扱っているじゃん!」

「うるさい貴様っ、我がメイドパラダイスをよくも汚したな!」

「知るか」

「むしろ我が刺す! 覚悟しろっ女誑し好き!」


僕は素早くハイヤーンの耳を掴んで持ち上げた。


「よし。今日の夕飯ゲット」

「ごめんなさい」


まったく。

その後、トレーニングルームで僕は槍術を学んだ。

これはトレーニングしがいがある。1日1回、必ずやろう。


トレーニングが終わると腹が減った。


「……ご飯、行くか。ハイヤーン」

「なんだ」

「腹は?」

「減ったな」

「飯、行きませんか」

「どうせ『シードル亭』だろう」

「まぁ、そうですけど」

「当然奢りだろう」

「じゃあひとりで行ってきます」

「待て、冗談だっ!」


言うなり僕の肩に乗る。ホントこいつは、しょうがないな。


「そういえばダガアはどうした?」

「今日はミネハさんたちと一緒ですよ」

「母親が来ていたな」

「そうですね」


僕は転移ゲートをくぐった。


















さて、さて、どうするか。どうするかねえ。


「ウォフ。やはり貴様は刺される運命だったな」

「…………」


この事態に無駄ドヤ顔のウサギをヌンチャクとして使うか。

投擲物として扱うか。あるいは【ナイフマジック】のマジックに巻き込むか。


何故か僕は路地裏で男たちに囲まれていた。

近道しようとしたら挟まれて追い込まれ、裏路地で囲まれてしまった。


別に珍しいことじゃない。ここ最近は良くあることだ。

祭りが終わってもその余韻は残響のようにハイドランジアに残っている。


本格的に静かになるのはまだまだ掛かりそうだ。

それは犯罪も同じだった。

その被害者の殆どは女性や少女だけど、たまに男性や少年も被害に遭う。


しかし、この男たちは僕が目当てらしい。

いきなり出会頭に「おまえ。ウォフだな」って聞かれた。


「てめえ。覚悟しろ」


手前の男がナイフを取り出した。

それを合図に全員が剣や斧や槍やナイフやらと武器を手にする。


「やはり刺されるか。むしろ刺されて来いっ」

「…………」


とりあえず僕は男たちにハイヤーンを投げた。




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