表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それなり僕のダンジョンマイライフ  作者: 巌本ムン
Season2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

137/284

トルクエタムとウォフ③


似ているとかじゃない。そのまんまだ。

でもここにあるはずがないので似ている塔だろう。

だとしたら、なんなんだこの塔。


「驚いたであろう。わらわも最初は驚いた」

「……はい。僕の家の見張り塔そのものです……」

「ここまで似ているのは何か関連があるのかも知れぬのう」

「関連ですか」

「入ってみるか?」

「いいんですか」

「構わぬ」


この塔にはドアがあった。木のドアだが鍵が付いている。

パキラさんがこれがそうだと鍵をみせた。


塔のドアを開ける。

途端、カビ臭くてぬるい風が吹いた。僕は鼻や口を隠してぼやいた。


「ひょっとして入ったことないんですか」

「わらわたちはそうじゃな」


内部構造も一緒だった。螺旋階段を上がって小さな部屋がある。

そしてそこから更にあがると塔の頂上だ。


上がってみる光景は……屋敷の屋根がちょっと見えるぐらいか。

何故ならこの塔は屋敷の屋根と同じぐらいしかない。

見張り塔の意味が無していないなと苦笑する。


屋上の大きさも見張り塔と同じだ。吹き抜けで天井があってそんなに広くない。

椅子がひとつあるだけだ。


ふと思う。僕の家の見張り塔は現在どうなっているんだろう。

ミネハさんが色々と持ち込んだのは知っている。


女の子が使っているので入ることは出来ない。


「……なんだかのう。景色はあれじゃな……」


パキラさんがあからさまに残念な顔をする。

そりゃあ四方見回しても屋敷の屋根だけしか見えないのはガッカリする。


「たぶん塔が最初にあってそれを囲むように屋敷が建てられたんだと思います」

「ふむう。そうじゃのう。して、どうじゃ塔の中身は」

「まるっきり同じですね」

「ふむ。残るは部屋だけじゃな」

「……部屋……?」


思い返してみる。棲み家の塔に部屋ってあったか?

もうずっと登っていないからな。


パキラさんが部屋のドアのカギを開ける。

部屋には埃がかなり溜まっていて、色々なガラクタが置いてあった。

木箱も積んであり巻物も埃を被っている。なんか像とか絵画とかある。


「けほっけほっけほっけほっけほっ」

「こ、これは酷いのう」


堪らずパキラさんが窓を開ける。というか開かないので杖で壊した。おいおい。

日の光が差して風が入ってきた。埃がホントひどい。


この埃をあらかた払うまで時間が掛かった。

改めて部屋を見回す。


「色々とありますね」


木箱。巻物。石像。絵画。それらが雑多に置かれて完全に物置だ。

試しにレリック【フォーチューンの輪】を使ってみる。


んー反応……壁? ええぇ……壁が黄色に光っていた。

黄色か。黄色か……黄色だよなぁ。


あぁー黄色か。ウルトラレアか。ろくなこと無いんだよなぁ。


「なんじゃ?」

「うーん」


一応コンコンと叩いてみる。うーん。普通の壁だよな。

それにしても真っ白い壁だ。ここだけ。他は古い石壁。

ここだけが真っ白い。怪し過ぎる。


「その壁がどうかしたのかのう」

「えーと、あっ」


気付く。パキラさん顔が近い。白毛が一房だけ混じって緑の髪。

ふわふわっとした白毛の猫耳。透き通る白い肌。

キラキラと綺麗な翡翠の瞳をしている。薄桃色の唇が艶やかだ。


「なんじゃ」

「ああ、いえ、その……あれ」


壁の一番下の……右端の一部が緑色に光っている。

僕はしゃがんでその部分に触れた。あれこれだけ壁じゃない。

軽く押すとスライドして空洞が出来ると緑色の光が消えた。


「…………」


前々から思っていたが【フォーチューンの輪】って進化している?


と、とりあえず空洞に手を伸ばす。

何も入っていない。ただ、上の方にスイッチみたいなのがある。押す。

するとカチャカチャっカチャッと上の方で音がした。


「ウォフ、なにをしたんじゃっ!?」


パキラさんが驚いた声を出す。


「なにってスイッチを」

「見よ壁を!」


壁? まだカチャカチャガチャッと音がしていると思いながら顔をあげる。

絶句した。白い壁がブロック状に目まぐるしく変化していた。

よく見るとブロック単位で回転している。裏返しだ。


段々と壁に絵が描かれていった。なんかドミノが倒れて絵が現れる感覚に近い。

なんだ。この絵。横倒しになった船の底?


「これは街のダンジョン12階層の……箱舟遺跡……に似ておる」

「同じのが12階層にあるんですか」

「う、うむ。似ておる」


箱舟遺跡……なんでそれがこの塔の壁に描かれているんだ。

全て壁が変わると最後に文字があらわれた。古代語だ。


「……ええっと『ハイヤーンの遺産。いつか果てぬ夢。辿り願う者。聖印を持ち第二の塔へ』……聖印?」

「これじゃな」


カチリっとパキラさんが何かを壁から取り出した。

その瞬間、カチャガチャカチャガチャカチャっと絵が元の白い壁に戻っていく。


パキラさんが取り出したのは丸いメダルの様なカタチをしていた。

表に文字では無い独特な文様が刻まれていた。材質は色合いから銅かな。

あれ、待てよ。この文様どこかで見た覚えがあるような。


「これが聖印ですか」

「そのようじゃのう。ほれ」


パキラさんが僕に聖印を渡す。


「えっ」

「おぬしにやろう」

「いいんですか」

「到底足らぬが礼代わりじゃ。それに第二の塔はおぬしのところじゃろう?」

「恐らく……たぶんですけど」


他にも塔はあるかも知れないが、まあ家の塔を調べないってわけにはいかない。

ふとパキラさんは呟く。


「ハイヤーンの遺産とはのう」

「知っているんですか」

「いつか果てぬ夢。昔、何かの本の記述にあった覚えがある。詳しくは思い出せぬ。じゃがのう。あの箱舟遺跡が関係するとなると、またえらいことになるのう」


パキラさんは猫耳を小さく動かし、二本の長短の尻尾を揺らした。


「……なにかあるんですか」

「あるかは分からぬ。なにせ12階は巨石群。特に箱舟遺跡はなにも分かっておらんのじゃ。誰も知らぬ。何故にあのような階層で、横たわった巨大な船底のような巨石があるのかのう……」

「石なんですね。それで箱舟ってなんで呼ばれているんですか」

「それも分からぬ」

「でも街のダンジョンか。今は閉鎖してますよね……」

「そうじゃな。調査団が戻ってからじゃな」


それからだな。

とにかく……気になるから帰ったら家の塔を調べよう。

ただ問題はミネハさんだ。








帰る途中。後ろから声を掛けられた。


「おい。おまえ」


僕は周囲を見回す。誰もいない。僕か。


「なんですか」


止まって振り向く。ふたり組の男だ。

風貌はもうノッポとデブ。なんというかもうノッポとデブ。

格好は、うーんという感じで特に何も思わない。


雰囲気はあれだ。取り巻きAとB。

そのAであるノッポが言った。


「い、今、トルクエタムのところから出てきただろう」

「そうですね。それがどうしたんですか」

「て、てめえ。いったい彼女たちに何の用だったんだよっその袋はなんだ」


そのBことデブが僕を睨みながら吠える。

ううーん。僕は困った。なんなんだこの取り巻きAB。


「てめえっ黙ってねえで言えよっ」

「お、おい。ノポ。もう殺しちまおうぜ。こんな害虫」

「そ、そうだな。デッブ。俺達のトルクエタムにつく害虫めっ!」


害虫って……ノッポとデブは剣を抜く。長剣と分厚い剣だ。

なんで剣? 普通はナイフじゃないのか。


あとマジか。ここって路地裏じゃないよな。

人目が沢山ある街の往来だ。現に僕達を何人か遠巻きに見ている。


そんなところで抜刀? こいつら。なに考えているんだ。捕まるぞ。

それに、うーん。今の僕は両手が袋で塞がっている。


帰るときにせめてものお礼とルピナスさんに沢山のお菓子を持たされたからだ。

一番上のリンゴはリヴさんから貰った。


「死ねえええっっっ」

「害虫がああぁぁぁっっっっ」


ノッポとデブが襲い掛かる。勢いだけはあるなあ。勢いだけ。

参ったな。僕の両手は塞がっている。しょうがない。


ノッポのノロい長剣を避け、デブの遅い分厚い剣を、後ろ回し蹴りで弾く。

魔女の修業で体幹は随分と鍛えた。


「ぶひぃっ!?」


そして両手は塞がっても脚は塞がっていない。


「貴様ぁっ!」


ノッポが怖れて下がる。僕はデブを踏んで跳躍した。

デブが地に伏せる。


「でぶうぅっ」

「踏み台にしただとぉっ!? ぐべばぁっ!」


ノッポの頭上にカカト落としを炸裂させた。

脳天直撃だ。ノッポは地に落ちた。


なんかよく分からないノッポとデブを倒した。

いやホント。なんだったんだろうこいつら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ