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それなり僕のダンジョンマイライフ  作者: 巌本ムン
Season1

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トルクエタム①


ごきげんよう。

わたくしはルピナス。

ルピナス=ロード=デントンですわ。


トルクエタムのリーダーでタンクを務めてますの。

メンバーは猫獣人の属性使いパキラ。凄腕剣士で不思議少女のリヴ。


そしてわたくし。エルフですの。

それも由緒正しいエルフの中のエルフ。というか貴族ですの。


エルフ=ロード。子爵家ですわ。

先祖代々のオーパーツのアキレーンの盾。

レリック【堅固】で皆を護るのがわたくしの役割。


ちなみに年齢は18歳。ちゃんと18歳。

決して28歳とか38歳とか48歳じゃないですわ。


いくら見た目が大人っぽくてエルフだからって年増扱いは失礼ですの。

まあでも大人っぽいっていうのは……ちょっとは悪い気はしないですわね。


それに成人は過ぎているから、大人ですの。

しかし何故か変ですわね。そういう気がしないんですの。


パキラもリヴも成人過ぎているのに周囲もそういう扱いしませんし。

未だに彼女たち少女や女の子やお嬢ちゃん呼びされているし。


わたくしもおふたりを大人扱いできるかというと、難しいですわ。

それに成人過ぎててもお酒とかは20歳からですの。


つくづく14歳って何の成人って思いますわ。


それはともかくトルクエタムは全員が第Ⅲ級討伐者。

討伐者全体の8割が第V級。


その越えられない壁といわれた第Ⅳ級のひとつ上ですの。

それに10代で第Ⅲ級はとても珍しいんですわよ。


あまり傲慢に見えるから言いませんけど、わたくしたちには才能がある。

自慢でも驕りでもなく、純然たる事実として才能がありますの。


そんなわたくし達が……新進気鋭と呼ばれ称えられた。

第Ⅱ級試練の資格を得たトルクエタムが全滅しそうになりましたの。


いいえ。

これは全滅ですわね。


相手はダンジョンの下層で遭遇したキマイラ。

銀等級の下位魔物。


通常ならそう難しい相手ではありませんわ。

でも、あのキマイラは白かった。白いキマイラ。


そしてその強さは、第Ⅲ級のわたくしたちでも勝てるかどうかの難敵でしたの。

あれが噂のアルビノ体。特別なダンジョンの魔物。


遭遇したのは初めてですわ。


火・雷・風のレリックの尾が強力で動きも獅子のよう。

でも一番最悪なのはレリック【邪視】でしたわ。


目が合った対象の自由を一瞬だけ奪う。なんとも卑劣なレリック。

等級の魔物相手では刹那の隙でも致命傷。


しかも相手はアルビノ体。

果敢に戦いを挑むも【邪視】で動きを封じられ、わたくし達は全滅したのですわ。


いえ、したはず……ですの。

でも現にわたくし達は生きていますわ……何故ですの?


それも発見されたとき無傷の状態でした。

それでも、あの痛みもあの傷も、敗北の屈辱もなにもかも鮮明に覚えてますわ。


じゃあなにが起きて?

リヴが言うにはエリクサーが使われた、らしいんですの。


あの飲める伝説のレガシー。神世のポーションとも呼ばれる。


生命と魂の薬・エリクサー。


確かにエリクサーなら瀕死のわたくしたちを助けることが出来ますわ。


でも誰が? 何の為に? どうしたわたくしたちを?

無償でエリクサーを使うなんて、そんなのあり得ませんわ。

こればかりは考えても全く分かりませんの。


それともうひとつ。

パキラが持っていた帰還石が無くなってましたの。

だけど、あのときわたくしたちの誰も使えるはずがない。


だってわたくしたちは倒れて気絶していたんですもの。

もっというと死にそうになってましたの。


誰かがわたくしたちにエリクサーを使って、そして帰還石で帰還させた。

そんな馬鹿な話……ありえませんわ。

ここは真相を確かめるべき、わたくしたちはギルドの調査隊に志願しましたの。


あの階層へ。

キマイラは居なくなってましたわ。

でも地面にはうっすらとだけど黒い染みが点在していましたの。


「リヴ。どう?」

「……ふたりの血……」

「そうですの」

「ふむ。決定的じゃな」


間違いない。誰かがわたくしたちをエリクサーで治癒。

それから帰還石を使って助けたんですの。


「なぜ?」


それといつまで経っても名乗り出ない。

おかしい。


何か目的があっての行動としか考えられませんわ。

特にエリクサーを無償で使うなんて絶対にあり得ない。


探索者としても人としてもそんなこと……魂胆があるはずですわ。

ある日、黒い鎧騎士の一団が目の前に現れるかもしれない。

貴族が現れるかも知れない。

それが至高種族エッダかも―――不安と恐怖ばかりですわね。


そう用心して警戒しながらわたくしたちは依頼をこなしていく。

何も起きない。いたずらに日数だけが過ぎていく。




拠点に使っている高級宿の特別室。

持参の愛用テーブルと椅子で優雅にお茶を愉しんでいたとき。


「ふたりとも……リヴ……すっかり……忘れていたことがある……」


向かいに座る彼女がぽつりと言ったんですの。


「唐突ですわね」

「なんじゃ?」


この子。ホントいきなりですの。

トルクエタムを組んでからそれなりに一緒にいますわ。


未だによくわからない性格ですの。

よくわからないのは性格だけじゃなく格好もですわね。


そもそも彼女が何者なのかもよく分かりませんの。

でも嫌いじゃありませんわ。仲間ですもの。


「……前にエリクサーの……匂いがする少年に会った……」

「なんじゃと」

「なんですって!?」

「……忘れてた……」


わたくしはため息をつく。

まったくこの子はホントにまったくもう。

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