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脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


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迷子

肩がほぐれて、マッサージがお気に召したようなので

ソファにうつぶせになってもらって体全体もマッサージする。


「ん…あっ…あんっ」

急に側妃が喘ぎ声を上げ始めた。

『く、悩ましい声を』

ああこれはわざとだな。

「扉の向こうの彼にですか?」

と言うと

「あー、わかっちゃう?」

と側妃は笑った。


「なんでそんなに煽るんです?」

「やきもちやかせていたいの。」

「彼は充分心酔してると思いますが。

どうしてちゃんと関係を築かないんですか?」

と聞くと側妃は唇を尖らせて答える。

「だって悔しいじゃない。

私があの子と良くなったら、従兄を解放するって目論んでたのよ?」

言いながら側妃の感情は複雑に揺れて、その思考に垣間視えるものがある。


ああわかってしまった。

本気の相手に出会ってからの自分に向けられた王の熱の籠らない視線。

それに気が付いた時の真っ暗な崖の下に突き落とされるような気持ち。

こわいんだ。例え隷属の魔法でも心までは縛れないから。

『トラウマ!』

うん。なってるんだろうね。


「でもあの人取られちゃったらやきもち焼かせるのも難しくなるわね。」

と側妃が言う。

「他の男たちを使えばいいのでは?」

と言うと側妃は吐き捨てるように言った。

「たった一晩の色仕掛けに陥落するようなのを近くに置くわけないじゃない。」

『ド正論』

哀れなる男たちよ。合掌。


「そうだわ。あなたここに残らない?」

名案を思い付いたように側妃が言う。

「いえ。私は情夫には」

「別に情夫としてじゃなくたってここの所属になるだけよ。

自由にしてあげるわ。

どうせ陛下にいいように使われているんでしょう?」

む。確かにいいように使われてる気がする。

『悪くない提案だお!』


それでも隷属の制約魔法を掛けられるのはなぁ。

「いえ。謹んでお断り申し上げます。」

「じゃせめて陛下を驚かせましょうよ。」

側妃はいたずらっぽく笑った。


マッサージの最中に寝入ってしまった側妃を従者を呼んで寝台に運んでもらって

私はそのままソファで寝ることにした。

横になったところで

頭の中でポロン♪と楽器の音がする。


『複雑に揺れる側妃の心を例えるなら

大海原の波に揉まれる小舟のよう

その小舟に仮初めの休息を求める小鳥のよう』


『幼い頃から

父王の愛妾であった母を見て育った彼女にとって

寵愛を失うことの恐怖はどれほどのものだったことでしょう。』


『それでは聞いてください。

“迷子の小鳥”


♪迷子の小鳥が見る夢は

 緑豊かな花咲く大地

 ゆるぎないもの 確かなもの

 その身を預け穏やかに眠れる温かな場所♪』


『それを一度は手に入れた。そう思った。

その記憶が余計彼女を苦しめるのです。』


『♪突然の大波に

  花咲く大地は夢と消え

  波に洗われた砂浜に

  ただ一人きり残されて

  潮が引くように離れてく

  追いすがっても届かない

  どうして私じゃなかったの♪』


『そこにいたのは運命の恋人たちと傍観者。

一人残された迷子の小鳥は

今も心細さに震えているのです。』


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