ただし!
「私のところにくれば毎晩いいことしてあげるわよ?」
言いながら側妃が羽織っていたガウンみたいな服を脱いだ。
下はノースリーブで胸元も大きく開いた、生地の薄いワンピースだ。
襞を多く取ってはあるが張りの無い生地で
メリハリのきいた身体のラインが露わになっている。
肉感的と言うか煽情的と言うか
『えっちなからだ!』
一言でいうとそんなかんじ。
「あなたも脱いで」
側妃が私のシャツに手を伸ばしてボタンをはずそうとする。
『いやー!襲われちゃう!』
うれしそうだな。
「いやいやいや」
制止しながら従者の方を伺う。まじで殺されそうだから。
「あなたもういいわ。二人にして」
と側妃は浅黒い肌の男に指示をした。
側妃には従順な顔をして男が部屋から出ていく。
『いよいよ!』
いや扉に張り付いて中を窺ってるよあの人。
『童貞卒業のチャンスだお!』
いや私は側妃に隷属する気は無いんだけど。
『よく考えるお!
関係を持つことと忠誠を誓うことは別だお!』
は?
『つまりやり逃げも可能!』
そんなことしたらさっきの従者に殺されるでしょ。
『側妃様を満足させればお咎めなしだお!』
そんなわけないでしょ。
『今こそ神々より授かりし数多の加護を使う時ィ!』
だお君が高らかに叫んだ。
『《持久力アップ》でしょ!《増大力アップ》でしょ!
あとこれ《膨張率調節》なんてのもあるお!』
なにそれ。さすがに苦笑なんですけど。
『膨張率を微小単位で調節できるお!
どんな相手にもぴったりフィット!満足な夜をお約束!ただし!………は?』
ん?
『こっこれも!これも!これも!』
『そっち系の全ての加護にただし書きがついてるお!!』
ただし真実の愛に限る、とか?
『……』
まあいいじゃない。
たったひとりの愛する人にすべての情熱を捧げるっていうのもロマンチックじゃない?
『何言ってるお!これだけの技巧を持ちながら限定使用だなんて!』
こと性的なことに関してはそれでいいんじゃないの?
『よくないお!宝の持ち腐れだお!』
逆の立場で考えてよ。
だお君は自分のパートナーがすごく上手だったら、
もったいないから他の男も幸せにしてきなよって言うの?
『ぐぬ…男と女は違う』
同じでしょ。
『違う!
子孫を残すためにより多くの種をまくのは男の本能であり
種の存続のために必要なことなんだお!』
それなら女の本能はより優秀な遺伝子を残すことなんだけど?
托卵おkってこと?
『なんでそうなるんだお!自分の遺伝子を残せないなら意味ないお!』
種の存続には貢献できるじゃん。
『くっ…鬼!ミズキのバーカ!バーカ!』
「あなたどういう服着てるのよ。」
私の服のボタンを外そうとして側妃が手間取っている。
今日渡された服はやたらと細かい装飾が多くて着るのに時間がかかると思っていたけど
このためだったとか?
そこで扉が叩かれた。
「なによぅ?」
と側妃が言うと扉が開いて従兄さんが入って来た。
「忘れ物がございまして。」
と壁際の引き出しを開ける。
「どうせ明日帰ってくるのに?」
という側妃には言葉を返さず従兄さんは私に話しかけた。
「息子が世話になってるそうだね。」
息子?
従兄さんの顔をじっと見て面影を探す。
「あ、アリーの?」
従兄さんは微笑みで肯定するとそのまま扉にむかう。
扉の前で側妃に向けて深々とお辞儀をした。
「長い間お世話になりました。
側妃様のご多幸を影ながらお祈り申し上げております。」
「やられたわ」
従兄さんが去った扉を睨んで側妃が呟いた。
そして私のシャツから手を離す。
「さすがに息子の友人に手は出せないわ。」




