これから
応援してくれるよな、と言われても
二人の過去を知ってしまったら気軽には出来ないかな。
ロイスの傷は深いもの。
とはいえ長年のウィズの片思いをただ切り捨てたら
良くない結果に結びつきそうな気がする。
ここは別の角度から熱を冷ました方がいいんじゃないかな。
「それ以前に現実的に考えてみてさ、」
とウィズに問う。
「君は故郷を捨てられるかい?」
ウィズはキョトンとした顔をする。
「仮に君たちが結婚したとして」
と言えば
「けっこん…」
のぼせたように頬を染めるウィズをルルナがキッと睨む。
「ロイスは故郷に帰る気は無いだろうし、実際帰れる場所もないだろう。
でも君はさ、家族が居る訳だよ。
でもその家族はロイスにとっては敵でさ。
それでもロイスと一緒になりたいなら故郷も家族も捨てるしかないだろう?」
「学校を卒業すれば国の仕事をするわけだし故郷には帰らない。
家族に紹介する必要もないさ。」
軽い。『そして甘いお!』
「もしロイスが理解ある家族に恵まれた人と一緒になるなら得られたはずの家族のサポートも
君と一緒になったら得られないわけだけど、それについてはどう思う?」
「俺が全力でサポートするさ!」
『軽いお!甘いお!綿菓子みたいにフワフワのスカスカだお!』
うん。ちょっとの水分で綿菓子みたいに溶けそうだ。
「とても困難な道だと思うけど。」
「乗り越えて見せるさ!」
前向きなのはいいけどなんか違う。
部室での二人の会話を思い出す。
私の見た目だけでしょう、とロイスは言ってたな。
「ロイスのどんなところが好きなんだ?」
と聞いてみる。
「全部!」
とウィズは即答した。
『見た目全部?』
うーん。
「具体的には?」
と聞くと
「意外と芯が強いところとか
いつも大人しいのに時々大胆な行動に出たりするのも目が離せなくて。」
好きと公言したせいか堂々と語るウィズにルルナが苦虫を嚙みつぶしたような顔をする。
まあ見た目だけってことではなさそうだ。
ほんとにずっとロイスを見てたんだな。
「とりあえずは少しずつでも信頼を得ていくしかないんじゃないか?」
決して焦らずね、とくぎを刺す。
ルルナには、例の笑顔のことだけはしっかり誤解だとロイスに伝えて貰うように頼んで
あとはロイスの気持ち次第かな。
ウィズは結婚の幻想に浮かれたように帰って行った。
その後ろ姿を見て
「あれは駄目だな。」とオングが呟く。
「軽く考えすぎ」ルルナも厳しい。
私もウィズにそんな覚悟があるようには思えないけれど
「まあ信じてみようよ。」
とその場は収めた。
その試金石は案外早くやって来た。




