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脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


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ロイスの過去

「なんでだよ!」

ウィズの大きな声にノックしようとする手が止まる。

「みんなに褒められてうれしそうにしてたじゃんか。

なんで俺には」


「あなたに何を言われても

呪い子と罵られるのと同じことです。

私の見た目だけでしょう。」

ロイスの声はひどく固く冷たい。


会話が止まったのでノックをして部室に入る。

冷えた空気に

「何かあった?」

と聞くと

「何もないです。」

とロイスが笑顔で答えた。

その顔を横から見たウィズは立ち上がって部屋を出て行く。


ルルナとオングが入れ違いに入ってきて

「どうしたのぉ?」

とウィズの後姿を見て聞いた。

「ウィズ君の取り分持ってきたのにぃ。」

私が渡してくると預かってウィズを追いかけることにした。


ウィズは裏庭で校舎の壁に寄りかかって座り込んでいた。

私が近付くと顔を膝の間に埋めるように下を向く。

「どうした?」

と隣に座って顔を覗き込む。

『泣いてるお!』ええ?


「ロイスに振られたのか?」

と聞くと

「振られたってなんだよ。バレてんのかよ。」

と目を擦りながら言う。

「まあ私にはね。」

「告白したわけじゃない。」


さっきは容姿を誉めたら素気無くされたのだと言う。

「みんなには嬉しそうに笑顔を見せるくせに俺には…」

「下心が透けて見えるんじゃないか?」

『ガツガツしてる男って嫌よね!』誰よ。

『サイテー!男子サイテー!』だから誰よ。


「ずっと好きだった。

初めて見た時は妖精かと思ったんだ。」

ウィズはロイスに初めて会った時のことを話し出した。

夜の湖のほとりで星明りに浮かび上がるようなロイスの姿はそれは幻想的だったそうだ。


あれ?と嫌な推測が湧き上がる。

「それはいつの話?」

と聞くと

「7,8年前になるかな」

と言う。

「まさか同郷?」

「うん。」

て、ロイスは故郷では呪い子とか言われて避けられてたって聞いていたけど。

これはロイスに話を聞くべきだ。

ウィズにはとりあえず取り分を渡して部室にひとり引き返した。


ロイスにウィズのことを尋ねると、同郷だと言う言葉にルルナもオングも驚いていた。

「ロイスはずっと故郷で爪弾きにされてたって言ってたよね?」

ルルナに問われるまま、ロイスは故郷での話を始めた。


故郷でのロイスの扱かわれ方は私が想像していたものよりずっと酷かった。

もの心ついた頃には町外れの森の入り口近くの小屋に追いやられ、町に行くことは禁止された。

「それでも私は幸運だったのだと思います。」

生家は裕福で、数日おきに食料を持った使用人がやってきて飢えることは無かったし、

しばらくしてどこからかやってきた世話係が住み込むようになったという。

その世話係はよそ者ゆえか偏見を持たず、かつ博識で

ロイスの魔法の才を見出したのも魔法学校を勧めて王都に連れ出してくれたのもその人だったのだとロイスは話した。


基本、他の住民に会うことは無かったが、町の子供たちは時折大人の目を盗んで森に遊びに来ることがあった。

ロイスの姿を見つけては、呪い子と悲鳴を上げて逃げ出すのを遊びにしているようでもあったという。

「ウィズ君も?」

とルルナが聞く。


「彼は、ウィズさんは私に暴言を吐いたり逃げたりはしませんでした。」

思い出を噛みしめるようにロイスはゆっくりと話す。

「でもある時…」

と、言葉に詰まった。

「彼を含む町の子供たちの一団と鉢合わせてしまって…それで…」

言葉を絞り出すように続けたが、そこまでで俯いてしまった。

傷が深すぎて簡単には口にできないんだろう。

「無理に話さなくていい。」

と言うと

「ごめんなさいっ」と立ち上がって出て行ってしまった。


ルルナが後を追おうと立ち上がったが扉の所で振り返った。

「ミズキはウィズ君を呼んできて!」

強い口調で命令される。

「どうするの?」

「決まってるじゃない!」

ルルナの口から物騒な言葉が飛び出した。

「吊るし上げよ!」


ルルナが出て行ってからオングが話し出す。

「僕とルルナは同じ孤児院で育ったんだけどさ。

ルルナってああいう感じだから目を付けられることが多くてね。

だからこういうことには厳しいんだ。」

『イジメ絶許ガールだお!』



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