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制約魔法

「君、王家に婿に入らないか?」

「は?」

「どの姫でもいいぞ」

『お姫様!』

「いえ私は平民ですし」

「もちろん手順を踏んでどこかの貴族の養子にするさ。恋人がいるなら第二夫人にすればいい」

『ハーレムぅぅぅぅ!!!』

「いえ恋人はおりませんが。それと私は複数の女性を愛することはできません。」

「コツなら教えるぞ。」

『聞きたい!ハーレムの極意!』

「ここから先は王家の秘匿事項だから制約魔法を掛けさせてもらうがな」


いやハーレムの極意なんて制約されてまで聞きたくないでしょ

『聞きたい聞きたい聞きたいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!』うっるさい

頭の中に響き渡る騒音に気が散らされる。

「制約魔法といますと?」

「王家の秘匿事項を口外したり悪用したりできないように制約を掛けさせてもらう。

制約を破れば君の命は無い。」

命を賭けてハーレム情報?そんなアホな。

『き・き・たい!き・き・たい!き・き・たい!き・き・たい!』うっざ!


「魔力の低い者になら一方的に制約を掛けられるんだがな。

君にはこちらからも代償が必要そうだ。何か願いは無いか?」

掛けるの確定?あ、そうだ。無理な願いを言って国王から断られればいいんじゃない?

「では私には嘘をつかず、私の求める情報を全て開示してください。」

どうだ!ハーレム情報くらいじゃ済まないんだぞ!


国王は一瞬、きょとんとしたように眼を見開いたが、ふっと笑うと

「了承した。取引成立だな。」と言って、掌を私に向けて右手を突き出した。

「王家の秘匿事項の漏洩、悪用を禁ずる。

代償として王家はミズキの求める情報を偽りなく開示することを誓う。」

王の言葉が魔力の帯となって私を囲うように浮かぶ。

「お前も誓え」促されて

「誓います」と唱えると魔力の帯が私の首にぐるりと張り付いた。

『誓いを破ると首チョンパなんだお』こっわ。これがハーレム情報のためとは情けない。


「で、多妻婚のコツだったか」『待ってました!』

「最も重要なのは正妃の性格だ。感情に流されるようではよくない。」

国王が語りだす。

正妃に据える条件は、理性的で国母としての自覚を持ち国益を第一に考えられること。

そして正妃は別格に扱うこと。

側妃たちは順番を守って時間は平等に割り振ること。

比較をしないこと。

それぞれの趣向に合わせること。

公の場では正妃を一番に尊重し、

相対しているときは相手に自分が一番だと思わせること。

求められたら拒まないこと。

「たとえクスリを使ってでもな」王はニヤッと笑って見せた。


「なかなか大変そうですね」脳内君おとなしいな。

「ああ、多妻なんていいものじゃないさ」やれやれと言うように肩をすくめる。

「ここからが秘匿事項だが」

えっ、制約魔法掛けなくてもここまでの情報で十分だったんじゃない?脳内君すっかり静かになってるし。


「妃たちには情夫を認めている。俺との間に子をもうけるかも妃の意志に任せている。」

「では殿下たちは」

「俺の子もいれば違うのもいる。あまりに容色が違うものは実父の元で育てさせる。

妃の希望で実父の元に行くものも居る。

ここに居れば、能力があって臣下になるか、いずれ政略の駒となるかだからな。

王家の血を引かないものを王に据えることは無い。」

「実力主義と伺っていましたが」

「王の血筋にのみ受け継がれる能力があるのだ。」

「その鑑定眼ですか?」

「それも一つだな。制約魔法もそうだ。」

他にはと聞こうとしてふと口を噤む。

なんかすごい秘密聞かされてない?これ以上深入りしない方がいいんじゃない?


「先々代の暴君には能力が受け継がれなかった。その劣等感から彼は国民の能力を開示させ掌握しようとしたんだろうな。」

「そうですか…」受け答えは慎重にならざるを得ない。これ以上深みに嵌りたくない。

「あっはは」私の様子を見て国王は笑い出した。

「お前はこれから俺の話し相手だ。心得よ。」「えっ」


国王が立ち上がって部屋を出ていくと入れ替わりに王子がやってきた。

「話は終わったかい?」明るく話しかけてくる。

後ろにピンクのドレスが見えた。

「妹だ」行動早くない?そして露骨。


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