第五側妃
夜、王の侍従が迎えに来て側妃の宮巡り第一夜が始まる。
「今夜は第五側妃の宮だ。
情夫は護衛騎士だった男でな、輿入れの道中に姫を孕ませた猛者だぞ。」
と王が囁いた。
『国家より命より下半身を優先するお!』
いや騎士として挫折しかけたところを、冷遇されても明るく健気に生きる姫君に救われた過去とかあるんだよきっと。
姫の方も優しく接してくれたのがその護衛騎士だけだったとかさ。
そして二人は人知れず愛を育み 騎士は姫に永遠の誓いを立てた、なんてね。
『何をたてたんだか』
そりゃあナニを…って
下品なの禁止!
『ノリツッコミ!』
第五側妃の情夫である護衛騎士は逞しい胸板と赤茶色の髪が特徴的な
ライオンをイメージさせる男だった。
側妃は燃えるような赤色の髪で二人とも目は明るい茶色。
この二人の子供なら母親似ってことで王子として育っても違和感はないな。
外国に婿に出された第二王子はこの二人の子供だと言う。
前にアリーが妃選びに失敗して婿に出されたようなことを言っていたけれど
つまりは王家の血筋でないからってことなんだな。
この国の王家は血の漏出を何より恐れているもの。
王が近づくと、二人の首には制約魔法の帯が張り付いて王に繋がっているのが視える。
3メートルも離れれば視えなくなるかんじ。
王に問われるまま、二人は生国の情報を報告する。
秘密裏に届いた要請も開示して落としどころを話し合う。
思考を覗いても怪しいところは無い。
二人はなんのこだわりもなく生国に対する裏切りを行っていた。
ひとしきり報告が終わったところで、ふと側妃と目が合った。
《あらかわいい子》
と側妃が目を細めた。
その視線に即座に気付いた情夫が側妃を窘めるように見る。
《今夜はお仕置きだな》
情夫の視線に側妃も気づいたようだ。
《あらやだお仕置きされちゃう》
たちまち二人の脳内に今夜行われるであろうお仕置きプレイのイメージが湧き上がってくる。
過去の記憶も織り交ぜたようなプレイ映像がいっぱいに広がったところで
二人はスンと冷静な目を王に向けた。
《《早く帰らないかなこいつ》》
息ぴったりだ。
その心の声に気付いたわけではないだろうけど王が立ち上がった。
「では良い夜を」
と声を掛けられた二人は満面の笑みで返す。
「「良い夜を!」」
『今夜はお楽しみですね。』
しばらく歩いたところで王が聞いてくる。
「不審な点は無かったか?」
「はい。話した内容そのままでした。
最後は今夜のお楽しみで頭がいっぱいでしたけど。」
「それは」
とニヤ付きながら王が言う。
「お前には酷だったな。」
「いえ特には。」
と言うと
「ああ前世では結婚もしていたそうだな。
今度その姿になってみろ」
と揶揄ってくる。
「3番は大分気に入ったようだしな。」
瑞希の容姿はというとまあ普通だと思う。ごく普通。
髪が短かったときは男の子みたいと言われることが多かったかな。
学生時代は後輩の女子にチョコももらったりしてたけど
社会人になってからは髪も伸ばしてたから本当に普通の小柄な女だったと思う。
だから第三王子も容姿を気に入ったってことは無いと思うけど。
やっぱり囁き続けた愛の言葉のせいだよね。反省。




