帰路
いくつもの街を過ぎて何日目か、見覚えのある景色になる。
「ここから往きに通った経路に合流するよ。」
と王子が言う。
もうすぐ妖精石の湖だな。
あのペンダント、行く先々で興味を持つ人が現れるのはいいけれど
大抵はお金に余裕が無さそうな人で、売るとはならなかった。
それでいて何故か幸せになって欲しいと思える人ばかりで
差し上げますよ、と言う言葉が口をついてしまう。
本当に石に操られてるみたい。
湖の畔に馬車が停まると、程なくすごい勢いで船がやってきた。
「にいちゃん!」
と少年が降りてくる。
『読める!読めるお!少年の心が!』
読心術を使うまでもなく私にもわかる。
『《また買ってくれるよね!》』
だよね。
だが少年が話し出したのは魔法陣の効果の方だった。
「この魔法陣すごいよ!
魔獣が勝手にぶつかって逃げて行ったよ!」
「そんな危険な目にあったの?」
「へっちゃらだったよ!」
「とりこぼしがあったかな。」
と王子が言う。
4人は見回ってくると言って森に入っていった。
少年のペンダントを見せてもらう。
魔力が切れたらこれはただの石だ。
危険を説明し、とりあえず魔力の補充をしようとすると魔力が入って行かない。
『満タン?』そうみたい。
「誰かに魔力を補充してもらった?」
「ううん?」
この子、気づいてないけど魔力持ちとか?
『そうはみえないお』
「あの」
と少年が二つのペンダントを取り出した。
「これ、きっとお母さんと妹の石だと思うんだ。それで」
と、次の言葉に詰まる。
「ああ、ちょうどいい。
二人にも検証を頼めないかな?」
と言うと少年がぱっと顔を輝かせた。
『お人好しだお』
検証したいのは本当だよ。
この子のペンダント、使ったのに魔力が減ってないんだもん。
『とか言ってまた他のペンダントも買ってあげるんだお?』
まあね。
ルルナにたのんで売って貰えばすぐに捌けるでしょ。
魔法陣を描き込んで、魔力が切れたら盾は出ないから油断しないこと、
とよくよく注意してペンダントを渡した。
残りのペンダントを買い取ると言えばずいぶんまけてくれたようだ。
程なく王子たちが帰ってきたが収穫は無かったらしい。
「ここに来るまでの森もそうだったけど
全然魔獣の姿が無かったね。」
と王子が言う。
隣で神聖力を溢れさせているラリアさんを見て思う。
気持ちが上向いたせいなのか、最初見た時より明らかに輝きが強くなっている。
魔獣がいないのも聖女効果だったりしてね。
馬車が王都に入る頃には夕暮れが迫っていた。
マクシムとラリアさんを魔法学校の前で降ろして
私たちは王城に向かうことになった。




