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脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


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本物の聖女

「あなたも別の世界から来たんですね。」

とラリアさんが言った。

お互いに過去を覗いたってことなのかな。

「ラリアさんは望んでここに来たんですか?」

と聞く。

「はい。立候補して聖女として。

でも思ったよりずっと辛くて泣いてばかりでした。」

と笑う。

神聖国の聖女は皆、ラリアさんの故郷からやってきた魂なのだそうだ。

『ほんものの聖女だったお!』


「聖女として役目を負って来たんですね。」

「はい。だからこうやって役目を放棄していいのか

今でも少し悩んでいます。」

「もう任期も過ぎたしいいんじゃないですか。

 これからは自分のために生きても。」

他の聖女さんたちも今はこの世界で自分を生きているだろう。


「これからは好きなことをして好きな人を見つけて結婚してもいいでしょうし。」

と言うと

「もう婚期は逃しましたから」

と笑う。

「27歳なんてまだまだ若いですよ!」

思わず力を込めて言う。

『瑞希と同い年だもんね!』


ラリアさんは遠くを見るように言う。

「この世界の人に特別な情を持ちたくないんです。」

「と言うと?」

「この生が終わったらもとの世界に帰りたいんです。

強い思いを残すと、この世界の輪廻の輪に乗ることになってしまうので。」

「そうなんですか?」

「ええ、実際帰ってこなかった人もいたそうです。」

へえ、そういうものなんだ。


「ミズキさんは?」

とラリアさんが問いかけてくる。

「元の世界に帰るんですか?」


どうだろう。

元の世界に帰っても瑞希に戻れるわけじゃなくて

別の人に生まれ変わるなら



「終わってみないと実際はわかりませんが

またここに生まれたいと思えるような人生を送りたいですね。」

と答えるとラリアさんは目を大きく見開いて私を見た。


「思い…出しました。

私もここに来る前は 

そんな風に思ってました…」


イメージが流れ込んで来る。


ツインテールの少女がちょっと拗ねたように言う。

「そっちの世界が楽しくなって帰って来なかったりしてね!」

返す言葉に詰まるラリアさんに少女はプイと顔を背けた。


「いいよ、帰って来なくても。」

突き放すような言葉に驚くラリアさんに

少女はニッと笑顔を見せて言った。

「そしたら私が会いに行くから!」


『優しい世界!』



日差しを受けた川面がキラキラ輝いてる。

「あんな水辺で遊んでいましたね」

と指をさす。

「ミズキさんの世界はこんな感じじゃなかったですね。」

「田舎の景色はここと似てますよ。」


どちらからともなく裸足になって浅瀬に入る。

水しぶきを上げてはしゃぐラリアさんは過去の少女そのままだ。

この世界に来てからは成長する機会を与えられないままで

きっと中身は少女のままなんだな。

『見た目は大人、中身は少女。イイ

だが逆でもイイ』

わけのわからんことを。


ひとしきり遊んだ後

濡れた足を風魔法で乾かしてあげると

ラリアさんは目を輝かせてすごいすごいとはしゃいだ。


4人が戻ってきて馬車は走り出す。

車窓の風景も街並みも全てが新鮮らしく

無邪気にはしゃぐラリアさんの姿に

馬車の中の男たちはいつしか

父親が娘を慈しむような眼差しになっていた。


「年齢なんて関係ないな」

と呟いた王子に同意する。

ラリアさんは純粋に可愛らしい。


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