ロイス
それからロイスの姿をよく見かけるようになった。
今まで意識していなかったけど、ロイスは悪目立ちしている。
フード付きのローブを着ている人は多いけれど、いつでもフードをかぶっているのはロイスくらいだ。
あの白い髪がコンプレックスなのかな。
図書室で高い位置にある本に手を伸ばしているロイスを見つけた。
「この本?」
と取ってやるとロイスがこちらを見た。
「ミズキさん!」
灰色の瞳をすぐに逸らして隠すようにフードを引っ張る。
灰色の瞳に白い髪 肌も抜けるように白い。
「魔法薬の本だね。興味あるの?」
「あ、はい。自分でも作ってみたくて。」
本を受け取りながらロイスが微笑んで言った。
「助けてもらったのは2回目ですね。」
「え?ごめん。覚えてない。」
ロイスの話によると落としてばらけてしまった書類を集めるのを手伝ったことがあるらしい。
そんなことがあったような気もするけど、相手の顔とかは特に見なかったな。
「それくらいで助けたなんて大げさだよ。当たり前のことだし。」
ロイスはブンブンと首を横に振った。
「私、目も髪も変な色ですし、ずっと気味が悪いって言われてて誰も近付いて来ないから
ひとりで書類を拾っていた時はすごく惨めな気持ちになってて」
ぐっと抱えた本を抱きしめる。
「ミズキさんが声を掛けてくれて一緒に拾ってくれた時、すごくすごくうれしかったんです。」
ああそういう気持ちを知ってるから、変な噂を立てられてる私に声をかけてくれたんだな。
『ええこや』ほんまやで。
「そうだ、魔法薬に興味あるなら魔法研究部に入らない?」
と誘うと、ロイスは俯いて言う。
「私が行ったらご迷惑じゃないでしょうか。」
「なんで?」
「私こんなだし、故郷じゃ呪い子とか言われてたんですよ。」
今度は顔を上げて意を決したように聞く。
「ミズキさんも気持ち悪くないですか?」
「いや、神秘的で綺麗だと思うよ。」
『即答だお』
ロイスの白い肌に赤味が差した。
とは言え、魔法研究部のみんながどう反応するかは分からない。
ロイスが傷つくようなことはないとは思うけど。
「わあ、きれい」
「呪い子?ああそういう伝承がある地方もあるみたいだね。
でも実際、呪いについては具体性も合理性も全く無いよね。」
「え?色とか気にしたことなかったな。
白い髪って珍しいの?」
フードを下ろしたロイスがポカンとした顔で座っている。
魔法研究部には白い髪や灰色の瞳に嫌悪感を持つ人はいなかった。
「じゃ、入部してくれる?」
と聞くとロイスは満面の笑みで答えた。
「はい!よろしくお願いします!」




