ウィズ
何日かしても学校の雰囲気はあまり良くない。
弓術部の女子たちにも遠巻きにされている気がする。
チラチラと投げられる視線に気が付くと女子が数人固まってこちらを見ながらクスクスと笑っていた。
嫌な感じだ。
「…気持ち悪…」
漏れ聞こえる言葉に敏感になってしまう。
気持ち悪がられるって結構ダメージあるな。
いつもだお君に軽い気持ちで「きもっ」とか言ってたことを思い出す。
謝るよ。だお君。
『僕は全然ノーダメージだお!』
だお君は強いな。
『キモいキモいも好きのうち、だお!』
それは違うと思う。
「よ、勇者!」
最近よく絡んでくるのはウィズだ。
肩を組むように腕を回してくる。
「変態から昇格したの?」
「男子からはな。」
『思った通りだお!』
勇者は勇者でもエロ勇者ってとこかな。
「じゃあな」
「ぐぇ」
ぐっと一回、腕に力を入れて私の首を絞めてから離れていく。
男子の挨拶?理解できない。
「あのっ!」
駆け寄って来た女子に声を掛けられた。
フードを目深にかぶっていて顔がよく見えない。
「わたしっ!ロイスと言います!
あの!わたしはミズキさんが変態でも気にしませんから!」
『変態は確定事項だお』
「えっと、ありがとう?」
ロイスと名乗った女子はそれだけ言うと走り去っていった。
走って風に煽られたのかフードが落ちて、一つに結んだ白い髪が見えた。
白い髪は珍しいな。
「ミズキの評判が落ちて、告白のハードルも下がったってとこかな。」
いつのまにかそばに戻っていたらしいウィズが言った。
「告白されたわけじゃないよ。」
「いやどう見ても告白だろ。
でもよりによってあのロイスか。
気付かない振りしてた方がいいかもな。」
嘲るような口調だ。
ロイスがどんな人かは知らないけど、へこんでた気持ちがちょっと救われたし、嘲る理由は無い。
「彼女の事悪く言わないでくれるかな。」
と、窘めるように言うと
「え?お前まさか惚れたの?」
揶揄うような口調でウィズが言う。
「初めて会った人に惚れたも何もないだろ。」
「うぇー?一目惚れってやつ?」
背が高くてモテそうで女慣れしてそうと思ってたけど小学生みたいなことを言う。
このまま放置しておくと大声でミズキはロイスが好きなんだってーとか言いそうだ。
こんな時は同等の返しで黙らせよう。
「やけに気にするね。あ、もしかして君彼女の事…」
「は!?そんなわけねーし!」
あれ、この大げさな反応
「あんな陰気な変わり者、誰が!」
赤くなった頬を隠すようにしてウィズは離れていった。
『人生は意外性に満ちているお。』
うむ。スクールカースト上部に君臨してそうな陽キャっぽいウィズがねえ。
『あまずっぱいお。』




