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脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


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検証

なんとか落ち着いたようなオングがルルナに聞いた。

「魅了にかかった時ってどんな感じ?」

「うーん 好きって気持ちでいっぱいになるかんじ。

悪くないかも。」

ぐ、と言葉を飲み込んだオングが男性陣に向き直って尋ねる。

「みんなもそんなかんじでしたか?」


「うん。なんかこう純粋に好きってかんじ。」

アリーが答えた。

「確かに。

魅了魔法にかかった時とは違う、愛しくて大切にしたいような気持ちだった。まるで…」

言いながら恋人を思い出したのだろうか、マクシムの目が潤んだ。


「先生は魅了魔法にかかったことがあるんですか?」と問う。

「対人魔法の授業で掛け合いをするんだ。もちろん教師の監督下でね。

魅了魔法に掛かった時の感じはもっとこう愛欲と言うか、好かれるためならなんでもするとかいうようなちょっとどす黒い気持ちだったな。」


「ねえこれ、今私が着けたらどうなるかな?

みんなにモテモテになっちゃうのぉ?」

ルルナが聞くとマクシムが答える。

「どうだろう。

先々代の王の時代に魔法陣関係の本はほとんど焚書になってしまってね。

僕もそれほど詳しくないんだ。

精神操作系のものは魔法でも魔道具でも規制が厳しいしね。

つまりこれは没収だな。」


「えー試してみようよぉ!」

「君が危険じゃないか!」

とオングが言う。

「でもオングもあの気持ち味わってみたくない?」

アリーの言葉にオングは唇を引き結ぶ。

『研究者の探究心は何ものにも勝るんだお。』


「それなら僕が着ければ」

思いついたように言うオングにアリーが言い放つ。

「それじゃあ対複数人の検証が出来ないじゃないか。」

「き~まり!」

さっと手を伸ばしたルルナがペンダントを取り上げて首にかけた。

オングから花吹雪のように感情があふれ出す。


ルルナはただオングを見ている。

二人は見つめあい、頬を紅潮させてぴったりと寄り添った。

アリーとマクシムの様子を窺うと、結婚式で新郎新婦を祝福する友人のような顔で二人を見ている。

嫉妬したりじゃないんだな。

『何を見せられているんだお』

うん、もういいかな。

そっとルルナの後ろに回りペンダントを外した。


「なんか幸せな魔法だったぁ」

紅潮した頬を両手で抑えてルルナが言った。


「精霊はもともと善なる存在と言われているから、その本質に近い魔法陣の魔法は

人間に歪められた魔法と違って、より幸福に近い形に働くのかもしれないね。」

マクシムは見解を話したが、ブルっと身震いをすると言った。

「しかしこれがあの女の手に渡っていたらと思うとぞっとする。

アンティークのアクセサリーは全部検査するべきだな。」


魔法研究室に持って行って相談する、とマクシムは出て行った。


「さっき、アリーはどんな気持ちだったんだ?」と聞く。

「純粋にルルナに幸せになって欲しいって気持ちかな。」

「ルルナがオングを相手と認識したのはもともと付き合ってたからなのかな?

それとも一番最初に目が合ったとか?」

「わぁ、検証したいぃ」

でもペンダントはマクシムに持っていかれてしまった。


「君、描けない?」

アリーに言われて記憶をたどる。

『記憶力+の加護の効果を発揮するお』



「描けちゃった。」

おおっ、と歓声が上がる。


君は魔法に掛からないの?と投げかけられる疑問に、見ないようにしてるなどとごまかしつつ色々試した結果、ペンダントを着けた人が一番好意のある人と両想いになるのだろうという推論に至った。

そして片思いという感情は作らないのだろうと。

着用者の同性に対しては何の作用もないみたいではあるが。


「で、これどうしよ?」

検証が終わったペンダントの処理について話し合う。

使いようによっては危険なものだしマクシムに渡そうと言うことになって

今日はひとまず部室の鍵付きの引き出しに保管することになった。


防御魔法陣を描き終わってアクセサリーをルルナに渡す。

「売り上げの7割って言ってたけど

仕入れの金額は含めない利益の7割ってことでいいよね?」

と確認を取る。

「気が付いちゃった?」

とルルナは舌を出した。

『恐ろしい子!』


もうじき夕飯だ。

路上販売の準備が有ると言うルルナとオングを残してアリーと部屋をでる。

閉まりかけた扉の向こうにルルナの声が聞こえた。


「さてそれじゃ、夢魔の庵に行った話を聞かせてくれる?」

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