魅了の魔法陣
そのまま魔法研究部に向かう。
部屋にいたのはアリーだけだった。
アクセサリーに防御魔法陣を描いているとアリーが覗き込んで感心したように見ている。
「売り物にするなら僕もひとつもらおうかな。」
「アリーにならプレゼントするよ。」
「いやちゃんと払うよ。
これがいいかな。」
アリーがアンティークのペンダントを取り上げた。
「今描くね。」
受け取って魔力を流しながら魔法陣を描いていく。
と、最後に外周を囲んでも光らない。
「あれ?失敗?」
初めてのことだ。
もう一度さっきより慎重に描いてみるがやはり光らない。
確かに魔力が込められていく感覚はあったのに。
目を凝らして見ると何か組み込まれているようだ。
「あれ?それって」
「すでに何か描かれてたみたいだ。」
魔法陣は上書きはできない。
「なんの魔法陣だろう?」
「見たことないね。ためしに着けてみたら?」
アリーの言葉に従って着けてみたが特段何も感じない。
「うーん。僕から見ても何も変わらないな。」
ルルナとオングの話し声がして、二人が部室に入ってきた。
「あ、これ売るやつぅ?」
机の上のアクセサリーを見たルルナが顔を上げた。
目が合った瞬間凄まじい花の嵐のような感情が流れ込んできた。
『魅了状態だお。』
俯いたルルナがオングを部屋の隅に引っ張っていく。
「ごめんなさい。」
「どうしたの?」
「私あなたと結婚できない!」
「何を言って…」
突然の言葉に固まったオングだったが、はっと気が付いたようにルルナの肩を掴んだ。
「違う!夢魔の庵に行ったのはそういうのじゃなくて!」
「オング落ち着いて!多分ペンダントのせいだ。」
慌ててペンダントを外しアリーに着けてみる。
ルルナの視線はアリーに移った。
ぽっと頬を染め上目遣いでアリーを見る。
「いつも一緒にいたのに気が付かなかった…」
「僕も…」
アリーも赤くなってルルナを見ている。
『アリーも魅了状態だお。』アリーの方も?
「どうした?」
ちょうどマクシムがやってきたのでアリーからペンダントを外しマクシムに着けてみる。
ルルナはマクシムを熱く見つめるとマクシムが差し出した手を取った。
いつも女性相手にあーんな顔のマクシムが蕩けそうな顔をしている。
「これは両想いになる魔法陣ってこと?」
アリーが言った。
私は状態異常が効かないので分からなかったけど、魅了魔法みたいに一方通行じゃないらしい。
「何やってるんですか!」
オングが引きちぎるような勢いでマクシムからペンダントを外した。
ぱっとルルナの意識が正常に戻る。
「どういうことぉ?」
「ごめん。アンティークのペンダントに魅了の魔法陣が組み込まれてたらしくて」
「どうしてアリーと先生に着ける必要が?」
オングが詰問してくる。
「ペンダントのせいだって証明しようと…」
「だからって!」
声を荒げるオングを押さえてルルナが言った。
「売り上げの7割くれたら許す!」




