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脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


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シュトレじいさん

ようやく図書室に魔法陣の載っている本が返されてきていた。

ただ内容は座学で学んだものとほぼ同じようだ。

発動しないように斜線の加えられた見本の魔法陣は、即発動の攻撃魔法のものが多く

有用そうなものは継続発動の浄化の魔法陣と結界の魔法陣、

カウンター発動のものが私もよく描いている防御魔法陣、それくらいだった。


「魔法陣の本?魔法陣描けるのぉ?」

後ろから覗きこんできたのはルルナだった。

「うん。防御魔法陣だけは描けるんだけど他にも何か無いかと思ってね。」

「防御魔法陣が描けるならそれだけで商売できるよぉ」


ルルナとオングは数日おきに街で魔道具や魔法薬などを路上販売しているそうだ。

卒業してお金が貯まり次第、学費を返済し二人で店を開くのが目標らしい。

「良かったら一緒に売ろうか?

売り上げの何割かはもらうけどぉ」


売るならコインに描くよりアクセサリーにした方がいいと言うことで、

手ごろな物を探しに町へ行く。

ペンダントを数点買ってから、いつもの古本屋と骨董品店巡りだ。

アンティークのアクセサリーもいいかもしれない。


骨董品店でアクセサリーを見せてもらっていると、店主が話し出した。

「町はずれに住んでたシュトレじいさんが、盗品に囲まれて死んでたって話があってさ。」

「盗品ですか?」

「ああ、シュトレじいさんが通った後は物が無くなるって有名だったんだけど、誰も手元を見たことはなかったんだ。

家に盗品が有るのもね。」


「それが今回大家が家賃の催促に行ったら

部屋の中で倒れたじいさんを取り囲むようにいろんなものが山になってて

調べたらそれがほとんど盗品で、天罰かって噂になったよ。」


「8割方のものは持ち主に返ったんだけど、いくらかはうちにも流れて来てね。

これなんか面白そうだろ?」

店主が持ち出してきたのは丁寧な木彫りが施された30cm程の木箱だった。

その感情に怪しげなものが見えたので思考まで読んでみる。

《どうやっても開かないし壊せない不気味な箱だ》

《いくらでもいいから引き取ってくれんかなぁ》


「中になにか入っているんですか?」

「いや、それが開けられなくてわからないんだ。」

《ダメか?なんかセールスポイントセールスポイント…》

内心必死な感じで微笑ましい。


「でも見事な木彫り細工ですね。」

と、水を向けてみる。

「だろ?!これなら飾るだけでも家の格が上がるってもんだよ!

シュトレじいさんは若い頃貴族の屋敷に出入りしてたって話もあるんだ。

そこで手に入れたものかもしれんなぁ。

安くしとくよ!」

よほど手放したいらしい。


いつも気にかけて貰っているし、お礼代わりに手ごろなアクセサリーと一緒に買い取って店を後にした。

空間収納に木箱を入れてふと思う。

シュトレじいさんは空間収納持ちだったのでは?

この空間にいれた品々は術者が死ぬと空間からはじき出されて術者の周りに落ちてくるんじゃないかな。

『有りうるお。』


店主の話からも空間収納が認知されていない術なのはわかった。

かといって術者がいないわけではないらしいと言うことも。

考えてみれば危険な術だ。

どんな検査もすり抜け武器でも何でも持ち込めてしまう。

『ミズキも王子の側近としての自覚が芽生えたお。』

まあ私に出来ることといったら防御の魔法陣を常備しておくくらいなんだけど。


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