女子会
「ミズキ!」
声を掛けられて振り向くとエリーナとリシアと弓術部の女子たちだ。
「これから弓術部有志で食事会なんだけど一緒にどう?」
『行く!』
「えっと、女子しかいないみたいだけどいいの?」
『行く!絶対行くんだお!』
女子たちとだお君の強い勧めで食事会に参加することになった。
食事会と言ってもスイーツ中心の店で、果物とクリームを盛りつけたパンケーキみたいなのがメインディッシュだ。
「甘いもの大丈夫?」
「うん、おいしい」
瑞希だった頃みたいに甘いものに対する渇望は無いけれど、この体も甘いものは好きなようだ。
『女子に囲まれて空気まで甘いお。』
だお君が幸せそうで何より。
『僕はもう胸がお、いっぱいだお。』
今なんか変なこと言おうとしなかった?
「元気そうでよかった」
私の顔を横から覗き込むようにしたエリーナが言う。
「実はミズキが王子殿下に冷遇されてるって噂になってるの。」
あ、この前のアレのせいかな。
「そんなことないよ」
と否定をしても女子たちは心配そうな顔をする。
「もし側近になれなくても大丈夫だからね!」
「そう、嫌な思いしてまで王族にへつらうことないよ!」
「私たちはミズキ君の味方だからね!」
口々に励ましの言葉をくれる。
パステルカラーの傘が開いていくように温かい感情が見える。
純粋に心配してくれる気持ちが嬉しい。
「あ、でもちょっといいことも有ったかも。
貴族令嬢たちが大人しくなったよね。」
ひとりが言うとみんな頷く。
「言えてる。ミズキが側近候補になった時はすごい牽制されたもの。」
「そうだったんだ?」知らなかったな。
『モテる男はつらいお。』
「あの人たち勝手に順位付けして、身分が上の女子から男を選ぶ権利があるって思ってるよね。」
「うん。私なんか最下層らしいよ。こんな肌の色だし」
エリーナが言うと一瞬緊張が走り、みんな静かになった。
「私も最初はエリーナの事避けちゃってたかも。ごめんなさい。」
リシアが口を開いた。
「それまで同じ色の肌の人しか知らなかったから。
今はもうただ肌の色が違うだけなんだってわかってる。」
「うん。私もわかってる。ありがとう」
エリーナが微笑むとみんながリシアに同意する。
「ミズキもそう思うでしょ?」と促される。
「うん。とても綺麗で魅力的だと思うよ。」
『主語を言わないとだお』肌の色の話でしょ?
「えーっと、それは肌の色の話よね?」
エリーナが聞く。
「うん。青空が似合う素敵な色だよね。
あ、もちろんエリーナ自身もとても魅力的だと思うけど。」
「私は?」と、リシアが言う。
「私は魅力ある?」
「うん、リシアはいつも背筋がピッとしてて凛とした雰囲気がすごく魅力的だよ。」
「この子は?」
リシアが腕を引っ張ったのは、あまり話したことは無いけれど丸顔のかわいい女子だ。
「女の子らしくてかわいいと思う。
やわらかい雰囲気もいいね。」
「じゃ、この子は?」
ひととおりみんなを誉め終わるとエリーナが笑い出した。
「リシア、ありがとう。私、勘違いするところだったわ。」
「ほんとよね。」
リシアは呆れたように私を見る。
「ミズキ、気をつけなさい。
誰彼構わずそんな態度を取ってるといつか大変なことになるわよ。」
クスクス笑いながらエリーナが言う。
「今日はミズキを励ます会のつもりだったのに、ミズキに褒めてもらう会になっちゃった。」
あ、最初から私のために集まってくれてたんだ。
食事代はおごらせてと言われる。
余りに強く言われたのでご馳走になって、お礼にコインに防御魔法陣を描いて皆に配った。
女子寮の前まで皆を送り男子寮に帰る。
女子会みたいで楽しかったな。
『ミズキの本性はチャラ男だったお。』
えー?なんでよ
『あんなスラスラ女子に誉め言葉が出てくるなんて全男子の敵だお。』
人を見る時は長所を探しなさいって言われなかった?
『ミズキがこんなタラシとは思わなかったお。』
何か失礼だな。
弓術部の女子たちは積極的に戦闘技術を身に着け、自立の道を目指している人が多いように思う。
結婚がゴールではない人たちだ。
だからか、自然体で付き合える気がする。
だお君はハーっと大げさにため息をついた。
『ヤレヤレだお。』




