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脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


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悪魔

「俺を呼んだのはお前の魔力か」

地が軋むようなザラザラした声に振り返ると、魔法陣の中央に黒いものがいる。

黒い影に黄色い目と赤い口のついたようなそれは、上半身は人の形をしているが、下半身は大樹の幹のように床に広がっている。


「精霊?」と問うと、真っ赤な口の端を釣り上げたそれは嘲るように笑う。

「違う。

アイツはこの魔法陣で精霊王が呼べると信じているがな。

いや俺が信じさせたと言った方が正しいかな。」


話が見えない。

イリヌスはこの巨大な魔法陣で精霊王を呼ぼうとしていた?

だがこの魔法陣では精霊王は呼べない?

「この魔法陣で呼べるのはあなたと言うことですか?

それで、あなたは何者なんです?」


くくっと顔を歪めたそれは

「まあ、お前たちの言葉で言うなら悪魔だろうなあ。」

と笑う。

その感情を覗いてみると、底なしの闇のようだ。

渦巻く闇の先端にちらりちらりと別の色が混ざる。


自称悪魔の話によると、イリヌスは精霊王の召喚陣と思ってこの魔法陣を描いたが、この魔法陣は悪魔の召喚陣だった。

呼び出された悪魔は魔力が足りないから自分が来たとウソをついた。

それを信じ込まされたイリヌスは以降魔力の高い人間を連れて来ては悪魔を呼び出し、その人間を悪魔に差し出しているということらしい。


「なぜそんなウソを」と言うと

「一度魔力の高い人間を丸ごと食らうとその味が忘れられなくてなあ」

と口の端をさらに釣り上げて笑う。


「で、今回の贄はお前と言うことだが、ずいぶん落ち着いているなあ?」

悪魔が顔を近づけて舌なめずりをする。

『獲物を前に舌なめずりは三流…』

うん。なんか小物感増したね。


「いつまでそうしていられるかな?」

悪魔が手を振り払うような仕草をすると黒い弾丸のようなものが飛んできた。

いきなりの攻撃に反応出来ない。

だが胸ポケットのコインが盾を繰り出した。

ジュっと盾に吸収されるように黒い弾丸が消えていく。


「いつまでもつかな?」

悪魔が次々と黒い弾丸を飛ばしてくる。

コインの魔法陣に魔力を補充しながら距離を取る。


だが先に息切れしたのは悪魔の方だった。

『もう弾切れ?プークスクス』

ふーっと肩で息をしたように見えたのは気のせいだろうか。

悪魔はふと思いついたように目を細めた。


「そうだな。お前がこれからどうなるか見せてやろう。」

悪魔の周りにいくつかの映像が映し出された。

黒い弾丸に傷つけられ逃げ惑う人、恐怖の表情、怯えて縮こまる姿。

最後には悪魔から伸びた影のようなものに捕まり体に取り込まれる。


「いたぶってから殺したのか?」

この世界に来て初めて感じた激しい怒りに体が震えた。

その震えをどう解釈したのか悪魔はいやらしく嗤う。

「恐怖に怯えてからの方が旨いからな!」


『こいつは殺さなきゃだめだ!』

同感。でもどうする?

『対悪魔なら聖属性魔法だお!』

聖属性の攻撃魔法は未だ習っていない。


とりあえず他の属性の攻撃魔法を放ってみるが効果は薄いようだ。

それでもジリジリと悪魔の輪郭が削れていく。

『悪魔はジリ貧だお!』

だお君が叫ぶと同時に、業を煮やしたように悪魔から影が伸びる。

地を這うようにすごい速さで向かってくるそれは蛇のような動きで盾を躱し私に触れた。


「ぎゃああっ」


しかし叫んだのは悪魔の方だった。

「何を纏っている!」

火傷した手を庇うような仕草で悪魔が叫んだ。


『《愛》だお!神の愛に包まれているんだお!』

こんなところで愛の加護が役に立つなんて!

『うっひょ~!

奴は僕に触れることは出来ないお!

勝ち確定だお!』


実感は無かったけど本当に愛に包まれていたんだ。

この世界に来てから今初めて、心から神様に感謝した。

天井を見上げて思わず叫ぶ。


「神様ありがとう!愛してるっ!」

「ぎゃあああっ」


悪魔の叫びに思考が止まる。

何故叫んだ?


『《愛してる+》の破壊力は対象者にだけじゃないんだお!』

なんと!じゃもう一回!

「神様、愛してるぅ!」

「ぎゃっ」

あれ?叫びが小さいような

『同じ対象だと2回目からは効果が小さくなるみたいだお』


じゃあじゃあ!

「私は母を愛してる!」

「ぎゃああっ」

「父を愛してる!」

「ぎゃああっ」

「弟を愛してる!」

「ぎゃああっ」


えっと、後は

「元彼を愛してる!」

「ぎゃっ」

あれ?もしかして思ったより愛してないの?


『他には?』あ、こいつがいた!

「だお君、愛してる!」

『はぅ』

「ぎゃあっ」

元彼よりは愛してるみたいだ。


『ミズキは意外と愛が少ないお』

うるさい!ほかに手はないの?

『奴に触れるだけで大ダメージだお』

てことは肉弾戦?殴ればいいの?

あんまり人を殴ったことないんだけど。

寝技とかならいけるかな。


「来るなっ 来るなぁ!」

叫びながら、だいぶダメージを負ったらしい悪魔が部屋の隅に逃げる。

あれ、魔法陣の中には逃げないんだね。

『魔法陣で帰還するにはもう一度魔力を注がないとだお。

あいつはきっと取り込んだ人間の魔力で帰還してたんだお。』


もはや悪魔に一片の勝機なし!



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