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脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


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読心術

基礎課程の実技の上級クラスの合格を貰った。

実技は教官が授業中に判定を下すが、座学の方は受付に受験を申請して教師と対面での口述試験になるそうだ。

二日後に口述試験の予約を取った。

合格すれば基礎課程は終了し、専門課程を選択できる。



「専門課程はどうするの?」

食堂で昼食を摂りながらアリーに聞かれる。

「出来れば全部習いたいと思ってる。」まだ就職したくないしね。

「アリーはどうしてる?」


「僕は研究職を目指してるからね。

いまは魔道具の専門課程を受講してるよ。

あえて対魔獣魔法や対人魔法は習わなくていいかなと思ってる。」


対魔獣魔法課程は座学で魔獣の種類や弱点などを学び、実技ではより強力な攻撃魔法を習うそうだ。

対人魔法課程では主に精神を操る魔法を学ぶ。

魔力の質と量が高くないと習得することが難しいので、対魔獣魔法課程受講者からの選抜になるという。

専門課程は一度に一課程ずつしか受講出来ないらしい。


二日後の試験に向けて自習すると言ってアリーと別れる。

『記憶力+の加護もあるし、いざとなれば教えるお』

うん。カンニングみたいだけど楽な方へ気持ちが傾く。

真面目に自習とかやってられないな。


『町へ繰り出すお!』


町に出ると古本屋と骨董品店を巡るのが習慣になってしまった。

どの店も大抵、年老いた男性が暇そうに店番をしていて、話しかけるとよく説明してくれる。

今回も魔法陣関係の本は見つからなかったが、いいのが入ったら取っておくよとみんな言ってくれた。


広場のベンチで一休み。

これも習慣のようになっている。


『《読心術》使ってみるかい?』

ああ、いいね。

『まずは広く浅く思念を感じ取ってごらん。』

お、先生モード?気に入ったの?

『集中するんだ。』

はい先生。

目を閉じて耳を澄ますように意識を広げる。

さざめくように人の思念が伝わってくる。


《今晩のごはん何食べよう

《はぁお金ないなあ

《トイレトイレ

《60点 40点 ぶっさ!パスパス ろくな女いねぇな

《何ジロジロ見てんのよ きっも 死ね

《あ あのひとかっこいい

《いつまで待たせるんだ

《頼まれてたやつ どこいった?



うーん、あんまりいいものじゃないな。人の思念を読むのって。

『そうしたら先ずは一番強い思念をターゲットに決めて、その人の思考だけを読み取るんだ。』

うーん。個人を特定してしまうのね。

一番強いのはトイレの人かなあ。

《トイレっ!マジ限界!超緊急!》

あ、若い女性だ。うーん。これ以上はやめとこう。


『じゃ次はあの女性だ。』

指示された方を見ると女性と目が合った。

《きゃっ 目が合っちゃった》

《メガネで隠れてるけど綺麗な目。かっこいい。》

ほわっと花が咲くようなイメージを感じる。


『ビンゴだ。』

何が?

『誘うんだろ?』

なんでぇ?

『読心術なんて、気がある女性を見つけるために存在するものだろう?』

はあ?


先生がそんな邪な気持ちだったなんてがっかりです。

『性愛を求めるのは正しいことだよ。性即ち是正なり、さ。』

また色即是空みたいに。

『すべては性に帰結する。』

やだこの人怖い。マジもんぽい。



《あ、だお君だ!メガネしてる》

こちらに向けられた思念に気付く。

いつかアリーに連れて行ってもらった店の給仕の女の子だ。

だお君とか呼ばれてるのか私。


《ほんと外見はいいのにもったいないなあ あのしゃべり方》

《あ、でもしゃべり方なら私が直してやればいいんじゃない?》

《一緒にいた丸メガネ君は魔法学校って言ってたし、だお君もだよね 将来有望?》

彼女の脳内に浮かんだらしい映像が流れ込んでくる。

広い屋敷にメイドさん、ラブラブな彼女と私と赤ん坊の姿。


《読心術》キツイ。私には無理な気がする。


『思念じゃなくて感情だけ読む方法もあるお。』

あ、だお君が戻ってきた。なんか安心する。


『熟練度が上がるスピードは多少遅くなるけど

感情だけなら魔力の高い相手でも割合読めるみたいだお。』

どうやるの?

『後光みたいのに色がついて感情を表しているんだお。』

ふむ。オーラみたいなかんじかな。


そう意識して人をみるとなるほど赤とか青とか黄色とかそれぞれ違う色に見える。

『感情と色の相関関係は見る人によって違うから、自分で経験を積んで理解するしかないお。』

女子ふたりはほわほわとピンク色に染まっている。

好意はピンクってことかな。


あそこで店員さんを怒鳴りつけているおじさんは暗い赤に雷みたいな光が走ってる。

怒鳴られている店員さんは複雑に色が混ざっているなあ。

女性を物色しているらしいあの男は暗い紫が渦巻いているようだし、

基本的に負の感情は暗い色って感じかな。


すれ違う人たちの感情を見ながら寮に帰る。

ちょっと疲れた。


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