冒険者登録
「と言うわけなのよ。
この後はサポート出来ないけどいろんな加護も付けたしスーパーハイスペックにしといたから!
いってらっしゃ~い」
多分女神?に背中を押され異世界の町のはずれに降り立った私、日本名宮本瑞希27歳。
さっきトラックに轢かれて日本での人生を終えました。
『これが異世界!楽しみだお』
頭の中で声がする。
なんかアスキーアートのイメージで再生されたんだけど、これが言ってた脳内異性なの?
『まずはギルドで冒険者登録だ!』
アドバイザーって言ってたからこの世界に詳しいんだろうな。
『平民は15歳になると冒険者登録して身分証を貰うのが一般的らしいお』
身分制度のある世界なのね。
貴族には戸籍があるが、平民は身分証明さえ自分でなんとかしないといけないらしい。
冒険者ギルドに行って受付窓口に並ぶ。露出の多いお姉さんが受付嬢だ。
『まずはお姉さん惚れさせてみせるお。さりげなく手を重ねるんだお』
変態かな?親しくもないのにそんなことしないでしょ。
『あんな服着てるんだから出会いを求めているに決まってるんだお』
好きな服着てるだけでしょ。女の子は大変だな。
順番が来て新規の冒険者登録をお願いする。
ちらとこちらを見た受付嬢がぽっとほほを染めた。
『ほら!彼女も僕を求めているんだお!』無視無視っと。
「お名前は?」受付嬢がカードを取り出して尋ねてくる。
『下の名前だけでいいお』
「ミズキです」
「年齢は?」えっとこちらでは
「17歳です」
「ではこちらの魔晶球に手を当ててください。あなたの情報をこのカードに転写します。
このカードがあなたの身分証明になりますから失くさないようにしてくださいね。」
この魔力を帯びた水晶玉みたいなものを魔晶球と言って、魔法の媒体としているらしい。
『能力値は?能力値は開示されないの?ハイスペックで周りを驚かせるんだお』
「能力値とかわかるんですか?」と聞いてみると
「本人様ならあちらのブースで見られるようになっています。個人情報ですのでお気をつけくださいね。」と掌を向ける。
示された方を見るとスーパーのATMコーナーみたいな仕切り板の付いた場所がある。
「ありがとう」受付嬢に微笑んでお礼を言う。
『トゥンクって聞こえたお。お姉さんはもう僕の虜だお。』うっぜーなこの勘違い男。
仕切り板のブースに入ってカードを指定のところに置くと文字が浮かび上がる。
『なになに初期設定で能力値は平均の倍だとぉ!上限はもちろん無限大!そしてこの加護の数々!これが転生ボーナスってやつなんだお!』
余りにたくさんの加護の表示がされて読み切れない。
カードを取り上げると文字が消えた。
『町で情報収集して宿を取るんだお』
まあこういうアドバイスは助かるな。
『空間収納に女神さまからお餞別が入ってるはずだお』
物価と照らし合わせて結構な金額が入っていた。倹しく暮らせば一年くらいゆうに暮らせそうだ。
とはいえここで寿命まで暮らさなければならないなら先のことを考えないと。
脳内男子がうるさそうなので若い女性のいない宿屋を探した。
『僕は全年齢ストライクだお』お前は犯罪者か。
『も、もちろん15歳以上だお』
だったら聞こう。いますぐ付き合える30歳と1年待って付き合える14歳どっちを選ぶ?
『まず一年30歳と付き合ってそれから…』おっとそれ以上は言わせないぞ下衆野郎!どっちか選べって言ってるでしょ。
『い、一年待つお』け。ロリコンかよ。