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脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


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ミッション遂行

浄化された森の調査をするという王女たちと別れて

マクシムとラリアさんと私は第一側妃の元に向かう。


「第一側妃様が嘆きの聖女の生まれ変わりなのかい?」

とマクシムが聞いてくる。

「はい。光の道がそこに続いて…」っと

《探索》の加護の事は言わない方がいいな。


「女神様がバングルに付けてくれた機能だと思うんですが

光の道がそこに続いていてですね…」

と説明する。


「そのバングルを側妃様に着けてもらえばそれでいいのかな?」

とマクシムが言う。

「どうでしょう。

女神様は本人がその感情を受け入れて初めて救済になるとおっしゃっていましたが」


「前世に置いていくほどのものをすんなり受け入れられるものでしょうか。」

とラリアさんも考え込む。

あれ?これって結構ハードなミッションだったりする?

取りあえず嘆きの聖女の物語を聞いてもらって様子を見ることになった。


王女が先触れを出しておいてくれたおかげで第一側妃の居城にはすんなりと迎え入れて貰えた。


前と変わらず現実感の薄い、透明な壁の向こうにいるような側妃に

ざっと聖王からの依頼の話をして

あなたがその聖女の生まれ変わりかもしれないと話す。


側妃はよく分からないと言う風に首を傾げたままだったけれど

そのまま嘆きの聖女の物語を読み上げていく。



静かに物語を聞いていた側妃の

光の無い、どこか遠くを見ているような瞳から

ぽろりと涙が零れた。

同時に私の腕のバングルから嘆きの聖女の感情が

細い糸のようにほんの少しずつ側妃に吸い取られるように溶けだしていくのを感じる。


やがて物語を読み終えると

「わたしの…せい…」

と側妃は少女のような声で呟いた。

「違います!」

と力強く言ったラリアさんが側妃の手を取る。


「わたしのせいなの」

「違います!」

「でもわたしが「違います!」

「だってわた「違います!」

「わた「違います!」

『被せが早すぎて何を否定しているのかわからないお!』


あ、でも ラリアさんの言葉は聖女の自責の念を否定して

ちゃんと側妃に響いてるみたいだよ。


まだバングルから流れ続けている感情と一緒に

歴代の聖女たちの祈りも側妃に届いているようだ。


《この悲しみが癒されますように》

《あなたのせいじゃない》

《もう一度自分を生きて》

《いつか一緒に故郷に還りましょう》


側妃に戻っていく感情が勢いを増したように感じる。

その感情の流れが側妃を取り巻いていた薄い壁を壊すようなイメージが浮かぶ。

パリンパリンとひび割れて剥がれ落ちるその壁の向こうには本当の側妃がいた。


側妃がこの世界に引き出されて戸惑う少女のような不安げな表情を見せると

ラリアさんが側妃を抱きしめた。

「大丈夫、大丈夫ですよ」

と側妃の背中を優しく叩く。


「大丈夫、大丈夫」

と囁き続けるラリアさんの腕の中で側妃は子供のように泣いて

やがて泣きつかれたように背中を丸めて眠りに落ちた。

子守歌のように大丈夫、と繰り返すラリアさんの姿は

前世で見た聖母子像を思い起させた。



気が付けばラリアさんと一緒に側妃も聖女特有の光を纏っている。

私の腕のバングルをみると 感情が全て持ち主に返って

聖女たちの祈りだけが残されているみたいだ。

私の腕からバングルを外して側妃に着ける。

そこに込められた聖女たちの祈りは側妃のためのものだから。


今夜は側妃のそばについていたいというラリアさんを残して

私たちは近くの町で宿をとることになった。




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