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脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


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弓術部

弓術を少し習ってみたいと思う。

魔法でも魔力を弾に見立てて打ち出すような弓の上位互換みたいなことが出来るのだが、

魔力を節約するために弓を併せて使う戦い方があるそうだ。

ただ弓術部には女子が多い。


『香しき乙女の花園に凛と咲く白い花』

うわ始まった。

『たおやかな薄桃の花 空を映す青い花』

女子の服の色を見てるのかな?

『咲き誇る花々に酔わされて その蜜を求める僕はひとひらの蝶』

うっわぁ。きもっ。鳥肌不可避!

『おお風よ 大地の精霊よ』

またか。もういいって。

個人的に、ポエマーの地位はもっと高くていいと思っていたけれどこれはキツイわ。


「顧問のロランよ。よろしくね」

溌溂としたブロンド女性が弓術部の顧問だ。

『君は恋の狩人。僕の心臓を打ち抜いた。』


「まず手本を見るといいわね。リシア!ちょっと来て」

背筋のピンと伸びた長身の女生徒が弓を抱えてやってくる。

「構えを見せてやって」

リシアと呼ばれた女性が弓を構えて矢を番える。

『君の構える弓となって ふたりで愛の矢を射よう』

「この状態で魔法を乗せる感じ わかる?」

ロランの説明は具体的でわかりやすい。

『愛の矢に乗せるは僕の魂。この熱き思い』この雑音が無ければ。


「あとは練習あるのみよ!」

剣術もそうだったが、実技は基本反復練習だ。

顧問は全体を見回りながらたまにアドバイスを寄こす。


隣に褐色の肌の快活そうな女子がやってきた。

「初めまして。私エリーナって言うの。よろしくね!」

「よろしくお願いします。ミズキといいます。」

「固いなあ。ね、ミズキって呼んでいい?私の事もエリーナって呼んでよ!」

「ええ。もちろん。よろしく。エリーナ」

微笑めばざわめきが起こる。

『僕の心に微笑みと共に琥珀色の君の名を刻む』


「私もミズキって呼んでいい?」話しかけてきたのはリシアだ。

「ああうん、さっきはありがとう。リシア」

『君と分かち合った思いが今、僕の胸に帰り着いた』


それを皮切りに弓術部の女子ほぼ全員の自己紹介を受けることになってしまった。

そして女子が名前を言うたびにポエムが聞こえる。

『蜂蜜色の君の髪に誘われた僕は迷子の蝶 心を満たすのは君の甘い香り』

『君の瞳という夜空に吸い込まれて僕は覚めない甘い夢を見る』

『触れ合った君の温度を忘れない』

『君は花 僕は風』

『瑠璃色の君の瞳が映す僕は…』

『…』

『おお風よ 大地の精霊よ』ネタ切れかーい!


「こらこら あなたたち!ここに何しに来てるの?」

顧問の叱責に不満の声が上がる。

「まだ聞きたいこといっぱいあるのにぃ」

「ミズキ君は今日初めてなんだから質問したいのは彼の方でしょう?」

「じゃあミズキ君から質問ありますかぁ?」


ぜひとも聞きたいことがある。

「ポエマーってどう思う?」


突拍子もない質問にみなキョトンとする。

「やだミズキ君おもしろーい」

「ミズキ君詩を書く人?」

「いや私の知り合いなんだけど」

「ああそう」

女子たちの表情が変わって意地の悪い笑みが浮かぶ。

「正直ポエマーってナルシスト多いよね。」

「うん。自己陶酔激しくて気持ち悪い。」

「私はポエム嫌いじゃないけど恋愛系のはさすがにダメかな。」


「じゃ彼氏候補がポエマーだったら?」

「ムリムリムリムリ」

「私も~」

みんなが笑う。息してるかな。脳内君。



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