浄化決行
決行の日
聖女たちが森の入り口に集まった。
ほのかな光を纏っていた聖女たちが一カ所に固まると
その光が共鳴し増幅されたように強い輝きになった。
「壮観だな。」
とマクシムが呟く。
それに聖女たちが醸し出す
地に足のどっしりと根付いたような安定感が加わって
解決しないことなんか無いと思えるような安心感がある。
森の入り口に並び、聖女たちはそれぞれ祈りだした。
聖女たちから放たれる光が靄に触れると
光に飲み込まれるように靄が消えていく。
じりじりと小さくなっていく靄を追いかけるように歩を進め
時折休憩も挟みつつ、渦の中心に近づいていく。
それぞれの家族も後ろから見守るように少しずつ森の中へと進んでいった。
祈り続けてどれくらい時間がたっただろう。
靄は直径10メートルくらいに縮まって地に被せたドームみたいになった。
規則的な渦を巻くような動きだった靄が突然
燃え上がる炎のように暴れたかと思うと
絡みつく黒い靄から逃れ出るように
少女が飛び出してきたように見えた。
そう見えたのはほんの一瞬だったけど私の腕のバングルに衝撃があって
確かに聖女の感情が宿ったみたいだ。
核を失って不規則に蠢く靄にラリアさんが浄化魔法を何度か放って
靄は霧散した。
中心にあったはずの狩猟小屋は焼け落ちたあとのようになっていた。
小屋の残骸らしいものが黒く焦げて重なっている。
手前の白いものは人の骨?かな。
そっと触れると視えてくるものがあった。
領主館に戻り与えられた部屋の机に向かう。
吟遊詩人さんからもらった資料と
焼け跡と屋敷で読んだ残留思念で大体の流れはわかったけど
これをまとめるのは大変そうだな。
登場人物は聖女、領主、愛人、家令。
そして資料には無かったもう一人。
『僕に任せて』
詩人さんかな?
詩人さんなら文章にまとめるのは得意そうだ。
お願いします。
『右手を借りるよ。』
はいどうぞ、と力を抜くと手が勝手に動き出して文章が書かれていく。
わあ、自動書記ってこんなかんじなのかな。
一刻もしないうちに物語が書きあがった。
タイトルは《嘆きの聖女》だ。




