表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳内男子がうるさくて  作者: ちぇりこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/150

忠誠

翌朝早々国王が訪ねてきた。


私にぴったりとくっつく側妃を見て、ほんの少しだけど王の感情が揺らいだ。

私も側妃を抱きしめるように手を回す。

震える小鳥のような側妃の心が癒されるように気持ちを込めて。

『《癒しの波動》MAXだお!』

王の前で仮面をつけていたような側妃の表情がふっとゆるんで

一瞬素の顔が見えた気がした。


おや王の感情が揺れる揺れる。

『効いてる効いてる』ぷぷぷ。


「ほっほらっ」

と側妃が焦ったような声を出した。

「ご覧の通りこの子の身も心も私のものですわっ」

その言葉に王は真偽を視たのだろう、余裕の表情をみせた。

『ち』


「何焦ってるんですか。そういう打合せだったでしょう?」

と側妃の耳元で囁くと

「だってぇ」と口を尖らす。

なんかかわいい人なんだよな。

妖艶な外見とは裏腹に中身は子供みたいな。


「さて、どちらに忠誠を誓う?」

と王が聞く。

そりゃ側妃に誓うわけにはいかないから国王に、

と思ったところで視界が赤く染まる。

赤いランプが点滅しているみたい。

何これ?

『《危機感知》の加護が発動したお!』

なんで?

同時に脳内を膨大な量の記憶の映像が流れていく感覚がある。

覚えがある。

トラックに轢かれた時の、そう、走馬灯みたいな感覚だ。


そして一つの映像がクローズアップされた。

瑞希だったときだ。

引き込もりがちになっていた弟を言いくるめて外出の約束を取り付けた時。

「言質取ったぁ!約束だからね!?」と瑞希が叫んでる。


言質?…あ、忠誠?

あっぶな!

どさくさに紛れて忠誠誓わされるとこだったわ!

『この間わずか一秒』

危機感知ってすごいね!

過去の経験の中から危機回避のヒントをくれるってことだよね?

『まさに神の御業だお。』


でも今まで働いたことが無かった危機感知が働いたってことは

王に忠誠を誓うってそんなに危険なの?

『骨の髄までしゃぶりつくされるんだお』

こっわ。


「さあどうする?」

と尋ねる王ににっこり微笑んで言う。

「戻ります。」

「あらぁ 残念」

王と私の攻防など知る由もない側妃が言った。


別れ際に

「どうかお幸せに」と頭を下げると側妃は複雑そうな表情を見せた。

「また」

と側妃が言う。

『また惚れさせてしまったな』

「またほぐしに来てちょうだい。」

あ、そっちね。

『フッ。神の指のとりこだお。』

結構体中凝ってたもんね。


側妃の宮を出たところで王が聞いてくる。

「俺に忠誠を誓ったんだよな?」

「何のことです?」

『すっとぼけ』

王はほんの少しだけ肩をすくめた。


「しかし」

と王が話し出す。

「正直肝が冷えたぞ。

ずいぶんと親しくなったみたいだな。」

「かわいらしい方ですよね。

男の心変わりに翻弄されてお気の毒です。」

『グサッ』

王は言葉を返さない。


ふと思いついて

「従兄さんの解放はアリーの条件なんですか?」

と聞けば

「ああ。もっと早く解放してやりたかったんだがな。」

と言う。

「元はと言えば陛下の失敗ですしね。」

『グサグサッ』

微かに王の呻き声が聞こえた気がした。




渡り廊下を歩きながらふと胸が傷む。

弟との約束。守れなかったのは私の方だったな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ