表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/55

突撃

 ……理由はないのね。


「でも、理由がないのにやるの? ……ますます、訳がわからない」


 人の行動原理として間違ってる。

 人は理由なしに良いことはしない。


「うーん……気になる」


 やっぱり、もうちょっと話してみたい。


 今から追いかければ、間に合うかな?


 どうせ、家に帰ってもすることないし。


「よし……行ってみよう」






 何となく気になった私は、彼の後をつけてみた。


 幸い、彼の足は速くないので、私でもついていくことができた。


「ここは……保育園?」


 すると、彼が小さい女の子と出てくるのが見えた。


 咄嗟に隠れた私は、その様子を観察する。


「……妹さんがいたのね……高校生がお迎え? お母さんやお父さんは?」


 あの子も、私みたいに可愛がられてない?

 でも、お兄ちゃんがいるなら良いよね。


「なるほど……だから急いでたのね」


 それは悪いことしちゃった。

 随分と一生懸命に走ってたし、ギリギリだったのかも。


「それなのに、私の話を聞いてくれて……本当にお人好しなのね」


 損得勘定なく、優しいってこと?


 そんな人、いるのかしら?


 それじゃあ、損ばかりしちゃうわ。


「とりあえず……しばらく観察してみよう」


 そうすれば、もっと彼のことがわかるはず。


 まずは……何からしよう?


 そうだ……そうしてみよっと。






 ◇



 ……眠い。


「ふぁ……起きなきゃ」


 帰ってからラインの通知が凄かったし……。

 どうなった!? 告白か!?とか。


「とりあえず、みんなには何でもないって説明したけど……」


 それに昨日、遅くまで勉強してたからなぁ。


 頭も良くなく、要領の悪い俺は、勉強時間に比べて成績が良くない。


 こんなんじゃダメだってわかってる。


 でも優香の世話もあるし、自分の時間だって……。


「いやいや……自分の要領が悪いことを、優香の所為にしちゃダメだよな」


 すると……トタトタトタと足音が聞こえてくる。


「お兄ちゃん! おはよー!」


「おはよう、優香」


 そうだ、親父と約束したんだ。


 俺に代わって、家族を守ってくれって。


 そして、人に誇れる自分であれって。






 朝ご飯を食べ終わると……。


 ピンポンの音がする。


「あら、誰かしら?」


「うちのゴミ出しが散らかったとか?」


 たまにカラスにやられて、ごみネットが散らかることがある。

 そうすると、ご近所さんに迷惑がかかる。


「だったら大変だわ!」


「良いよ、俺が行くから。母さんは出かける準備して」




 母さんに代わって、玄関のドアを開けると……。


「あの、何かあり……はれ?」


「おはようございます」


「お、おはようございます……?」


 そこには、綾崎さんが立っていた……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ