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塩対応で有名な綾崎さんはモブの俺に興味津々みたいです  作者: おとら@7シリーズ商業化


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遊園地の終わり

 楽しい時間はあっという間に過ぎ……。


「優香、そろそろ帰ろうか?」


「いや!」


 そう言いながらも、足元はふらついている。

 お昼寝したとはいえ、まだ四歳だ。

 朝から遊んでいたら疲れるのは当然とことだ。


「もう疲れただろう?」


「うぅ〜もっとお姉ちゃんと遊ぶのぉ……」


「ん、大丈夫。またきても良い」


「ほんと!?」


「ん、約束」


「うんっ! 絶対だお!」


「次はいつが良い?」


「えっとね! 七月にはプールとか花火があるの!」


「ん、了解。じゃあ、その時に来よう」


 ……プール? 水着? いや、花火なら浴衣か?

 ……いやいや! 何を想像してんの!?


「和馬君?」


「お兄ちゃん?」


「い、いや! なんでもない! か、帰ろうか!」


 何とか誤魔化して、遊園地を後にする。







 結局、こうなるよなぁ。


 電車に乗ってはしゃいでいたら……優香が寝てしまった。


「すぅ……」


「ん、可愛い」


「まあ、そうなんだけど……おーい優香、もうすぐ着くぞー」


「むにゃ……」


「ダメだこりゃ」


「起こした方がいい?」


「いや、かわいそうだし。このままおぶって帰ることにするよ」


「じゃあ、家までついていく」


「えっ? い、いや、大変だからいいよ」


「でも、荷物もお土産もある」


「まあ、少し大変だけど……」


「君はもう少し人に頼っても良いと思う」


「えっ?」


「……私は迷惑?」


「そんなことない」


「だったら……頼ってほしい」


「綾崎さん……うん、わかった。じゃあ、お願いしてもいいかな?」


「ん、任せて」


 そう言って、柔らかく微笑みを浮かべる。


 だんだんと表情が解れてきて、その顔をまっすぐに見ることができなかった。







 その後、何とか自宅前に到着し……。


「ぜぇ……ぜぇ……」


「ん、お疲れ様」


「あ、ありがとう……」


 ほんと、子供の成長って早いなぁ。

 ついこの間までは、これくらいなら余裕だったのに。


「ほんと、綾崎さんがいてくれてよかったよ」


「……ん、なら良かった」


 すると……玄関のドアが開く。


「あらあら……なるほど、寝ちゃったのね」


「母さん、そうなんだよ」


「こ、こんばんは」


「はい、こんばんは。綾崎さん、今日はありがとうございました」


「わ、私も楽しかったので」


「うーん……夕ご飯はどうするのかしら?」


「……特に予定はないです。その、父も母もいないので……」


「ふむふむ……よし! 今日は食べて行きなさい!」


「へっ?」


「うん、それが良いかも」


「わ、悪いです。この間だって……」


 ……家に帰っても一人なんだよね。


 よ、よし……頑張れ、俺。


「母さん、とりあえず優香をお願い」


「……ええ、わかったわ」


 ひとまず優香を母さんに預け、家の中に入るのを見届ける。


「ん、それじゃ……」


「待って」


 帰ろうとする彼女の手を掴む。


「和馬君?」


「今日は食べて行ってよ……その、迷惑じゃなければさ」


「迷惑なんかじゃない……私がいる方が迷惑……だって、どうしていいかわからないから」


「いつもの綾崎さんで良いよ。マイペースで少し変なところがあって、それでいて……優しい綾崎さんで」


「……いいの?」


「うん、もちろん。ほら、それに……綾崎さんこそ、もっと頼って良いんだよ。その、俺でよければ」


「……ん、ありがとう……じゃあ、お邪魔させてもらう」


「うん、そうしよ」


 俺は彼女が逃げないように、そのまま家の中に入るのだった。


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