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塩対応で有名な綾崎さんはモブの俺に興味津々みたいです  作者: おとら@7シリーズ商業化


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彼女の話

 ……ど、どうしよう?


 こんな時、なんて声をかけてあげればいいんだ?


 ひとまず言えることは……黙ってるのは良くない。


「か、可愛いと思……います」


「……えっ?」


「いや、その……綾崎さんは可愛いと思う」


「…………」


「あっ——そ、そういう意味で言ったんじゃないですよね!?」


 俺は何言ってんだ!? 今を可愛いと言ってどうする!?

 彼女は小さい頃の話をしてたっていうのに!

 綾崎さん、目を丸くして止まっちゃってるじゃん!


「………私、可愛い?」


「へっ?」


「君から見て可愛いの? 私、美人とは言われる。でも、可愛いとは言われたことない。愛想も良くないし、無表情だし……可愛げがないって言われてきた」


「そ、そうですね……か、可愛いかと思います」


 ァァァァ! 顔から火が出そう!

 ……でも、きっとこれは伝えないといけないことだ。

 詳しい理由はわからないけど、そんな気がする。


「ん……どの辺?」


「え、えっと……まだ会ったばかりなんであれですけど……ふと笑う仕草とか、優香を見る目とか、意外とお茶目なところとか……」


「……そうなんだ……私といて楽しい?」


「う、うん、もちろん。というか、楽しくなかったら誘ってないよ」


「……ん、ありがとう……また誘ってくれたら嬉しい」


 そう言い、仄かに微笑む。


 ……ほら、やっぱり可愛いじゃんか。






 その後、ただ静かに時を過ごす……。


 持ってきた本を読んだり、優香を眺めたり……。


「そういえば、貰った本面白かった」


「あっ、俺も面白かったよ」


「ちゃんとライトノベル?っていう分野でも、情景描写とか心情の描写とかあるんだと思ってびっくりした」


「あぁ……まあ、そういう偏見はあるかもね。俺も推理モノって淡々としててつまらないかとお思ってだけど、ちょっとしたコメディとかが緩急になって面白かったよ」


「ん、私も読んでみる……他にも君が読んでる本とか」


「えっと、漫画とか?」


「ん、そういうものも。萩原さんとかともお話ししてみたい」


「なるほどね。うん、良いよ。時間があるなら、ゴールデンウィーク中でも良いし」


「時間ならある……私、一人暮らししてるから。友達も……今まではいなかったし」


「……えっ?」


「……一年前に両親が離婚して、今はあのマンションで一人で住んでる……ごめんなさい、つまらない話で」


「い、いや……その……俺でよければ聞くよ……多分、なんの力にもなれないけど」


 一瞬だけ泣きそうな表情を見せて……綾崎さんがポツポツと語り出す……。



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― 新着の感想 ―
[良い点] このタイミングでこんな話聞かされたら人生賭けて救ってあげたくなっちゃうでしょ
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