女子会
……何話せば良いんだろ?
一緒に帰ると決めたのは良い。
嫌な子じゃないし、きちんと目を見て話してくれるし。
今までこういった子達は、私に近づいて来なかった。
来るとしても派手な格好した人や、私自身を見ていない人たちとかだけ。
だから、嬉しいはずなんだけど……さっきからずっとモヤモヤしてる。
「あ、あのぅ……」
「ん、どうしたの?」
「もしかして……機嫌悪いですか?」
「どうして?」
「い、いえ、そう思った……ごめんなさい!」
「なんで謝るの? 私、怒ってる顔してる?」
いつも、そう……私って怒ってるとか、機嫌悪いとか言われる。
「か、鏡とかは……?」
「ん、持ってない」
「わぁ、本当の美人さんはいらないんだぁ……これ、よかったら……」
彼女から鏡を受け取り……驚く。
「……眉間にシワが寄ってる?」
「だ、だから、機嫌悪いのかなって……」
「ん、理解した。ごめんなさい、私が悪かった」
「い、いえ! もしかして、私と帰るの嫌でしたか?」
「ん、そんなことない」
誘ってもらえたのは嬉しかったはず。
では、何でモヤモヤしたり、機嫌悪そうな顔してるのだろう?
「……伊藤君がいないからですか?」
「……どういうこと?」
「ち、違ってたらごめんなさい。その……寂しいのかなぁって。最近仲良くて、ずっと一緒に登下校してたから……」
「……そうなの?」
「ふえっ!? そ、それは本人にしかわからないんじゃないかなぁ」
「むぅ……困った」
「えっと、どういう風に感じてますか?」
和馬君がいないことを考えてみる……モヤっとする。
あと……気のせいかもしれないけど。
「萩原さんと和馬君が仲良くしてるともやっとした。多分、仲間はずれにされた気分だったのかも」
「そ、それってつまり……えっ? やっぱりそうなの?」
「ん、どういうことなのか教えてほしい」
「い、いえ、わたしもあまり経験なくて……あっ! ラインでしたね! まずはそれをやっちゃいましょうか」
「ん、確かに。本題を忘れるところだった」
その後、ラインの設定というのをしてもらうと……。
そのタイミングで電話が鳴る。
「ん……電話? 私に……和馬君?」
「で、出ないんですか?」
「出て良いの?」
「も、もちろんですよ! あっちからかけてきたんですから」
……何を躊躇ってるのだろう?
自分の気持ちもわからないままに、ひとまず通話ボタンを押してみる。
『あっ——も、もしもし? 綾崎さん?』
「………」
『あ、あれ? おかしいな……電波悪いかなぁ』
「ほ、ほら、答えないとですよ」
「ん、わかった……もしもし」
『あっ、聞こえてて良かったです。あのですね、ライン設定はできましたか?』
……何だろ、落ち着く。
ゆっくりと丁寧な言葉だから?
「ん、できた。萩原さんがやってくれた」
『では、きちんとお礼しないとですね。その、お友達ですし』
「ん、確かに……電話はそれだけ?」
『い、いえ……明日って予定あったりしますか?』
「特にない。買い物しに、スーパーに行くくらい」
『そうですか……もし良かったら、何処かにお出かけしませんか?』
「………へっ?」
「あ、綾崎さん! あ、危なかったぁ…」
思わず、スマホを落としてしまった。
それを萩原さんが上手く拾ってくれたみたい。
『だ、大丈夫!?』
「ん、問題ない。優香ちゃんもいるの?」
『……その、俺と二人だと嫌かな?』
「……その意味は何?」
『お互いのことを知ろうかなって。だって、綾崎さんばかり俺を観察してたらずるいよ』
「それは言えてるかも。わかった、じゃあ明日……どこに行けば良い?」
『俺がそっちの最寄り駅に行くね。時間は二時くらいで平気?』
「ん、平気」
「そ、そっか……じゃ、じゃあ、明日!』
そこで電話が切れた。
「綾崎さん、良かったですね?」
「どういうこと?」
「その……もう一回鏡を見てください」
言われた通りに見てみると……そこには見たことない顔で微笑んでいる自分がいた。




