お昼ご飯
急いで食べた後……少し時間が余った。
「その……お二人はラインとかやってるんですか?」
「ん? 一応やってるよ」
「私はやってない」
「へっ? じゃ、じゃあ、お二人はメールでやり取りを?」
「ん、特にしてない」
……そういや、連絡交換してないや。
というより、全部吹っ飛ばして綾崎さんが突撃してくるし。
「ハハ……実は連絡交換してないんだ」
「何か理由があるんですか? その、友達ってライン交換とかする……かなぁって」
後半につれ、声がどんどん尻窄みになっていく……。
これは……明らかに俺たちが悪い!
正解なんてないけど、どっちかというとあっちが普通だ。
「ご、ごめんね! こっちが普通じゃなくて!」
「ん、何か問題ある? 毎日行けば良い」
「いや、それは流石に困るけど」
「そ、そうですよね。休みの日とか、ゴールデンウィークとかありますし……」
「…………」
「綾崎さん?」
何やら固まってしまった。
ちょっと言い方が悪かったかな?
「いや、あのね、嫌って訳じゃなくて……休みの日とかは朝寝坊したりするし、出掛けたりもしてるからさ。急に来られてもいないかもしれないから」
「ん、理解した。確かに迷惑かける」
「別に迷惑じゃないよ。事前に連絡くれれば良いからね」
「……じゃあ、連絡交換する。でも、ラインとかわからない」
「あぁーそっか。といっても、俺も設定するとき浩二に頼んだしなぁ」
あれって意外と面倒というか、よくわからなかった。
俺が手間取ってたら、浩二がささっとやってくれたんだっけ。
「わ、わたしで良ければお手伝いしましょうか?」
「……いいの?」
「は、はい、綾崎さんが良ければ……」
「ん、助かる」
「じゃあ、いつにしましょうかね?」
おっとこれはいい機会かも。
やっぱり、同性の友達が欲しいよね。
俺も浩二がいなきゃ高校ではぼっち決定だったし。
「今日の放課後にでも見てもらったら? もちろん、萩原さんの予定と綾崎さんの予定が合えばだけど」
「わたしは平気ですけど……」
「ん、私も問題ない」
「じゃあ、三人でどこか行きますか?」
「いや、悪いけど俺は行けないんだ」
「そ、そうなんですか?」
「ん、仕方ない……二人でも良い?」
「は、はい! もちろん!」
「綾崎さん、よかったね」
「ん……ありがとう、和馬君」
そう言って微かに微笑む。
まあ……妹のお迎えがあるし。
何より、女子同士だけの方が良いと思うし。
今の微笑みといい……これ以上惹かれても困るしね。
好きになったら、その分だけ傷つくだけだ。




