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塩対応で有名な綾崎さんはモブの俺に興味津々みたいです  作者: おとら@9シリーズ商業化


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20/55

部屋

 うちに到着したのは良いけど、良く良く考えてみたら……。


「すやぁ……えへへ……すぅ……」


「まあ、こうなるよね」


「ん……すごく可愛い」


 この時間は、だいたいお昼寝してしまう。

 つまり、遊ぶことは難しいってことだ。


「ど、どうするの? 起こす?」


「起こすのは可哀想」


「……綾崎さんって優しいね」


「……私が?」


「うん、そう思うよ」


「……そう」


 見た目から、もっとクールな感じかと思ってた。

 でも、よく見れば表情豊かだし、結構お喋りだったりする。


「もっと、教室でも話したら良いのに」


「……私の話、つまらないから」


「うーん、そうかなぁ。少なくとも……俺は楽しいけどね」


「変な人」


「酷くない!?」


「ふふ……ありがとう」






 その後、お茶を飲んでいると……。


「君の部屋はどこにあるの?」


「……はい?」


「見たい」


「……何故ですかね?」


 ま、まずい……全然かたしてないぞ。

 いや、優香や母さんがいるから、変なものは出してないはず。


「伊藤君、いつも本読んでる。今日も、休み時間に読んでた」


「……見てたの?」


「ん、後ろの席だから」


 今日読んでたのは、漫画だったかな。


「そ、そうなんだ。漫画とか読むの?」


「読まない。読むのは小説」


 ああ、そういや有名だった。

 なんか難しそうな本を読んでるらしいって。


「多分、綾崎さんが読むような本はないと思うけど……」


「それで良い。君がどんな人なのか知りたいから」


「……はぁ、わかったよ」


 どうにも、その真剣な表情に押し切られてしまう。

 ほんと、美人さんの目力って凄い。






 二階に上がって、部屋の中に案内すると……。


 綾崎さんがキョロキョロと辺りを見回す。


「ん、色々見てもいい?」


「うん、平気だよ」


「これはパソコン……」


「そうだね」


 大丈夫! アレはパソコンのデータに入ってるし!

 紙には残さないタイプです。

 というか、優香がいるから危ないし。


「これは?」


「ゲーム機だね。もしかして、やったことない?」


「ない」


「そ、そっか」


 ……まじですか。


 現代っ子でやったことないとか貴重だよね?


「ふんふん……知らない本ばかり」


「えっ!? ○ンピースとかも?」


「名前だけは聞いたことある」


 まあ、そういう人もいるよね。

 逆を言えば、俺なんか文芸書読まないし。


「ちなみに、どういう本を読んできたの?」


「経済学とか政治学とか、株の仕組みの本とか……」


「へっ? い、いや、そういうじゃなくて……」


「ん? あっ……料理の本とか?」


「いや、それも良いけどさ……小説みたいなのは?」


「夏目漱石は読んだ」


「ま、間違いではないね」


 流石は綾崎さんだ。


 学費なしの特待生だし、そういう本を読んできたからなのかも。


「……これは何?」


「えっと、ライトノベルってやつで……綾崎さんが読むような感じじゃないかも」


 手に取ったのは、いわゆるラブコメの王道モノだった。

 ざまぁとか寝取られとかでもなく、ファンタジーやハーレムでもないやつ。

 ヒロインと主人公の純愛物で、女の子が積極的なやつだ。


「ん……君はこういうのが好き?」


「へっ? いや、そういうわけじゃ……」


「でも、いっぱいある」


 たしかに、俺の本棚には青春ラブコメ的なものが多い。

 しかも、この一年の間で。

 多分、憧れみたいなものはあるのかもしれない。

 どうしたって、高校生モノが多い。

 でも、今の俺には……そんな時間も相手もいないし。

 勉強と家族のことで精一杯だから……。


「うん……憧れはあるかも」


「そう……じゃあ、これ借りてもいい?」


「へっ? 別に良いけど……もっとファンタジーモノとか、もしくは漫画とかあるよ? そっちのが読みやすいんじゃない?」


「ん、これがいい」


 そう言って、可愛い女の子が表紙のライトノベルを胸に抱きかかえる。


 その姿は、なんだか可愛らしく見えた。



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