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塩対応で有名な綾崎さんはモブの俺に興味津々みたいです  作者: おとら@7シリーズ商業化


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対比

その日の夕飯は、とても賑やかだ。


テーブルを囲んで、四人でカレーを食べる流れになったから。


「美味いっす! 弥生さん、相変わらず料理上手ですね」


「あら〜嬉しいわぁ。どんどん食べて良いからね」


「お兄ちゃん、カレーおいちい!」


「そっか、良かったね」


久々に遊びに来た浩二を、母さんが引き止めた。

相手の家に電話して、うちで食べさせてもいいかと。

相手の家族も浩二も、快く引き受けてくれた。

おかげで、優香が楽しそうだ。

……やっぱり、《《四人席が埋まってるからかもしれない》》。

俺だけじゃ、やっぱり寂しさは埋められないのかなぁ。


「そうそう! うちの子に、朝に女の子が訪ねてきて! これが凄い美人さんで!」


「ちょっ!?」


「ああ、知ってますよ。同じクラスの子なんで。でも、付き合ってるとかじゃないみたいっすね」


「あら、そうなの?」


「う、うん、もちろん」


「こいつ、変わってるでしょ? それで、興味を持たれたって感じですかね」


「そうなの……息子に春が来たと思ったのに」


浩二! 助かったよ!

母さんは残念そうだけど、これで質問責めされなくて済む……あれ?

でも、明日もくるって言ってたから……どうしよう?







……今日はいっぱい話せた。


私と違って、彼は表情がコロコロ変わって面白い。


……楽しい?


「ん……私は楽しかった?」


男の子と話して楽しいと思ったのは初めてかもしれない。

というより、男の人は基本的に喋ってばかりだ。

自分のこととか、趣味とか、もしくは私の容姿を褒めるだけ。

私は話すの苦手だし、話しかけてる人はいつも一方的だから。


「伊藤君は、私の話を聞いてくれた……それが嬉しかった?」


……わからない。


こんな感覚、初めてかもしれないから。





そんなことを考えながら帰っていると……。


気がつくと、マンションの部屋の前に到着していた。


「ただいま」


私が鍵を開けて中に入っても、ただいまと言っても……。


返事が返ってくることはない。


この部屋で暮らしているのは、私一人だけだから。


それでもただいまというのは……何故だろう?


言ったところで、意味なんてない……非効率。


「……いつもは、こんなこと考えない」


彼と話したから? それとも、優香ちゃん?


「わからない……けど、知りたい」


この気持ちが何なのか……。


「そうだ、お弁当」


伊藤君はパンを食べていた。


あればかりじゃ健康に悪い。


洗面所の前で手を洗いつつ、メニューを考えていると……。


「ん……笑ってる?」


鏡の中の自分が……笑っていた。


自分でも気づかなかった変化だ。


やっぱり、彼は面白い。


私に、新しい発見を教えてくれる。


明日からも、観察してみよっと。








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