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塩対応で有名な綾崎さんはモブの俺に興味津々みたいです  作者: おとら@7シリーズ商業化


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友情

 浩二に手を引かれ、そのまま教室出る。


 すると、廊下でも……。


「正義のヒーローってか」


「ちげーよ、こいつ具合悪いみたいだし」


「そうなん? ああ、あいつら気づかなそーだな」


「まあ、あいつらも悪気があるわけじゃないけどな」


 突っ込んでくる人達に軽口をたたき、ずんずんと進んでいく。




 そして、そのまま……学校の外に出る。


「ふぅ……ここまでくれば良いか」


「浩二、ありがとう」


 ああいっておけば、俺への心象も悪くなりにくい。

 後は、俺が明日『昨日具合悪くて……』と言えば良いだけだ。


「なに、気にすんなよ。元はと言えば、俺が悪いしな」


「へっ?」


「朝、俺に任せとけって言ったろ? 全く、きちんと言ったはずなんだがなぁ」


「いやいや、浩二は悪くないよ。俺がはっきり言えないから……ごめん」


 優香のお世話があるからとは言いたくない。

 妹の面倒を見るのが嫌とか、恥ずかしいってことじゃなくて……。

 それで『可哀想』のレッテルを貼られるのが嫌なんだ。

 俺自身は、そんなこと思ってないのに。


「謝んなよ。俺とお前の仲じゃんか」


「……ありがとね」


「おうよ。ついてだ、たまにはお前んち行くとするか」


「……妹に手を出したらただじゃ済まないからね?」


「こわっ……おいおい、俺の守備範囲外だっての」


「優香が可愛くないと?」


「……ほんと、お前って妹のことになるとダメだな」


「……自覚はあるよ」





 そんな会話をしつつ、保育園に向かうと……。


「あっ! コウジくんだぁ!」


「あらあら! 浩二君じゃない!」


 妹も含め、保育士さんも浩二に近づく。

 ほんと、どこに行っても人気者ってやつだよね。


「ちーっす、優香ちゃん。今日は俺がお迎えに来たぜ」


「わぁーい! 今日はすごいおっ! 朝はお姉ちゃんもいるし、帰りはコウジくんがいる!」


「お姉ちゃん……ああ、そういうことね。んじゃ、帰るとするか」


 浩二が優香の手を握ろうとするので、それを遮って俺が手を握る。


「優香、帰るよ。そして、その男には近づいちゃダメだよ」


「おい? 今日、お前のピンチを救った友人なのだが?」


「それとこれとは話が別だよ」


「お兄ちゃん! わたし、今日はコウジくんとつなぐ!」


「……がーん」


「あははっ! ザマァみろ!」


 ぐぬぬ……結局、イメケンがいいのか。


 まあ、でも……こういう感じも、久々で楽しいかな。




 その後、うちに行き……すぐに優香がお昼寝を始める。


「あらら……はしゃぎ過ぎたね」


「ふっ、我ながら罪作りな男だ」


「浩二?」


「わ、わかった! わかったから怖い顔すんなって!」


 全く、しようがない奴……でも、まずはこれをしないと。


「浩二、今日は本当にありがとう。お陰で助かったよ」


「……おぅ」


「なに照れてんのさ?」


「いや……お前のそういうところ、俺はいいと思うぜ」


「ん?」


「恥ずかしげもなく、素直に言えるところだよ。お前のことお人好しとか馬鹿にする奴もいると思うが……まあ、そんなのは放っとけ。お前は、そのままでいてくれ」


「浩二……」


 浩二が、どうして俺と仲良くしてくれるのかはわからない。

 でも、どうでも良いや。

 浩二が、俺にとって大事な友達だってことさえわかってれば。


「……らしくないこと言ったな。んで、結局どうなってるんだ?」


「えっと……」


 昨日から起きた出来事を、詳しく伝えると……。


「なるほどねぇ……こりゃ、春が来たか?」


「へっ?」


「いや、互いに鈍そうだな……下手に動かない方がいいか?」


 なにやら、浩二が小声で呟いている。


「どういうこと?」


「いいや、何でもない。まあ、嫌なわけじゃないんだろ?」


「そ、そりゃ、もちろん……俺だって、一応男だし」


「ははっ! 素直でよろしい! じゃあ、気がすむまで付き合ってやれよ。優香ちゃんも懐いてんだろ?」


「でも、学校で……」


「言いたい奴には言わせとけ。どうせ、ただの嫉妬と野次だ。何かあったら、俺に言え」


「……ありがとう」


 ほんと……何で浩二が、こんなに良くしてくれるかはわからない。


 でも、今度浩二が困ってたら、何か力になれるといいな。

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