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モブ、絡まれる

 その後、まだ少しだけ時間があったので……。


「あのさ……どうして、昼休みに誘ったのか聞いても?」


「質問の意図がわからない」


「 ……その、休み時間には話しかけてこなかったよね? だから、なんでこのタイミングなのかなって」


「話しかけて欲しかったの?」


「はい?」


 えっ? 俺ってそうなの?

 ……いやいや! 単純に疑問に思っただけだよ!


「面白い顔」


「ひどい……ほっといてよ」


「ふふ……だって、10分しかないから。それじゃ、話したいことも話せないわ」


「な、なるほど」


 うわぁ……美人の微笑みってすごいや。

 こう、心臓が掴まれる感じがする。


「そんなの非効率だし、だったらまとまった時間の方が効率良いから」


「……それ、良く言う」


「あっ」


 俺の言葉を遮って、彼女が立ち上がる。


「授業始まっちゃう」


「あっ、ほんとだ」


「ん、戻ろう」


「……そうだね」


 どうやら、一緒に戻ることは決定らしい。


 はぁ……ほんと、どうしたもんか。


 悲しいことに……握られた手が振りほどけない。






 ギリギリで教室に入ったので、誰からも突っ込まれることなく……。


 無事に、放課後を迎える。


 けど……流石に、そう上手くはいかないみたいだ。


 というより、自分の鈍臭さが嫌になる。


「なあ!」

「どうなってんだよ!」

「どこで仲良くなったんだ!?」


 帰ろうとしたら、クラスの男子達に引き止められてしまった。

 綾崎さんは、ホームルームが終わった瞬間、風のように帰っていったし。

 ほんと……自分が与える影響を考えて欲しいよね。


「ま、待って!」


「何だよ、たまには良いだろ?」

「お前、いつも帰っちまうじゃんか」

「女の子とは遊べても、男とは遊べないってか!」

「見た目と違って、実はチャラいとか?」

『はははっ!』


 いわゆるリア充と呼ばれる人達に囲まれると……正直、居心地悪い。


 こういう空気は苦手だ。


 彼らは楽しいのかもしれないけど……。


 そういうのが嫌だって人も……人の気持ちになって考えて欲しい。


 別に、彼らだって悪気があるわけじゃないと思うけどさ……多分。


 すると……俺の視線に、浩二が入ってくる。


「へいへい、その辺にしとけって」


「んだよ、浩二」

「邪魔すんなよ」

「これから連れて行くんだからよ。そうだ、お前仲良いんだから、こいつ説得しろよ」


 ……早くいかないと、優香のお迎えが。


「そいつ、俺が約束してんだわ。と言うわけで、悪いが持っていくぜ」

「あん?」

「なら、俺らがいても……」

「お、おい!」


 ごちゃごちゃ言う三人を無視して、浩二が俺の手を引く。


 ……なんか、今日はこんなんばっかりだなぁ。

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