童貞卒業話
19の夏。
2つ上の女友達から旅行に誘われた。
2人での1泊2日旅行。
19年童貞として生きてきて初めて訪れた大きなチャンスだった。これを逃したらいつ卒業できるか分からない。
必ず卒業する!
強い気持ちを持って旅行へ向かった。
旅先に着き、観光地を一通り回ったが、今夜どう雰囲気をつくるか考えることで精一杯だった。
旅館に着き、食事、風呂を済ませた。
その時が近づいてきた。
緊張で鼓動がはやくなる。
他愛ない会話を交わし、布団を敷く。
ここからの流れが全く分からなかった。
布団に入り暫く会話もあったが、少しずつ減っていく。
このままでは何事もなく終わってしまう。
それだけは避けたい。
「真剣な話あるんやけど、いい?」
「どうしたん?」
「童貞捨てさせて欲しい!」
一瞬間が空き、笑い声が広がる。
「可愛いなぁいいよ」
そう言いながら手を掴まれ、頭を撫でられた。
どんどん鼓動がはやくなるのを感じた。