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まんなか  作者: R
4/9

第四章 岩瀬 明奈

岩瀬 明奈 25歳 WAVE アルバイト


同期で同い年ということで

すぐに意気投合し

週1回は晩ごはんを一緒に食べる


お酒が弱く酒癖が悪い

つい、一昨日もやらかしている


いつも通りご飯を食べた後

明奈が好意を寄せるケンが働いている

バーへと向かった


いつもは梅酒1杯で気分良くしているのに

珍しく2杯目を注文し飲み切ったあたりから

ケンへの過剰なボディタッチが始まった


ケンの困り顔お構いなしに

いよいよ丸呑みにしてしまうのではないか

というところで

先ほどファミレスで食べた明太子パスタを

逆流させるという大失態


いつものファミレスへ向かうと

明奈が待ってましたとばかりに

店に入る前から

一昨日のパスタ逆流事件について嘆き始めた

嘆きながらも

「出したし補給せなあかん」と

懲りずに明太子パスタを注文した


明奈は決まって明太子パスタを注文するが

さすがに今日は違うものを食べるだろうと

予想していたので可笑しくて


そんな明奈の楽観的なところが好きだなと思ったが

1時間もノンストップで嘆き続けるので

やはり楽観的なところが好きだと思ったことは

撤回しようと思う


いい加減そろそろ話を変えようと

今朝の正夢について話したところ


「何それ変なのー」の一言で片付けられ


それからまた1時間

ケンへの熱い想いを語った明奈は

喋りきって満足したのか

明太子パスタを補給して満足したのかは

分からないが笑顔で帰って行った


家に着くと23時を回っていた

すぐに風呂を済ませ

明日着る服を選び布団に入った


 

カランカランカラン……



サイコロは6


そして身動きが取れなくなり

前へ6回ピョンピョンと進んだ


もう抵抗しようとは思わなかった

ジタバタしても動けないことを知っているし

今、起こっている

夢のはずなのにリアルな感覚を

冷静に分析したい


止まったマスには

「告白」 と書かれてある


ようやく体が動かせるようになると

すぐに辺りを見回して

サイコロを振った神様を探した


だだっ広い空間に

何の姿も見つけることはできない

自分だけが告白と書かれたマスの上にいる


「すみませーん。誰かいませんかー?」


「すみま……」

もう一度言おうとした時

フッと目の前に真っ白な人が現れた


「何?」

端整な顔立ちは微動だにもせず

まるで人形のようにも見える

自分で誰かを呼んだものの

突然過ぎてうまく状況が呑み込めない


目の前の白い人が

男なのか女なのかも分からない

ただ一言しか放っていないが

澄んだキレイな声から

初めてこの夢を見たときに

「まんなか」を歌っていた人だ!

ということだけは分かった


「あの……もしかしてあなたが

サイコロを振った神様ですか?」


「神様?じゃぁ、神様でいいよ」


「は?これは夢ですよね?」


「夢?じゃぁ、夢ってことでいいよ」


無愛想に答えると

ぐるっと向きを変え

「まんなか」を歌い始めた


全く腑に落ちない返答だったが

一瞬にして聴き惚れる歌声に

思わず目を閉じてしまった


ハッと目を開けるとそこはもうベッドの上で

目覚ましの「まんなか」は

ピアノの音だけが鳴っている


どうしてもただの夢だとは思えず

耳に残る声にもう1度目を閉じた


朝のルーティーンをこなし

寝不足を吹き飛ばす勢いで

「行ってきます!」と仕事へ向かった


今日は大量の新作が入り

出勤してからずっと慌ただしい

バタバタと作業をしていると


「優子ちゃんおはよっ!

元気な明るい声で挨拶が聞こえてきた


もちろん私も負けずに明るく返した


挨拶ひとつで

こんなに嬉しい気持ちになるのは

相手が遥だったからだ

仲良くしていけそうな予感で

今日の仕事はフットワークが軽い


そんな晴れやかな気分の休憩中

携帯を見るとケンからメールが入っていた


今日はバーが休みらしく

晩ごはんの誘い

明奈のことで相談があるらしい

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