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新しい居場所

※2021.6.11(深夜)に「プロローグ*1」を少しだけ加筆、修正しました。

内容はほとんど変わっていませんので、ご安心下さい下さい。

 『銀の君』と契約をした後は、すぐに魔女様の家に向かった。

 魔女様から魔力を複数の形にアレンジ出来ると聞いていたけれど、まさか空を飛べるとは思わなかったから、本当にびっくりした。


「練習してみたら、出来るようになっただけよ」

 って魔女様は言っていたけれど、そんな簡単に出来るものなのかなぁ····絶対に違う気がする。



────────

──────

────



 魔女様の家は、王都から少し離れた山の中にあった。深い森の中にぽっかりと穴が空いたように木が無くなっている場所があって、そこが魔女様の家だった。


 魔女様は抱き上げていた僕をゆっくりと地面に降ろすと、体調が悪くなっていないか確認をしてくれた。稀に他の人の魔力に当たって具合が悪くなる人がいるらしい。


「ようこそ、我が家へ。

 これからはここが貴方達の家になるわ。

 少しばかり狭いけど····必要だったら改築すればいいわ」

 

そう言って、家の中を案内してくれた。



 家は全部で二階建ての母屋と、少し離れた場所に調合をする小屋があって、『森の王』は基本的には森の中で暮らしているらしい。母屋の一階が共有スペースで二階は魔女様の部屋と客間が一つずつの間取りになっていた。


「当面は客間を使ってちょうだい。『銀の君』は彼と一緒の部屋がいいかしら?

 もし、森に行くなら『森の王』に話を通すから必ず教えてね」


「ありがとうございます。

 『銀の君』は僕と一緒の部屋に最初は住むそうです。たぶん····」


 まだ彼女が伝えようとしている事の全てが分かっている訳では無いから、少し自信が無かったけれどどうやら正解だったみたいだ。魔女様も彼女も満足そうにしている。


「今日は色々とあったし、疲れたでしょうから詳しい事は明日説明するわ。

 とりあえずご飯にしましょう!手伝ってくれるかしら?」


「もちろんです!」


 今まで料理を作ることも、食事の為の準備もした事が無かったから、手伝いも手間取ってしまったけれど魔女様は笑って許してくれた。


 離宮では、冷めた料理が一日にニ度メイド達がぞんざいな態度で持ってくるだけだったし、一人きりの食事はなんとなく寂しいものだった。

 でも、魔女様の作る料理は温かくて美味しくて、食べるだけで幸せな気持ちになれた。


 美味しい、美味しいと言いながら食べていたら、いつもよりも沢山食べていたみたいだ。こんなにお腹一杯になるまで食べたのはいつ以来だろう。


 「ふふ····よっぽど疲れていたみたいね」


 満腹になったからか、食べ終わった後にいつの間にかウトウトと眠りの世界に入っていたみたいだ。


 魔女様が僕を客間のベッドまで運んでくれている。ベッドも柔らかくて、とても落ち着く良い匂いがした。


「ゆっくりおやすみ」


 魔女様が頭を撫でてくれている。『銀の君』がベッドの中に入ってきて、一緒に寝てくれるみたいだ。

 そのまま僕はゆっくりと落ちていった。



────────

──────

────



 一日で色々な事が起こったからか、彼は食事の後すぐに寝てしまった。彼女も側にいることだし何かあっても大丈夫でしょう。


 『銀の君』にも挨拶をして、ゆっくりと客間をでて一階のリビングに戻ってくる。椅子に座りこれからの事を考えていると、


  【ヨカッタノカ】

 

 おそらくずっと見ていたのであろう、『影』が聞いてきた。


 「もちろん。後悔はしていないわ」

 

 私は笑顔で答える。

「王家に連絡するのが面倒だけど」と呟くと


  【ワレガ イッテヤッテモ カマワナイ】

 

 と、どこか含みのある言い方で『影』が提案をしてきた。ただの親切心で言っているわけではないのが丸わかりだ。


「お断りよ。以前アナタにお使いを頼んだ時に散々な目に合ったのを忘れていないわ。

 直接会わないで済むように手紙を書くわ」


 さらさらと羊皮紙に第四王子を弟子にした事、王位継承権を永久に放棄する事、こちらへの介入を禁止する事を書いていく。介入をしてきた場合はこの国を出て、()()()戻らない旨もしっかり書き添えて、『不死の魔女』としてのサインをした。


 封をした手紙を持って、テラスに向かう。そこにはすでに『森の王』が待機をしていた。私が何をお願いするか分かっていたらしい。


「いつも助かるわ、ありがとう。

 これを王に渡してきてくれる?

 あと、明日彼らを紹介してもいいかしら?貴方に会えるのを楽しみにしていたみたいよ。」


 手紙を渡しながら、『森の王』を紹介すると言った時の彼の姿を思い出す。自分にも使い魔ができたからか、他の使い魔に会えるのを楽しみにしていた。


  【承知した】


 手紙を受け取った後、そう返事をして森の中に消えていった。世話好きな彼の事だ、きっと仲良く出来るだろう。

 

 ゆっくりと伸びをしてリビングに戻ると、明日の朝食の準備を始める。簡単な食事にあれだけ喜んでくれたのだ、出来るだけ美味しいご飯を作ってあげたい。


 それに明日は街に行って買い物もしないといけないから、忙しくなるだろう。朝ぐらいゆっくりとご飯を食べさせてあげたい。

 

 「今日はやっぱり良い日だったわ」


 鼻歌を歌いながら準備をしている私に


  【フン····】


 『影』はどこか呆れたような様子だった。

 ここまで読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや感想を頂けますと嬉しいです。


 次回更新は日曜日を予定しております。


 ここまで書いてみて、プロローグの2と3を統一してしまうか考え中です··

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