繁殖術
繁殖術を開放したよ。
(タイトルに恥じない描写があるので注意)
「ケイ、いったいどうしたの? 突然叫んで」
「広げてほしいのか?」
「ドン引きです」
違うよ。
「実は房中術スキルが拡張して繁殖術スキルになったんだよ。それをこれから、試そうと思ってね……ふふ……」
亜人たちが少したじろぐ。何か悪役っぽいかも。
「な、なによそれ。聞いたことないわ」
「スキルの拡張だと?」
「気になりますが……」
シュレアだけ知識欲に負けそうになっている。
それにしても何が変わったんだ?
ん? 何かいつもと違って身体の一部分が重く感じるな。
……あっ。
「あっ」
「むっ」
「くっ」
マジかよ。繁殖サイズになってしまった。やばいな。通常の二倍くらいある。これ日常生活に支障をきたしそうなんだけど。元に戻らないのかな。
……ふんっ。
あっ、戻った。どうやら二倍の大きさまで伸び縮み自由らしい。便利だな。ただ、大きさ変えるときに腰が引けてしまう。刺激が強い。
「なかなかすごそうじゃない」
ちろり、と舌を出して微笑む。
伊達じゃないはずだ。繁殖術に拡張した時から、やたらと身体が漲る。今の僕ならやれるっていう気分だ。
「どっちが上かはっきりさせてあげるわ」
「相手にとって不足は無い」
「ほ、ほどほどで」
三人に囲まれて圧力を受ける。
普通の人ならそれだけで気を失いそうだ。もしくは転移したての僕とか。
でも今の僕は違う。
男の自信が滾る。血が滾ってくるぜ。なるほど、これが繁殖術か。
「いくわよ!」
参る!
…………
……
「……くぴっ」
膝の上にいたプテュエラがぐんにゃりとしなだれかかってきた。意識がない。僕はそっと受け止めてシュレアの隣に寝かした。シュレアはうつ伏せになってぴくぴくしている
「……くっ、プテュエラまで」
悔しそうなベステルタ。いつものような余裕が無い。頬も上気して身体を震わせている。
「繁殖術は伊達じゃないってことね」
「そうみたいだね」
あっ、と細い声をあげるベステルタを押し倒す。これじゃいつもと逆だな。
このスキルは素晴らしい。
最初はサイズが変わるだけかと思ったけど、それだけじゃない。
まず、ずっと繁殖状態が持続する。萎えることがない。さらに、いくら放出しても問題無い気がする。馬並みだよ。
そして相手の弱点が手に取るように分かるのだ。
これは防御力、タフネスがずば抜けている亜人に対して非常に有効だった。
練喚攻でパワーアップしたベステルタでもこの通りだからね。プテュエラは弱点を見付けてもしばらく抵抗してきたが、ついに陥落した。もった方だと思う。シュレアは弱点しか無くて逆に戸惑った。
どんな相手とも繁殖できて、繁殖できる状態にする。それが繁殖術、といったところだろうか。
「でも、それじゃ、序列無き獣の名が泣くわ……ねっ!」
突如としてベステルタの身体から不可視のオーラが発せられる。あっつ。熱を発してないか? なんか背中に悪寒が……えっ殺気出てない?
「ここからは本気で行くわよ……」
剛角がバチバチと紫雷を迸らせると、首筋のタテガミに金色の波紋が走り抜ける。瞳と身体、体毛に至るまでが黄金に輝く。
「ふぅぅぅ……」
彼女が呼吸をするたびに黄金の吐息がバリバリと帯電して空中に漏れ出す。熱雷みたいだ。
オウ……ガッズィーッラ……。
それにしか見えない。
「ちょ、ベステルタ、ちょ」
繁殖術で絶好調だったサイズがへろーんとしてしまっている。なぜか。本能的な危険を感じているからだよ。ダブルの意味で。
「まさかこんな形で久しぶりに本気を出すとは思わなかったわ。
ごめんなさいね、ケイ。亜人がナメられる訳にはいかないの。それだけそのスキルはやばいわ。堕ちてしまうかもしれない。だからその前にわたしが堕とす。
私の尊厳をかけて、二人の分まで、貴方を叩き搾りとるから」
ゆっくりと。
時計の短針みたいに。
ゆっくりと近付いてくる。
ベステルタが僕の手に指を絡ませる。
もう逃げられないし、逃してくれそうにない。
「の、望むところだ」
一回言ってみたかったセリフ。でも、この上なく負けフラグ。
「ふふ。初めて会ったときみたいね……。なんだかおかしいわ……」
押し倒し返された僕の顔に、ベステルタの獰猛な笑みが降ってくる。口が大きく開かれ、牙がズラリ。えっ、何でそんなに鋭くなってるの?
く、喰われる。
「美味しそう……」
がぶっ、ぐさり。
マジで突き立ててきた。
「痛っ! 痛いって!」
僕の首元に太鼓の大鮫よろしく牙が突き立てられた。
ずぶぶぶ……ずぷ。
「あ、ぁぁぁぁぁ……」
痛すぎて言葉にならない。頭がチカチカする。それでいて身体が甘く痺れるのはなんでだ。
麻酔無しの手術、文字通りの捕食。あらゆる比喩が頭を駆け抜けたけどどれも当てはまらない。だって、これは繁殖だから。
牙が体内にどんどん侵入してくる。来ちゃいけないところまで来ている。
反比例して僕の牙は硬く鋭くなっていく。あっという間にこみ上げてくる。来なさいってところに侵入している。
「ふぃもふぃ? ふぇいのち、おいふぃわ」
信じられないことにベステルタは僕の血を飲んでいた。彼女がゴクリを嚥下するたびに激痛が走り、僕の牙がドクリと波打つ。
なるほど、生命の危機を感じさせて搾り取るってことか。
なんて、冷静に考えてしまう。
ぬぽんっ。ぴゅっ。
「あっ」
牙が僕の首から抜かれ、血がぴゅーっと吹き出すが、すぐに止まる。ほ、本当に、とまってるかな。
「ケイの血、濃くって少し苦くて美味しかったわ」
そのまま首筋に付いた血を丁寧に舐めとる。ぞわぞわする。
「れすれるら……」
ベステルタ、と言おうとしたら舌が回らない。それどころか力が入らない。でも牙だけは天を突くほどにビキビキと痛いくらいに屹立している。なんで?
「ふふ……」
「ぐっふぉっ」
がちん、と両足で腰と腹をガッツリホールドされる。
「実はね、私の唾液には麻痺と媚薬の効果があるのよ。ケイは最近効かなくなっていたけど、久しぶりに限界まで濃くしたの。常人なら一週間は天国行きね」
や、やばい。身動き取れないのに、燃えるように暑い。なのに動かせない。こんなの拷問だ。
「あぁあうわぁあっ!」
「なに? 聞こえないわ」
辛くて辛くて、泣き叫びそうだった。
早く吐き出したい。いや、既に少し溢れている。何もしていないのに。もはや外気でさえ刺激が強い。
「あっふぁ、ふぁんひょく、ふぁんひょぉ、お……」
口が痺れてうまく喋れない。
涙が出てくる。
それをベステルタがゾクゾクする視線で見てくる。
ぬらり。
「ひぃっ」
ゾクゾクゾクゾクッ!
電流が走ったように僕の身体が波打つ。
「聞こえないわ?」
足の先からゆっくり、長い舌で舐め上げてきた。何てことをするんだ。もうだめだ。泣いて懇願するしかない。
「ふぁんひょふ……」
「どうしてほしい?」
「はんしょくしてください……」
満足げに彼女は笑うと、ホールドした足はそのままに、腰を一気に降ろした。
バチン。
僕の目は裏返り、痙攣して気絶した。
そこからの記憶は曖昧だ。
たまに凄まじい快楽で飛び起きて、また気絶する。ベステルタと僕の間から雷みたいな魔力がバチバチ迸っていたのは確認した。
しかし長く気絶させてもらえない。
じゅぶり。
「ああああっ」
麻痺していても分かる痛みと、強烈な違和感。
反対側の首元にも長くて太い牙を挿入される。
じゅぶ、じゅぶぶっ。
彼女がバチンバチンと紫雷と一緒に打ち付ける度に、僕の血液が吸われ、漏れ出てベッドを鮮血に染めていく。
「ケイ……貴方は亜人の未来。そして、わたしの宝物。絶対に誰にも渡さないわ。例え誰かの手に渡っても思い出すくらいに刻んであげましょう」
じゅぷじゅぷり。
バチンバチン。
その地獄のような天国、悪魔のような天使、痛みのような快楽の饗宴は朝まで続いた。
正直、すごい興奮した。
いつも読んで下さりありがとうございます。




