プレゼント
亜人たちが良かれと思ってやったことが、デイライトでは一部歪曲して伝えられていたよ。プテュエラが取り乱したけど皆でフォローした。
しんみりしてしまった。
ベステルタが見計らってお茶を淹れてくれた。ありがとうお姉さん。ナチュラルにコス茶だけど。僕の分は薄めてあるけどね。
ほっ、と一息。
お茶は良い。心が洗われる。
よし、プレゼント渡しちゃおうかな。雰囲気が少し暗くなっているし。彼女たちには明るくなってほしい。
えーっと、渡すプレゼントは……。
・全員へ
服、櫛、鏡
・ベステルタ
イヤリング、ペンダント
・プテュエラ
帽子、羽ブラシ
・シュレア
煙草、マグカップ
こんな感じか。喜んでくれるといいんだけど。
「こほん、えっと実はみんなに日頃の感謝を込めてプレゼントがあるんだ。受け取ってくれるかな」
みんながこっちを見る。
う、恥ずかしい。
「プレゼント?」
「贈り物ですか。悪くないですね」
「……本当に良いのか?」
よし、感触は悪くない。プテュエラは知っているだろうに。さっきの、僕の意志を無視したっていう罪悪感があるのだろうか。いいに決まっているぜ。
「いいに決まってるさ。まずは全員に渡すやつね」
「これは……服? それに櫛かしら」
「あ、シュレアの服に似ています」
「ありがとう……」
手始めに服、櫛、鏡を渡した。
服はそれぞれ違う物を選んでいる。
・ベステルタ
チューブトップってやつだ。彼女は基本的に動きを邪魔しないやつが好きそうだし、自然とそうなった。ただ、ベステルタの暴力的双丘に合うものを探すのが大変だった。
下は……スカートって言っていいのかな。活動的なやつ。女冒険者が身に着ける物だって説明された。問題はちょっと短めなことだ。けしからん。でも今までのボロ切れよりはずっと良いはず。
上下ともに派手過ぎず、活動的だけど品のあるものを数着選んだつもり。
・プテュエラ
何と言っても翼部分をどうするか、という問題があった。でもそこは異世界、鳥系の獣人もいるらしく、専用の服があった。そう言えばバルデも似たような服着ていたかも。でも、プテュエラは手が無いのでその中でもさらに簡単に着れそうなやつを探した。
可愛く言えばワンピース、見たまんまで言えば貫頭衣の服を選んだ。で背中側は翼部分が大きく空いているもの。
けしからんことに、横はほとんど空いていて、横ぷるるんがチラチラして素晴らしい。ぱっと見、天使みたいでむっちゃ可愛い。
同じく色やデザインの違う物を数着。
・シュレア
彼女は手足以外はほぼ人間だから、比較的自由に選べた。一番選び甲斐があったかもしれない。
実はシュレアが着ている服のジャンルをずっと思い出せなかったんだけど、唐突に思い出した。パンクロッカーだ。あんな感じ。そしてその上に白衣。めちゃくちゃハイセンス。ハイセンス過ぎる。やっぱりお母さんの形見なのかな。それにちなんだ物を選んだ。……でもどうしても気持ちが抑えられなくて可愛いワンピースをも買った。
後下着もね……。シュレア穿いてないんだよ。いや、いいんだけど、やっぱり気になってしまうからね。
櫛は三人分、鏡は貴重なものだったので一つだ。前の世界のものより品質は落ちるけど姿はちゃんと見える。
それにしても、複数の異性に贈り物するなんて現実に起こり得ることなんだな……。まったくノウハウが無いから、これでいいのか心配だ。
「わ、いいわね、これ。動きを邪魔しないわ」
「……可愛いな」
「嫌ではないですね」
何も問題無かった。
それどころか、服を見た瞬間ほぼノータイムで三人ともすっぽんぽんになった。
そして服をとっかえひっかえして、押し合うように鏡の前でポーズを取り始める。「服なんていらないと思っていたけれど」「悪くないですね」「可愛い」なんて呟いている。
尊い。
もふもふとスベスベたちがキャッキャウフフ。
僕の尊いフォルダに二回保存した。
「喜んでくれてよかった。でもまだあるんだよ。今度は個別に。まずは、はい、ベステルタ」
そう言って彼女にペンダントとイヤリングを手渡す。
「あら、すっごく綺麗ね……」
嬉しそうにつけてくれた。イヤリングも抵抗無いみたいだ。
そして、思った通り。すごく似合う。アダルトさが限界突破している。
彼女にはこう、さりげない装飾品が似合うなって思ったんだ。
「プテュエラには、はい。これね」
「買うところを見てはいたが、嬉しいものだな」
にこにこと僕が選んだ帽子を被ってくれる。
いつもの軍帽と少しだけ似ている、ベレー帽だ。
これも思ったとおり、奇妙な親和性を見せてくれている。もふもふクール有翼人にまさかベレー帽が合うなんて、僕以外の誰か分かるだろうか。
羽ブラシは今度使ってあげよう。心地よさそうなプテュエラが目に浮かぶよ。殲風魔法で浮かべて使えるだろうけどさ。
「シュレアには……」
「これはなんですか?」
あっ、手から奪い取られた。
興味深そうに眺めている。
「煙草っていう嗜好品だよ。煙を吸って香りを楽しむんだ」
形は前の世界のものと似ているが、フィルターなんか無さそうだし、ものすごいキツそうなやつだけど。
「こっちの器は? 湯呑ならすでにありますが」
マグカップをちょんちょんつついている。
「うーん、そうなんだけどシュレアにはこっちの方が似合うかなって思ったんだ」
マグカップでコーヒーを飲みつつ、煙草ぷかぷか燻らす樹木系パンキッシュ白衣タイトスカート嫌目視線お姉さん。属性てんこ盛りだが僕には分かる。絶対調和する。
「まあちょっと一本燻らせて見てよ」
「はあ……。すぅー、むっ。色んな薫りがしますね。ほぉー、なかなか面白いです」
生活魔法で火をつけてあげる。半信半疑で吸い出したが気に入ってくれたみたいだ。二本目吸い出した。
「ただ、人間には若干毒の成分が入ってるんだけど大丈夫?」
「ああ、確かに。微弱すぎて無視してましたけどありますね。この程度亜人の私には効きません。人間は脆弱ですね。同情します」
スパスパ、とあっという間に吸いこなすシュレア。やばいな、思った以上に似合っている。
「ふんふんふーん」
「ふふふ」
「すぱすぱ、ぷふぁー」
三人とも喜んでくれたみたいだ。本当によかった。
プレゼントは楽しいし、偉大だな。仲良くなれる。
当たり前だけど、女性にプレゼント上げるだけで喜ぶなんて、軽く見ている訳じゃない。
イヤリングとかペンダントなんて月並みだし、学生が考えそうって思うよな。
でも、ほら。好きだから、喜んでいる姿を見たくなってしまうんだよ。そういうもんだよね?
夜はミルフィーユ鍋にシュレアが好きなトマトを入れて、ロッソミルフィーユ鍋にした。
これがめちゃくちゃ好評。
ベステルタが好きなのは分かっていたけど、他の二人にも大好評だった。三人ともここまでの反応見せたのは初めてかもしれない。
なんでだろう。
ふーむ、肉と野菜のバランスがいいのかもな。ベステルタは野菜が多すぎると駄目だし、シュレアはその逆。プテュエラは肉好きだけど、けっこう味自体にこだわる。
ミルフィーユ鍋は具としての肉と野菜は一対一だし、隠し味に魚醤とニンニクが入っている。動物由来、野菜由来の旨味がちょうどよいのかもしれないな。これは勉強になったぞ。
さて、お腹いっぱいだ。
食後にみんなで軽くお酒を飲む。するとだんだん距離が近づいて行って、ボディタッチが増えていく。酒とニンニクの駄目スメル。でもいい。好きだから問題無い。
「今夜はお礼にいつにも増して搾り取ってあげるわ。練喚攻使うわよ」
「私も微力ながら助太刀しよう。ケイには世話になってばかりだからな。飛ばしてやる」
「シュレアはほどほどで……」
ふふ、お礼か。それもいいな。
でも、今夜の僕は一味違うぜ。
「拡張!」
『スキル【房中術】を拡張しました。【繁殖術】がアンロックされます』
いつも読んで下さりありがとうございます。
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