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決めたこと

プテュエラやシュレアがやりたいことを見つける中、わたしだけ見付からなくて焦っていた。でもケイの言った通り見付かったわ。それを彼に言うつもり。

 そんなこんなで日々は過ぎていった。


 シュレアの野菜栽培を手伝ったり、プテュエラの狩ってきた肉を試食したり、リンカに水をあげて話せないか試したり。ベステルタは二人の手伝いをしながら、自分のやりたいことを探しているようだった。


 僕は戦闘訓練をしつつ、家の周りの開拓を少しずつ進めた。と言っても樹魔法で「ごめんね? あそこに移ってくれる?」とお願いするだけだ。お願いすると、樹木たちは根っこをよっこらせっと地面から引っこ抜き、のしのしと移動して、指定の場所に穴を掘ってずっぽり植わる。植わるって表現初めてしたけど、そうとしか言えないんだよな……。


戦闘訓練も自分の中のセオリーとか、必勝パターンなんかも開発できている。つまりコンボだね。少しは自信も出てきた。

 

 その代わりに僕の魔力を分け与えてたり、移動先の土を浄化して棲みやすくした。けっこう喜んでくれて嬉しかった。


 ふと久しぶりにステータスを見てみた。


「ステータス」


氏名 種巣 啓

レベル  30

体力 120

魔力 150

腕力 100

精神 50

知力 90

器用 80


スキル

生活魔法

料理術(Lv1)

房中術(Lv8)


固有スキル


練喚功・一層(発動中)

賢樹魔法

殲風魔法

言語理解

頑健(Lv2)

浄化(Lv2)

 

 う、うーん? 突っ込みどころが多くてよくわからない。


 レベルが上がっていたのは分かる。

 訓練やら夜の訓練やらしていたからね。体力、魔力、腕力は何気に使う場面多いから上がりやすかったのだろう。精神が相変わらず弱いのはショックだけど。


 地味に料理スキルが付いていたのは嬉しい。ただ、房中術って。あれだよね、男女のそういうやつだよね? これだけレベルが図抜けて高いんだけど……。

 しかもこれらもレベル表記が新しく生まれている。スキルって育つものだったのか。


 まあいい、問題は固有スキルだ。

 てっきり亜人の力はスキルだと思っていたが、固有に割り振られるのね。もう亜人魔法と呼んだ方がいい気がする。


 そして、樹魔法と風魔法がそれぞれ名前が違っていた。なんだよ賢樹魔法と殲風魔法って。めちゃくちゃやばそうじゃないか。あと練喚功・一層って何? 一層ってことは、何層かあるってこと? しかも発動中ってパッシブってこと? 



 あと、浄化と頑健にもレベル表記がされていた。使いまくっていたからかな? 

 

 だめだ、分からない。謎しかない。


 ベステルタたちに訊いてみるか。皆を呼び集めてた。


「という訳で、僕のスキルがおかしなことになっているんだけど理由分かる?」


「分からないわ」


「分からんな」


「分かりかねます」


 三人仲良く答えた。むう、手詰まりだな。そうだ、みんなのステータスを見せてもらおう。何か分かるかもしれない。今まで見たことなかったし。


「そういえばみんなのステータス見たことなかったんだけど、見せてくれる? 何か分かるかもしれないし」


「ああ、それね。亜人は何故かステータスが無いのよ」


 えっ? そうなの?


「うむ。人族がステータスを発動できるのは知っているが、亜人は適用されないらしい」


「業腹ですが、魔獣等もステータスが無いことから、亜人も同じ区分なのかもしれません」


 シュレアが不機嫌そうに言った。


 マジか。亜人って魔獣に近かったのか。言われてみればそうかもしれない。こう、良くあるエルフとかドワーフとか獣人なんかとは少し違うからね。


 それで今さら態度が変わったりしないけどさ。


「それにしてもわたしたちの力ってこんな風にステータスには写るのね。面白いわ」


「ああ、ただの風魔法じゃなかったんだな。殲風魔法か。いいじゃないか」


「賢樹魔法は言い得て妙です。気に入りました」


 何だか嬉しそうな三人。君たちが嬉しそうだと僕も嬉しいよ。何一つとして解決していないけど。


「ベステルタ、この一層っていうの何だか分かる?」


 そう、他の亜人魔法と比べた時に、練喚功だけレベルのようなものを匂わせる表記がある。これはなんだろう。


「うーん……完全に推測なんだけど。練喚功を教えた時に、『できるだけ身体を細分化して纏わせる』って言ったじゃない?」


 言ったね。やり過ぎて僕が爆発四散しかけたやつだ。


「あれを指しているんじゃないかしら? 例えば身体全体を大雑把に覆うなら一層。上半身と下半身なら二層とか」


 わっ、ベステルタすごいな。さすが元祖練喚功。


 たぶん、それ正解な気がする。


「ちょっと試してみるね」


「気を付けてね」


 ベステルタが心配そうに言った。もうあそこまでやったりしないよ。とりあえず身体の外側だけを覆ってみることにする。


 ベステルタの力を上半身と下半身に纏わせる……。これでどうだ?


「ステータス」


氏名 種巣 啓

レベル  30

体力 120

魔力 150

腕力 100

精神 50

知力 90

器用 80


スキル


生活魔法

料理術(Lv1)

房中術(Lv8)


固有スキル


練喚功・二層(発動中)

賢樹魔法

殲風魔法

言語理解

頑健(Lv2)

浄化(Lv2)


 うおっ、二層になってる。ベステルタ理論が実証された。


「ケイ、どう?」


「すごいよベステルタ。言う通りだった」


 ということは、細分化していけば何層にも深まっていくってことか。へー、すごいな。


 ただ、ステータスに加算される訳ではないんだね。そこは体感で図る必要があるか。


 もしかして他の亜人魔法にもそういうのあるのかな。今度探してみよう。


「おお、すごいな、ベス。練喚功はまだまだ強くなるぞ!」


「おめでとうございます」


「ふふ、ありがとう」


 あれ、なんかベステルタを褒め称えるムードになっている。いや、いいんだけど。


「練喚功については分かったね。でも、浄化や頑健のレベルについては分からないか」


 自分のスキルだし、きちんと把握しておきたいんだよね。実は使う度に微少なダメージを受ける、とかあったら嫌だし。


「それならデイライトに行ってはいかがですか? そこで人に訊いたり資料で調べるのも手かと」


 シュレアが具体的な提案をしてくれた。流石、研究者だね。


「そうね、そもそもデイライトで家を買うためにいろいろしていた訳だし」


「最近やることあって後回しにしていたからな。ケイも強くなったし、そろそろだろう」


 お、マジか。とうとう噂の迷宮都市デイライトに行けるんだね。


 確かに随分戦えるようになった気がする。

 

 ダイオークやマスキュラスには楽々勝てるし、ダークエイプで包囲されても潜り抜ける訓練も積んだ。自分の身は守れそうだ。

 

「それならそうしようか。じゃあ「ケイ、ちょっといいかしら?」準備に、うん?」


 ベステルタが話を遮ってきた。どうしたんだろう。少し真剣な表情だ。プテュエラやシュレアも不思議そうにしている。


「実はわたしもあれから考えて、自分のやりたいことを見つけたの」


 おお、そうなんだ! それはよかった。ちょっと悩んでたみたいだしね。でも、何で今?


「ケイ、わたし、冒険がしたいわ。だから連れていって欲しいの」


 え。


「ベス、お前忘れたのか? 私達は亜人だぞ? 人に姿を見せるのが禁止されているわけではないが、街に入れるわけ無いじゃないか」


「プテュエラの言う通りです。ベステルタ、貴方らしくもありません。どうしたのですか?」


 二人が驚いたようにベステルタを見る。


「わたし、あれから考えたの。自分が何をしたいかって。

 わたし、知らないものを知りたいの。知らないことを体験したいの。昔、商人を助けた時から、たぶんずっと心の奥底で意識していたのね。外の世界を知りたいって」


 滔々と話すベステルタ。


「絶死の森はわたしの故郷よ。どんなに死が満ちていようと、魔素に犯されていようとそれは変わらない。でも、ここだけで終わりたくないの。もっと、そう、色んな世界を知りたいのよ」


 ベステルタの切実な言葉は僕に突き刺さった。


 僕も前の世界で、同じようなことを思っていた。


 やりたいことなんてなかった。漠然と不安を覚えていた。周りが何かに打ち込んでいることに嫉妬して、そんな自分が惨めだった。


 ただ仕事して。多くもない給料で疲れて帰ると、何もやる気が起きない。興味はスマホの中で完結して、すぐにまた明日になってその繰り返し。

 

 僕は一体何をしているんだろう。

 世界は広いはずなのに、こんな狭いところで、狭いルールに縛られて、一生を終えるのだろうか。


 そんな疑問を抱きながらも何もできなかった。


 分かる。すごく分かるよ。


 ベステルタは違う。彼女は自分で動こうとしている。友達から批判されても、従来の慣習にそぐわなくても、とりあえずやろうとしている。


 ベステルタの瞳が僕をぐっと見据えている。金色の、綺麗な目だ。


 身体が暖かい。

 パスを通して彼女の魔力に反応しているのだろう。


 その彼女の進む力が、僕にも備わっている気がして嬉しかった。


「いいね、ベステルタ。冒険部か。楽しそうだ。一緒に行こう。きっと楽しいよ」


「ケイ、ありがとう!」


 ベステルタが僕を抱き締める。ふんわり良い匂い。いつもの香り。折れる折れる。


「私もシュレアも、ベステルタが楽しそうなのは嬉しい。だが実際どうするんだ? 亜人が街に入ったら絶対に攻撃されるぞ」


「ベステルタが傷付いたらあの街の命を吸い付くしてしまうかもしれません。何か考えがありますか?」


 真剣な顔で忠告をしてくれるプテュエラたち。友達っていいよね。シュレアは物騒だけど。


「あるよ。簡単だ。変装すればいい」


 全身を覆う鎧とか、ローブなんかでさ。シンプルが一番いいんだ。まあ駄目ならまた考えればいいさ。とにかく今は行動しよう。


「うーむ、それで大丈夫だろうか」


「心配です」


「ケイが大丈夫って言うんだから大丈夫よ、ね?」


 にっこり微笑む人外筋肉お姉さん。かわいい。


「まあ、とりあえず行ってみて考えよう。鎧やローブの変装道具手に入れるまでは近くで待機して欲しいんだけど大丈夫?」


「もちろん、問題ないわ。ありがとう」


 にっこり頷く。


 この笑顔をもっと笑顔にしたいな。もちろん、他の二人もね。


 さて、これから準備だね。忙しくなるぞ。

ブクマ、評価、読んで下さりありがとうございます。

本話で十万字を越えることができました。ひとえに読んで下さる読者の方々のおかけです。まだまだ、異世界繁殖生活は続きます。今後とも宜しくお願いいたします。


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